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ロンドンから徒然に

“アメリ”批判にみるフランス人気質

2008-09-26 | 映画・演劇
 友人にフランス人が何人かいますが、皆揃って話好きです。本当によく喋るし、議論好き。そしてどこかシニカル。イギリス人もけっこう皮肉屋ですが、フランス人のあの喋り方は特にそう聞こえます(気のせいならごめんなさい)
 皆が良いというものを素直に認めないところもあって、それがまた議論に火をつけるのだと思います。でも、まぁ見方によっては、大勢になびくことなく、自分の意見を大切にするとも言え、僕はけっこう彼らのことが好きです。

 こんな雰囲気はフランス映画にも表れていて、殆どシーンの展開がないまま延々とセリフ(もちろん議論です)が続くものもよく見かけますよね。その辺のリズム感が、ハリウッドの逆にセリフらしいセリフもないままジェット・コースターのように場面の変わる映画と対照的なのでしょう。
 そんなことで、今の時代にはなかなかフランス映画の世界的ヒットというのは難しそうですが、今世紀に入ってからのフランス映画を振り返ってみると、“アメリ”は日本でも大ヒットしましたね。

 実はこの映画をめぐってもフランス人らしい動きだなと思った事件があります。
 この映画、カンヌ映画祭に招待されなかったことに対して、マスコミが事務局側を非難する騒動がまず話題になりました。いかにも固い“権威”を嫌うフランス人らしいと思ったのも束の間、映画がヒットを続けてこれ自体が“大勢”になってしまうと、今度は逆に映画の中にアラブ系やアフリカ系の人が現れない(もしくはよく描かれていない)のはパリの実情と違う綺麗事だとして、映画に対する非難が始まったのです。
 いずれにしろ、両話題とも宣伝になったようで、その後も映画は売れ続けました。

 この映画でアメリが働くカフェのモデルになったCafé des 2 Moulinsは有名なムーラン・ルージュのすぐ側にあるのですが、今や観光名所のひとつになっていていつも店内は一杯です。奥の壁にはアメリの写真がかかり、メニューにはもちろんクレーム・ブリュレがあります。
 もっともあの映画、殆どは店内によく似せたスタジオで撮ったらしいですが。



 ところでHOBNOBのアルバムは、日本語で歌っているにもかかわらずフランス人に受けがいいのです。一旦は喜んだものの、待てよ、フランス人が好きということはたくさん売れてないからじゃないか、と思いなおして苦笑しました。

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