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ロンドンから徒然に

アキ・カウリスマキ 『街のあかり』

2007-07-21 | 映画・演劇
 白夜、オーロラ、サンタクロース、ムーミン...と並ぶ幻想的なイメージ。対照的に、携帯電話のノキアに代表される近代的なイメージ。あるいはマリメッコ(テキスタイル)やイッタラ(陶器・ガラス)などのデザイン・グッズのあふれるおしゃれなイメージ。
 まだ行ったことのないフィンランドに対しては、一方で森と湖が連想され、もう一方でモダンなビルが思い浮かびます。

 そんなフィンランドの映画界にあって、失業やホームレスといった現実的な社会問題を冷徹に扱い、でも見終わったトーンが寓話的という不思議な監督がいます。アキ・カウリスマキです。
 その失業をテーマにした『浮き雲』、ホームレスをテーマにした『過去のない男』に続いて、本人が“敗者三部作の最終章”と位置づける『街のあかり』が上映されています。

 映画には絶対に他の監督ではマネのできないリズム感あるいは文体といったものがありますが、このカウリスマキも間違いなくそういった独自のものを持っている監督のひとりです。
 今回扱っているテーマは都会の孤独。騙されても利用されても“犬のように従順で、ロマンティックで馬鹿”で罪まで被る男、その主人公にその想いを気づかれなくても無視されても密かに思い続ける女。例によって映画の話ですからストーリーまで詳しく話すわけには行きませんのでこのくらいにしますが、けっこうたくさんの観客を動員して評判もいいようです。夏休みに入ってハリウッドの大作だらけですが、こういった映画の活躍も応援したいものです。

 ところで、氷でできたアイスホテルがあるのってフィンランドじゃなかったでしたっけ?どうやって氷のベッドに寝るのか未だに想像できないのですが、いずれにしろ夏でも寒がりな僕には無理そうだな。

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