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ロンドンから徒然に

小作品の輝き

2011-01-19 | 映画・演劇
 つい先日ゴールデン・グローブ賞の発表があり、今日はBAFTA(英国アカデミー賞)のノミネート作品の発表、そして今度はいよいよアカデミー賞へと続いていきます。
 昨年を思い出すと、『アバター』と『ハートロッカー』の一騎打ちの感がありましたが、今年は同じ構図が『ソーシャル・ネットワーク』と『英国王のスピーチ』に当てはまるような気がします。どちらの作品もあらゆる賞の幾つもの部門でノミネートや受賞が続いています。
 もちろん両方とも観ました。2本とも非常によくできていて面白く、どちらが取っても受賞は皆が納得するものになるでしょう。

 そんな話題の陰で、実は僕が密かに応援している映画があるんです。これも実はあちこちでノミネートされています。
 『Blue Valentine』。
 おそらく前2者ほどのもてはやされ方はしないでしょうし、特大のヒットになる可能性も薄い気はしますが、良い作品です。好きな作品です。
 無理矢理ジャンル分けすれば“恋愛映画”に入れられるかもしれませんが、もっとずっと人間の本質を突いています。



 時間軸に沿って簡単に言ってしまえば、あるカップルの出会いから崩壊までを描いているということになります。これが複雑に織られていて過去と現在を行き交うのですが、単純なフラッシュ・バックではありません。シーンの選択やその挿入の順番が本当に入念に計算し尽くされていて見事なのです。
 Derek Cianfranceという監督名は全然知りませんでしたが、なかなかの力量だと思いました。これからの作品が楽しみです。

 そして主演のふたり、ライアン・ゴズリングRyan Goslingとミシェル・ウィリアムズMichelle Williamsがとびきり素晴らしい演技を見せてくれます。
 期間にして数年に過ぎない経過を、外見的にも(本当に体型が変わっているんですよ)内面的にも見事に演じきっていて驚きます。現在の行き場のない状況を知ってしまった後に振り返られる、恋愛真っ只中の微笑み。そのなんとまぶしい輝きなことか。
 特に予告編にも取り上げられている、彼のウクレレ伴奏で彼女が踊る場面なんて、胸が締め付けられるくらいに美しく悲しいです。

 こんな素晴らしい映画なのに、過激なセックス描写があるという理由であやうくNC-17指定を受けそうになったと聞きました。制作側の抗議で結局はR指定になったようですが。(R指定はおとなが同伴すればOKですが、NC指定はダメなんです)
 
 いったいどこが?と思ってしまうくらい、そんなふしだらな思いを抱く余裕はなかったです。いや、本当に。
 物事はちゃんと本質を見なければいけませんよね。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (のえ)
2011-01-20 22:27:23
予告映像を見てみました。
おもしろそうですね、Blue Valentine。日本でも公開してほしいです。
ウクレレの音に日常を感じるというか、映画が身近なものになるような、自分もその中に入ってしまうような。とにかくおもしろそうです。
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Unknown (Max)
2011-01-21 09:44:06
とても好きな映画です。でも人によっては(あるいはその時の事情によっては)見るのが辛いかもしれないので、あまり堂々と勧めるのもどうかなとは思ったんですが。
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