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“あの日”の星空 記憶を胸に

2015-03-29 07:30:00 | 報道/ニュース

3月13日 おはよう日本


東日本大震災の起きた4年前の3月11日の夜
被災した地域ではこれまでにないほど多くの星が輝いていたことをご存じだろうか。
当時被災した多くの人たちが様々な思いでこの星空を見つめていた。

仙台市にあるプラネタリウム。
震災が起きた日の被災地の星空を再現したプログラムが上映された。
あの日星空を見た人たちの記憶が紹介されている。
余震の恐怖に震えながら
いつでも外に出られるように服を着たまま
ずっと空を見ていた
なんでこんなに星がきらきらときれいに輝いているんだろう
こんな大きな災害のあった夜なのに
4年前の3月11日
宮城県は地震による停電がほぼ全域で続いていた。
さらに昼間は降り続いていた雪がやみ
空気がとても澄んでいた。
停電と気象条件が偶然重なり
被災地の空にこれまでにないほど多くの星が現れたのである。
一度に多くの人の命が奪われた日。
被災した人たちはどんな思いであの星空を見上げていたのか。
プログラムを制作した天文台は体験談を集めた。
(津波で夫を失った女性の手記)
流れ星は
天国へ向かう魂なのだというエピソードがふと頭をよぎり
その多さに耐えられなくなり目を伏せてしまいました
あれほどつらい星空は
これまでもこれからも
決して見ることはないだろうと思っています
(母親の行方を捜していた女性)
千年に一度の天変地異に突き落とされた私たち
それでもなお
そこから立ち上がるんだと
天の星々は溢れる光で私を奮い立たせてくれました
自らの体験を寄せた人の中に
あの日に感じたことを4年たった今あらためて思い起こしている人がいる。
仙台市の阿部美奈子さん。
地震の直後に近くの小学校に避難した阿部さんは
あまりの被害の大きさにしばらく途方に暮れていたと言う。
この先どうやて生活していけばいいのか
不安に押しつぶされそうになっていた阿部さん。
勇気づけられたきっかけは当時小学5年生だった次男の燿さんの一言だった。
(阿部美奈子さん)
「子どもがとても嬉しそうな顔で外から走って帰ってきた。
 『すごく星がきれい』って。
 大人は下を向いて不安しか感じない中
 どうして子どもは上を向けるんだろうって思いました。
 私が下を向いて泣いてはいけないんだなと思いました。」
あれから4年
燿さんは中学3年生になった。
この春 京都の高校に進学することが決まっている。
大好きなサッカーを続けるため強豪校を選んだのである。
仙台を離れる燿さんに阿部さんは伝えたいことがあった。
燿さんが仙台を離れる5日前
阿部さんはプラネタリウムを見ようと誘った。
頭上に広がるあの日の星空。
阿部さんがつづった思いが会場に流れる。
思い切って重い頭を上に向けてみた
するとそこに広がっていたのは
こぼれ落ちてきそうな星、星、星・・・
見たこともない美しい星空にためていた涙が一気にあふれ出した
子どもはこんな時でもそれに気づくことができるんだ
こんな悲惨な状況でも
美しいものや楽しいものを見つけられる素敵な子どもたちを
なんとしても守っていかねばと
弱気になっていた心に喝を入れられた
忘れられない夜だった

(阿部美奈子さん)
「苦しいときがこれからきっとたくさんあって
 下を向きたくなるようなことがあっても
 あの時も上を向いたんだっていうのを忘れないでいれば
 自分一人ででも上を向いていける。」
(阿部燿さん)
「こう母の本当の気持ちを知ってすごくうれしい。
 こういう風に思っていてくれたというのが本当にうれしい。
 あの日の星空をもう一度見て
 元気づけられた。
 力になる。」
プラネタリウムでおみがえったあの日の星空。
4年たった今なお震災を体験した人々の心に語り掛けている。


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