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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

鏡花幻想譚への接近#79・・・朗読DVD「義血侠血」(石川テレビ)

2010-10-11 | 泉鏡花

昨年、金沢にある泉鏡花記念館に行ったとき泉鏡花の小説を朗読した映像を収めたDVDを購入しました。ずっとそれを見ないでそのままにしておきました。今回、三越劇場で新派の「滝の白糸」を見る予定をしているので、そのDVDを見ました。内容は舞台「滝の白糸」のもとになっている小説「義血侠血」。平成19年に石川テレビで放送されたものを再編集したもので、朗読は石川テレビのアナウンサー・安田真理という方がしています。

 

地方のテレビで放送されたものというものですが、セットは簡易でアナウンサーが台本を持ちながら鏡花の小説を朗読しているという映像。それが1時間以上流れます。シンプルといえばシンプルすぎる映像、そうしたものがテレビで流れているんですね。驚きました。でも、文化教養的にはとってもいいことであるとボクは思います。

 

面白いのが「義血侠血」は明治にかかれた小説なので朗読するなら着物などを着ていると雰囲気がでるのですが、ジーパンを履いて朗読している。鏡花の文体は現代人が普段は使わないような言葉づかいなので、よりそのミスマッチ感、アンバランス感がなんとも言えないのです。朗読するアナウンサーは高い椅子に腰掛けているので朗読の熱演とは裏腹にやたら太股あたりが目立ってしまっているのです。わざととは言えないような演出のこのハズレた感じがどうなんだろうと思ってしまいます。

 

朗読は小説を筋がわからなくならない程度に部分、部分をはしょり読んでいます。以前、おなじ泉鏡花のカテゴリーで水谷八重子がおなじ作品を朗読したCDを聞き記事にしたことがありましたが、比べてみるとアナウンサーと女優とはやはり違うなあと思います。アナウンサーはどこまでも教科書的で情感やドラマチックな感じを聞かせるには劣ってしまう、読むという行為においては抜群にうまいのですが、演じるということでは女優に劣ってしまいます。

 

途中途中に、泉鏡花記念館の学芸員である穴倉玉日の解説のようなものがはいるのですが、短いその話が面白かった。この鏡花の代表作「義血侠血」は、明治27年、鏡花21歳の時に書かれたもので、師匠であった尾崎紅葉の添削が入っていて、読売新聞の連載小説として発表されたのですが、その時の作者の名前は泉鏡花ではなく、「なにがし」の名前で発表されたというのです。あの鏡花が「なにがし」とは!いやまたこれはびっくり仰天なペンネームなこと!!

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