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ロンドンから徒然に

今度は黒

2011-07-24 | アート
 リーマン・ショック以降のロンドンで定着した感のあるポップアップ・ショップ。経営破綻した小売店の空いたスペースなどを利用して、短期限定でオープンするお店のことですが、中にはちょっと外観からは分からない場所にあったりすることも。
 でも、これが丁度その頃流行してきたfacebookなどのソーシャル・ネットワーキングのおかげで、仲間内での情報として重宝され、逆に人気が出たりもしたようです。

 またショップではなく、Supper Club(Pop-up RestaurantとかUnderground Home Bistroとも言います)とかHidden Tea Roomと呼ばれる、これまた開催日も不定期で、中にはアドレスさえ一般には秘密のレストランやティー・ルームもあったりします。

 こんな形態とは全然違う話ですが、僕が毎夏その開店を待ち望んでいる“カフェ”があります。
 サーペンタイン・ギャラリーSerpentine Galleryが主催しているSerpentine Gallery Pavilionは今年で11回目。毎年世界的に有名な建築家に依頼して、ギャラリーの横にある庭にパビリオンを作り、そこでお茶を楽しめるようにしているのですが、これまでの建築家の中には日本の有名なユニットSANAAの名前も見られます。
 これが実は夏季限定で、今年は7月1日から10月16日まで。それが終わると取り壊されてしまうんです。

 昨年のフランス人建築家Jean Nouvelの作品についてはこのブログでも触れましたが(2010年8月29日)、彼の選んだ色が赤。ところどころポイントに使われた緑及び周囲の木々の緑と、この赤のコントラストが非常に映えました。

 さて、今年のパビリオンを担当したのはスイス人のPeter Zumthor(ペーター・ツムトーアという発音が近いようですが、日本ではピーター・ズントーの名前で紹介されています)。
 そしてカラーはと言うと、昨年とは対象的に全身黒ずくめのパビリオンです。



 入り口を入るとまずは狭いほの暗い空間。一瞬慣れない目が戸惑った後、次の入り口をくぐると、真ん中が大きく切り取られた別空間が広がります。
 その中央には、雑多に植えられたようでいて実は良く計算された配置の草花の群れ。これはオランダ人のPiet Oudolfがデザインしています。

 配置された小さなパンフを読むと、どうやら“瞑想”を意識した空間らしいです。
 確かに、ここのベンチや椅子に腰を下ろし、天に向かって開けた空気や、ワイルドな雰囲気が漂う草花をじっと見ていると、哲学的な気分になってしまいます。(犬たちも瞑想中?)




 それにしても、外はケンジントン・パークの広大な公園、そこにあるギャラリーの庭、さらにその中にあるこの小さな庭。何という贅沢な空間と時間!
 これっていつも慌ただしい東京にこそ欲しいカフェだと思いましたが、どうでしょう?

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