6月4日 おはよう日本
去年3月に引退した寝台特急「あけぼの」。
「あけぼの」は東京・上野と青森を結ぶ寝台列車として長年愛された。
秋田県小坂町では鉄道のテーマパークに引退した「あけぼの」の車両を導入した。
小坂鉄道レールパーク。
レールパークは6年前に廃止された小坂鉄道の駅舎や線路をそのまま生かしている。
街がそこにディーゼル機関車の運転など鉄道好きにはたまらない体験コーナーを盛り込み
全国から人を呼び込む新たな観光スポットに生まれ変わらせた。
しかし今度はそれが新たな悩みを生んでいた。
「東京から来ました。
きのうは大館市の大滝温泉に泊まりました。」
「青森に泊まって帰ります。」
レールパークがある町の中心部には宿泊施設は1つだけ。
せっかく来た観光客が町にとどまってくれないのである。
そこで町が目をつけたのが引退した「あけぼの」だった。
昼間は展示の1つとしてディーゼル機関車でけん引してお客様に乗ってもらう。
そして夜は宿泊施設に。
ホテルほど広くはないが鉄道好きなら喜んで泊まってくれると考えたのである。
(小坂町観光産業課 近藤肇課長)
「これからの子どもたちは乗ることもない。
ここであけぼのを活用していくことは未来の子どもたちにつなげる夢でもある。
小坂町で簡単に宿泊できる施設ができるのは観光の面で非常に大きなメリットがある。」
町は「あけぼの」の寝台車3両と電源車1両を約260万円でJRから購入。
約140キロ離れた秋田市からの移送は片道9時間の長丁場となった。
レールパークに到着した車両。
まずは台車の部分が線路に戻る。
続いてボディがその上に。
綿密に練られた計画に沿って作業はゆっくりと慎重に進んだ。
小坂町にやってきた「あけぼの」は
かつての姿を取り戻し再びお客さんを迎える。
B寝台は1つのボックスに2段ベッドが2つ。
たとえ見知らぬ人同士でも同じ時をゆったりと過ごせる。
B個室寝台の2階は夜空を仰ぎながら寝られるのが魅力である。
そして最高級のA個室寝台。
秋田と東京の間の長い旅路を贅沢なものにしてくれた。
レールパークには早くもその雄姿を観ようという人が訪れていた。
(訪れた人)
「懐かしいという感じで感無量。
ぜひとも泊まりたいですね。」
「乗ってみたいです。」
町では車体の修繕や車内の整備などを経て今年10月の利用開始を目指している。
(小坂町観光産業課 近藤肇課長)
「ここにこういう大きな魅力がプラスになるということは
町にとっては本当に賑わいの創出の大きな核となると思っているので期待しています。」
ブルートレインに揺られる楽しさと
泊まる場所としての便利さを提供しようと
小坂町が満を持して導入した箱もの。
再び多くの人の夢を乗せて動こうとしている。