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ロンドンから徒然に

ガウディ精神のエッセンス ~ コロニア・グエル教会

2008-08-27 | 旅・イベント
 映画でも文学でも、あるいは音楽でもそうですが、皆によく知られた大作より隠れた佳作がお気に入りということはよくありますよね。ガウディの作品の中でも、先日書いたサグラダ・ファミリアやグエル公園は誰もが知っているし、バルセロナに来たら必ず訪れる場所だと思います。
 そういった“大作”ではないのですが、ガウディの精神が余すところなく活かされている建築物があります。バルセロナから少し離れていることもあって、訪れる人も少ないのですが、これを一番好きな作品、あるいは最高傑作と評する人もいます。コロニア・グエル教会です。

 もともとはColònia Güel industrial villageに働く人のための教会として建築が計画されたものということで、そう思って村を眺めると1本大きく目立つ工場の煙突のようなものがありました。
 1898年から計画はあり、1908年には建築に着手したものの、その後もスロー・ペースで作業は進み、1917年には大戦の影響で中断してしまいます。翌年にはガウディのパトロンであったEusebi Güelが死亡し、その跡取りのSantiago Güelはもともとこの計画に積極的でなかったこともあって、そこで完全に計画はストップしてしまい、ガウディはサグラダ・ファミリアの建築に専念することになります。こうしてこの教会は地下聖堂に当たる部分のみが残されました。



 建築がスロー・ペースだったことの理由として、ここの教会は細部まで非常に手の込んだ作業がなされていることもあるのですが、何と言ってもガウディの真骨頂である非常に実験的な手法が試みられたことが大きいと思います。
 それは “フニクラ”と呼ばれる手法で、力に逆らう直線ではなく力を吸収する曲線を建築物に応用しようというものです。建物の模型を逆さ吊りにしてどのように重力がかかるかという実験を彼は長年続けています。これを使ったのがこの教会の天井で、この技術はサグラダ・ファミリアにも応用されています。





 最寄の駅のCòlonia Güelにはバルセロナ市内からFGC(カタルーニャ鉄道)を利用して20分ほどで行ける予定だったのですが、途中工事でバスに乗り継がねばならなくなりました。
 ということで予定より少し遅れて着いたら教会は結婚式の真っ最中。チケット売場の担当者には終わるまで待たなければならないと言われたのですが、入口まで行くと「ナイス・タイミング」と言って通してくれました。こんなところがスペイン人の良いところです(笑)可愛い参列者と一緒に結婚を祝いました。



 ここには他にも1900年前後に建てられた素晴らしい建築物がたくさんあって、実際に個人宅として使用されています。インフォメーション・センターで案内の地図を渡してくれるのですぐに分かります。結局半日以上この村でゆっくり過ごして良い思い出になりました。


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