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ロンドンから徒然に

バッキンガム宮殿のお粗末な警備

2009-05-28 | 日常
 打合せでVictoria駅に近いホテルを訪ねました。その最上階からバッキンガム宮殿が見えます。
 出入りする車を見ながら、一体どんな人達がこの中に入って行くんだろうなんて想像します。何しろここの警備は厳しくて、ロイヤル・ファミリー、それもチャールズ皇太子までもが写真付きのIDを求められると聞いていたからです。
 ところが、その警備の厳しさの看板を降ろさなければならないような出来事が先日起きました。



 The News of the Worldという、日曜日発行のタブロイド紙があります。メディア王ルパート・マードックのロンドンにおける新聞買収のきっかけになった新聞としても知られますが、タブロイド紙の例に漏れず、刺激的な犯罪や性的な記事、有名人のゴシップに溢れており、また取材方法等にも問題があって、裁判沙汰になるケースも多いと聞いています。

 そのThe News of the Worldが、中東の裕福な実業家になりすました記者2人を宮殿内に送り込んだのです。
 彼らの取った方法というのが、宮殿近くに住む女性のつてで女王のお抱え運転手に接触し、彼に1,000ポンド(約15万円)渡すことで、中に入らせてもらう、というものだったのです。

 その際駐車場にノー・チェックで通され、パレードの際に使う馬車等を見て、その上女王の乗るベントレーの後部座席に座らせてもらっているのです。ちなみにこの時隠しカメラで撮られた映像はTVのニュースでも流されました。
 自分たちがもしテロリストだったら十分に爆弾を仕掛けることができた、という記者の言に頷かざるをえないようなお粗末な警備に驚きました。TVのニュースもこのことを強調して、過去の同様な例も掘り起こしてきて非難していました。

 でも、僕がもっと腹立たしかったのは、この運転手です。というのも、その少し前には同じバッキンガム宮殿内で働く若い女性の仕事(来賓のテーブルのセッティングでした)がTVで紹介され、彼女の仕事に対する誇りみたいなものが清々しく感じられたからです。
 ですからなおさらのこと、こないだから書いている政治家といい、この運転手といい、自分の仕事にもっと誇りをもてないものかと憤りを感じた次第です。

 今日も観光客の前で直立不動のあの衛兵達はどう感じているんでしょう?

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