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ロンドンから徒然に

ビャルケ・インゲルスのパビリオン

2016-08-29 | アート
夏休みのバルセロナではアパートメントに滞在した。
ガウディの艶やかな作品を見た後ではどんな部屋もシンプルでミニマルに思え、その分味気ないかもしれないが、短期滞在の旅行者にとっては便利なロケーションも含めて極めて過ごし易かった。

アートと実用性の融合という意味で、建築物ほどそのバランスが問われるものはないかもしれない。ガウディの住居が当時必ずしも人気を得られたわけではなく、商業的には失敗した例もあることを考えると、その難しさが分かる。

居住空間を美しく創造するというのはものすごく大変なことに違いない。美に対する個々人の価値観の違いはもちろんのこと、各部屋で求められる機能が違うわけだから、それらを満足させつつ、全体でも統一感を持たせようとするのは至難の業と思える。

ところでロンドンの広大な公園のひとつケンジントン・ガーデンでは、機能をカフェ(とレクチャー・イベント)に限った期間限定の仮設建築物が毎年設置され、今や夏の風物詩として定着している。

サーペンタイン・パビリオンSerpentine Pavilion。
小さいながらユニークな企画で熱心なファンも多いサーペンタイン・ギャラリーが主催するのだが、毎年実験的で個性豊かな作品の素晴らしさに圧倒される。

2,000年のザハ・ハディッド(日本では新国立競技場の件で知った人も多いのでは)に始まり、これまで数々の現代を代表する建築家達がデザインを担当してきている。その中でも2001年の伊東豊雄(あ、こちらも新国立競技場絡みだ)、2009年のSANAA(妹島和世&西沢立衛)、2013年の藤本壮介など、多くの日本人が選ばれているのが誇らしい。

さて、今年抜擢されたのはデンマークの鬼才ビャルケ・インゲルスBjarke Ingels。アート(遊び心?)と実用性のバランスという意味では彼くらい面白い発想をする人はいないかもしれない。
その代表例がデンマークのゴミ処理場。普通こういった人々から敬遠される施設は街の中心から離れたところにひっそりと作られるものだが、これを人の集まる場所にしてしまおうという逆の発想が素晴らしい!なんと高さ90m、面積31,000㎡という巨大なスキー場をゴミ処理場の上に作ってしまおうというのだ。

こういった大胆な発想は、もしかして通り一遍の環境問題・社会問題の解決策を大きくジャンプして、新しい形の都市の在り方を示してくれるかもしれない。
今年のパビリオンを見ながら、そんなことが頭に浮かんだ。




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