HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

スタンダード

2013-11-24 | 旅・イベント
 昨晩と一昨晩、随分遅い時間に花火の音がしました。日本だと夏の風物詩ですが、こちらでは冬のイメージが強いです。おそらく有名なガイ・フォークス・デイが11月5日なので、それに関連しての習慣でしょう(この日は毎年おおがかりな花火大会があります)。
 そう言えば、ずっとさぼっていてブログにも書き忘れましたが、実は11月にはもうひとつ花火を見るチャンスがあるんです。第二土曜日に行われるロード・メイヤーズ・ショーLord Mayor’s Show。

 Mayorはご存じのように“市長”と訳されますが、その意味ではロンドンには2人の市長がいます。
 多分普通の人が考えるロンドンというのは大ロンドン(Greater London)を指し、そこには当然市長(Mayor of London)が存在しますが、このGreater Londonを構成する33の区域のひとつが City of London で、そこの首長がまた市長(Lord of Mayor)と呼ばれるのでややこしいんです。

 もっともこちらの市長は現在では言わば名誉職で、任期も1年だけ。その市長の交代時に毎年行われるのがロード・メイヤーズ・ショーということなんです。今年の市長は女性なので、ポスターもこんな具合。



 さて、そのロード・メイヤース・ショー。古式ゆかしきお祭りで、一番の注目は市長の乗る金色の馬車(18世紀に製作されたものだそうです)を中心にした大規模なパレードなんですが、実は僕はまだ一度もこれを見たことがなく(何故かこの日はいつも都合が悪いんだな)今年こそはと思っていたら、小雨まじりの凍える日となって、この日もパスしてしまいました。
 しかしながら、夕方には雨も上がり、心做しか気温も上がったような気がして、締め括りの花火くらいは見ようと出かけました。絶好の場所と思えるウォータールー・ブリッジからは車が締め出されたくさんの人で溢れています。



 時間きっかりに打ち上げられた花火達は、多分大仕掛けのものに慣れた日本人には物足りないくらいシンプルなもの。でも冬の身を切るような夜空にはむしろ映えます。
 ロンドンに来て以来、僕の価値観のスタンダードはすごく慎ましくなっていて(世界一の便利都市、東京をスタンダードにするとおそらくロンドンで暮らすと不満だらけになってしまいますよ)、何かほんの少しの素晴らしさに触れるとそれだけでけっこう暖かくなってしまいます。




 ところで話をCityに戻すと、この地区は広さがわずか1マイル四方ほどしかなく、登録されている市民はわずか1万人強。しかしながら世界の経済を引っ張る金融地区で、昼間ここで働く人は30万人以上に上ります。

 多分僕らとは桁違いの収入を得ている人が多いと思うのですが、それでもさらに欲が出るのか、金を巡るスキャンダルには事欠かず、リーマン・ショック以降だけでも何度か同じようなあさましいニュースが繰り返されています。
 彼らの金に対するスタンダードも、せめてこの花火程度にはシンプルにすればいいんですけどね。

 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。