3月28日 おはよう日本
羽田空港国際線ターミナル。
多くの外国人観光客が帰国前に免税店を訪れる。
その一角を占めているのがランドセル。
今 日本のお土産として買い求める人が増えている。
アニメなどの影響で特に中国の子どもたちに人気である。
「ランドセルをテレビで見てほしくなったの。」
「赤が大好きなので買ってもらってうれしい。」
(店員)
「一番多い方で1人で4つお買い上げいただいたことがあります。
いろんな国で人気が出ているようです。」
人口13億6千万の中国では
この1~2年ランドセルが売れ始めている。
上海にある百貨店では日本製で値段は2万円~6万円。
中国の一般的な通学かばんと比べ約10倍にもなる。
それでも去年から中国人の客の問い合わせが増えていると言う。
この百貨店では去年11月に日本製品の特設コーナーでランドセルを並べた。
これまでは月に1個売れるか売れないかだったのが
1週間で20個以上売れた。
「軽くて自分の持っているかばんより使いやすいの。」
(百貨店 販売担当者)
「正直 最初に取り組んだときはそこまで売れるとは考えていなかったんですけど
最近急にランドセルの需要に兆しが見えている状態です。」
ランドセル人気は地方にも広がりを見せている。
上海から車で1時間の蘇州に住む小学2年生 居旭恒くんは
去年の入学以来日本製のランドセルを使っている。
(居旭恒くん)
「とっても使いやすいんだ。」
居くんの家は中国では平均的な家庭である。
ランドセルはかなりの出費だが
何年使っても壊れないと聞き
母親は思い切って買った。
「少し高いけれど一生に一度の買い物なので奮発しました。」
こうしたランドセル熱の高まりに業界も熱い視線を注いでいる。
少子化が進む日本では大幅な成長は望みにくくなっているからである。
そこで老舗メーカーは近く中国向けランドセルの現地生産に乗り出す計画である。
ランドセルメーカー 現地営業責任者 北宏志さんは
現地生産で価格を下げられれば
主に富裕層に限られている顧客のすそ野が一気に広がると期待している。
(ランドセルメーカー 現地営業責任者 北宏志さん)
「価格は約半分にしたいと思っています。」
さらに北さんは年密な市場調査を繰り返しニーズをくみ取ろうとしている。
調査の結果
・大きな荷物がたくさん入るものがよい
・水筒をつけるポケットを着けてほしい
・手提げにもできるような取っ手がほしい
中国ならではのニーズを知ることができた。
こうした調査結果を踏まえ新商品の開発も急いでいる。
さらに販路拡大を目指す北さんは上海で開かれた国際見本市に参加。
そこで日本にはない顧客層の広がりを実感した。
ブースに多くの若者がやってくるのである。
実際 中国人のバイヤーからも若者向けに刺繍の模様をつけたいという要望があった。
若者を引き付けるきっかけになったのがアメリカの有名女優 ズーイー・デシャネルさんの写真である。
ランドセルをバックとして愛用していることが世界中の若者の間で評判となったことで
ランドセル人気を加速させている。
「女の子に人気があるんだよね。
大学生の妹に買ってやるんだ。」
(ランドセルメーカー 現地営業責任者 北宏志さん)
「中国のお客様のために
中国のニーズに合った新しい形のランドセルを提案していきたいと考えています。」
日本で100年以上 子どもたちに愛されてきたランドセル。
その魅力が海を超えて伝わり始めている。