花組芝居公演「泉鏡花の夜叉ケ池」
■日時:2009年1月17日(土)、18:00~
■劇場:こどもの城・青山円形劇場
■原作:泉鏡花
■構成・演出:加納幸和
■出演:《武蔵屋組》水下きよし、堀越涼、桂憲一、山下禎啓、他
「怪談牡丹燈籠」の公演を観て、でその実力の程を知った劇団「花組芝居」。今回は泉鏡花原作の「夜叉ケ池」の公演を観ました。それは2バージョンの公演があってボクが観たのは「武蔵屋」バージョン。劇場は青山円形劇場で舞台を観客席が取り囲んでいる形、舞台空間と観客が一体化しやすい構造となっています。それが今回ボクにとっては(あくまで個人的にですが)裏目に出てしまっているように感じました。
といのは、確かに公演は円形劇場ゆえ、俳優の息吹を間近で感じることができ、演出もディズニー・アニメかサーカスのような歌え踊れの雰囲気で、カーニバル的要素が強く盛り込まれていました。それらによってライブ感覚溢れる舞台でありました。祝祭的であるのは白雪姫を始めとする魑魅魍魎たちは、人にとっては恐ろしくあるものの基本的には愉しく陽気な存在として、それは鏡花の戯曲もそのように書かれているように思えますし、演出もそれを拡大解釈したかのようでした。ただ舞台空間が円形であるためそこは360°開かれており、俳優がボクに背を向けて台詞を言うことがけっこう多くあったのであります。それによって台詞をよく聞き取れなかった部分があったのです。いくら劇場が反響音を計算した設計であるにせよ、俳優の台詞を正面からと背中から聞くのでは大きな違いがありました。細部を聞き漏らしたこと、それが残念なことでありました。
ユニークであったのは、白雪姫が般若のような容貌で角も生えていたところです。以前は人間であったとはいえ、現在は夜叉ケ池の主としてある妖怪なのだから、その姿はなるほどなと感心させられました。
観客を舞台上にあげ劇に参加させる演出も、カーニバル的な雰囲気にマッチしており違和感なく、むしろ花組芝居とファンの家族的関係のようなものも感じられ微笑ましくもありました。(寺山演劇とは雰囲気に違いがありますね)また、公演には日替わりゲストが登場するようになっていたのですが、ボクが観た日は、与十役をTARAKOが、伝吉役を木原実を演じました。が、二人ともよく知りませんでした。他のお客さんは結構受けていたのですが、当方はわからずじまいで…。
全体としては面白く楽しめたのですが、少しばかり陽気にでありすぎたきらいもあったように思います。はしゃぎすぎというか…。「夜叉ケ池」は自然(=妖怪、魑魅魍魎、眷属)の摂理から見た人間の愚かさをテーマとして持っているのであり、それがお祭り騒ぎ的演出で少しぼけてしまっていたように感じました。
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※花組芝居の映像ではありません。
■日時:2009年1月17日(土)、18:00~
■劇場:こどもの城・青山円形劇場
■原作:泉鏡花
■構成・演出:加納幸和
■出演:《武蔵屋組》水下きよし、堀越涼、桂憲一、山下禎啓、他
「怪談牡丹燈籠」の公演を観て、でその実力の程を知った劇団「花組芝居」。今回は泉鏡花原作の「夜叉ケ池」の公演を観ました。それは2バージョンの公演があってボクが観たのは「武蔵屋」バージョン。劇場は青山円形劇場で舞台を観客席が取り囲んでいる形、舞台空間と観客が一体化しやすい構造となっています。それが今回ボクにとっては(あくまで個人的にですが)裏目に出てしまっているように感じました。
といのは、確かに公演は円形劇場ゆえ、俳優の息吹を間近で感じることができ、演出もディズニー・アニメかサーカスのような歌え踊れの雰囲気で、カーニバル的要素が強く盛り込まれていました。それらによってライブ感覚溢れる舞台でありました。祝祭的であるのは白雪姫を始めとする魑魅魍魎たちは、人にとっては恐ろしくあるものの基本的には愉しく陽気な存在として、それは鏡花の戯曲もそのように書かれているように思えますし、演出もそれを拡大解釈したかのようでした。ただ舞台空間が円形であるためそこは360°開かれており、俳優がボクに背を向けて台詞を言うことがけっこう多くあったのであります。それによって台詞をよく聞き取れなかった部分があったのです。いくら劇場が反響音を計算した設計であるにせよ、俳優の台詞を正面からと背中から聞くのでは大きな違いがありました。細部を聞き漏らしたこと、それが残念なことでありました。
ユニークであったのは、白雪姫が般若のような容貌で角も生えていたところです。以前は人間であったとはいえ、現在は夜叉ケ池の主としてある妖怪なのだから、その姿はなるほどなと感心させられました。
観客を舞台上にあげ劇に参加させる演出も、カーニバル的な雰囲気にマッチしており違和感なく、むしろ花組芝居とファンの家族的関係のようなものも感じられ微笑ましくもありました。(寺山演劇とは雰囲気に違いがありますね)また、公演には日替わりゲストが登場するようになっていたのですが、ボクが観た日は、与十役をTARAKOが、伝吉役を木原実を演じました。が、二人ともよく知りませんでした。他のお客さんは結構受けていたのですが、当方はわからずじまいで…。
全体としては面白く楽しめたのですが、少しばかり陽気にでありすぎたきらいもあったように思います。はしゃぎすぎというか…。「夜叉ケ池」は自然(=妖怪、魑魅魍魎、眷属)の摂理から見た人間の愚かさをテーマとして持っているのであり、それがお祭り騒ぎ的演出で少しぼけてしまっていたように感じました。
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※花組芝居の映像ではありません。
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>「夜叉ケ池」は自然(=妖怪、魑魅魍魎、眷属)の摂理から見た人間の愚かさをテーマとして持っているのであり、それがお祭り騒ぎ的演出で少しぼけてしまっていた......同様な印象を持ちました。泉鏡花はここまでパロディにして欲しくないような気がします。
6月の「盟三五大切」が早くも気になっています。
ワタクシも質実剛健、鐘入り後の後シテの武蔵屋組でした。那河岸屋組は若くハンサムな晃、前シテのお姫様拵えの白雪姫だったと聞いています。
どこまではしゃぐのか先が見えないと不安ですよね。お察しします。極彩色のカーニバルという方向性は間違ってはいませんので、オーセンティティ、パロディ、オリジナルのメリハリと観客の期待のタイミングを外さないようにしていただければ…と思いました。
「かぶき座の怪人」が好きなので、その曲で鐘が上がっていって、晃が撞木だけでなく鐘も落下させて欲しかったかも(爆)。