2月21日 おはよう日本
旧ユーゴスラビアのクロアチアは旅行先として日本でも注目が高まっている。
中世の面影を残す町並み。
透き通るような青さが人気のアドリア海。
最もにぎわう8月にはクロアチアには300万人もの観光客が訪れる。
しかし冬の1月や2月は30分の1の10万人にもとどかない。
(カフェ店員)
「冬は客が来ないんです。
早く夏になって観光客に来てほしいなあ。」
冬になんとか観光客を呼び込めないか。
そこで目をつけたのがアドリア海のマグロは冬が旬の高級魚クロマグロは脂の乗りも最高で
沿岸部を中心にクロアチアの食卓でも親しまれてきた食材である。
中部の町ザダルの300メートル沖合には直径50メートルほどの巨大なイケスがある。
実はクロアチアではクロマグロの蓄養が盛んである。
透明度が高く水深も深いアドリア海は良質なマグロの生育に適していると言われ
その大半が日本に輸出されている。
このマグロを観光に生かそうとザダルでは1月に初めてのマグロフェスティバルが開かれた。
マグロの人気が高い日本の老舗料亭で活躍した和食の料理人を招き寿司や刺身をふるまった。
集まったのは約1,000人。
マグロの魅力を紹介した。
「マグロ料理は大好き。
最高だわ。」
さらに町はこのフェスティバルに合わせてクロマグロ料理教室も企画。
地元レストランのシェフたちに和食の技を伝えた。
参加したダミル・トムリャノビッチさんはザダルで最も有名なレストランのシェフ。
世界中で人気の高い和食の料理法を学べば料理の幅が広がるのではないかと期待して参加した。
(トムリャノビッチさん)
「新たなマグロ料理を創作しアジアの客向けに特別メニューを作りたいと思います。」
クロアチアでマグロ料理といえば焼くのが基本である。
一方 ありのままを大切に素材の鮮度を最大限に生かす和食。
トムリャノビッチさんはその繊細な調理法に感心したと言う。
最大の発見はトロの魅力だった。
クロアチアではトロは脂が多いためあまり好まれない部位だったが
和食だととてもおいしく大人気の食材であることを初めて知ったのである。
(トムリャノビッチさん)
「マグロのどの部分が重宝されているのか
その違いを知って驚きました。
日本では高級な大トロはクロアチアではほとんど使われない部分なんですから。」
トムリャノビッチさんは和食の料理人と共にさっそく自身のレストランでマグロ料理をふるまった。
「和食のお店がないザダルでお寿司が食べられるなんて感激です。」
大きな手ごたえを感じたトムリャノビッチさんが目指すのは和食とクロアチア料理の融合。
世界中の観光客にザダルならではのマグロ料理を提供できるようになりたいと言う。
(トムリャノビッチさん)
「赤身はヨーロッパの人たち
トロは日本人向けに提供できます。
世界に向けてザダルの新しいマグロ料理を宣伝していきます。」
クロマグロをクロアチアの新たな観光資源にすることが出来るのか。
トムリャノビッチさんたちの挑戦は始まったばかりである。