植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

サバイバルファミリーはいい映画だった

2022年02月03日 | 雑感
 先日何気なくテレビをつけたら日本映画「サバイバルファミリー」をやっていました。以前やはり1,2度テレビ放映しているのを見かけましたが、途中から見始めたせいもあって、途中で他のCHに変えて全編を観たことが無かったのです。大黒柱だったお父さんが自転車と一緒に川に飲み込まれ、残った家族の食料を狙った野犬に襲われ、お母さんが足を骨折する、というシーンで観るのをやめたのでした。

 今回は偶然、冒頭シーンからだったので、スマホをいじりながらもずっと最後まで見終えてしまいました。結論から言えば、とても含蓄があり様々なエッセンスが詰まった佳作であったと思いました。今から5年前の製作で、当時も興行的には成功をおさめ評判も良かったようです。藤原紀香さん、桂雀々、大地康夫、時任三郎、柄本明さんなどキャスティングも豪華でありました。

 数年前に同じく家族物の韓国映画でアカデミー賞の作品賞受賞をした 『パラサイト 半地下の家族』も面白い映画でしたが、韓国映画はとかく妙なリアリティにこだわり、汚さや血なまぐさいシーンが多くて好きになりません。

 サバイバルFは、原因不明で世界同時に電気が使えなくなるという「荒唐無稽」な設定から始まります。停電はじめ電気を使うあらゆる文明の利器が使用不能、電池も役に立たないという「原始時代」のような生活が突然始まるのです。
 今時の断絶して家人が勝手気ままなな家族が主人公で、ワンマンで独りよがり乱暴な言動で、子供からも嫌がられる親父さんの役を小日向文世さんが好演しています。

 映画は、電気水道・物流・通信がすべて止まった東京近郊で、備蓄も準備もない住民が一斉に田舎へ向かうのを描きます。主人公の鈴木家も、母親の実家である鹿児島にチャリで向かうという突飛な計画を実行するのです。

 自転車を調達し西に向かいながら、水を確保し食糧を探すという生きるだけのために必要なことを考えながら実行し、いく先々で希望と絶望が交差していきます。火の起こし方、野草や昆虫で飢えをしのぐなどのサバイバル情報がいくつか出てきますが、恐らくはいざという時の備えの重要性を伝えたかったのでしょう。お母さんのへそくりなど「現金」が役に立ち、昔の人が知っていた生活の知恵を覚えておくことの大事さ、スマホ頼りの現代社会の危うさなども主張しています。

 もう一つは「原点回帰」がテーマで、都会から田舎へ、商業や工業から農業・畜産・漁業など第一次産業をないがしろにしてはならない、と警鐘を鳴らしています。日本の野山の美しさ、本来の星空などを描きごみごみした都会から田舎暮らしを見直そう、さらに過疎や後継者不足という問題を抱える農村部の問題にもふれていました。またSL列車を走らせるというのも粋な演出に見えました。ノスタルジー感満載でありました。この映画に違和感が無いのは一切のCGやセットによる撮影が無く、すべてロケによったものだと言うことを知り納得しました。最近乱造される粗悪なCGによる中国SF・歴史映画が、まったくつまらないのは、中国人のイミテーション文化、まがいもの感覚によるものでありましょう。

 過酷な環境でいがみ合ったりぶつかったりしながら、本当の家族の絆を取り戻す、というのがメインテーマでしょう。部分かつらを小ネタに使ったり、川に流され溺れたのに実は生きていたり、最近まで飼い犬だった犬たちが野犬化して人間を襲うなど現実離れしたシーンもありましたが。それはそれとして、とにかく良く出きた良心的な映画でした。

 一緒に観ていた家内も珍しく「面白い映画だった」といろいろ感想を述べておりました。いざという時に備蓄は必要だと言うと、待ってましたとばかり、当家には、ライターから簡易トイレ、非常食まで様々な災害備蓄があることを聞かされました(笑)。

 くどいようですが、これが韓国映画ならば、当たり前のように略奪・暴行が始まり、大勢の人たちの流血や死体が描かれるでしょう。映画などは所詮お手軽な娯楽なので、観ていて、少しハラハラしながらも随所で「笑えて」、見終わった時に清々しさや温かな余韻が残るようなものが好ましく思えます。
若い頃はホラー映画やスプラッターものばかりレンタルして家族に顰蹙をかっていましたが、これも歳まわりがなせるわざなのでしょうか。

 

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