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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「ヒアアフター」(監督:クリント・イーストウッド/2010年)

2014-10-16 | Weblog

■製作年:2010年
■監督:クリント・イーストウッド
■出演:マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、ブライス・ダラス・ハワード

クリント・イーストウッド監督の映画「ヒアアフター」は、冒頭シーンに津波の映像があることによって公開直後に、丁度、東日本大震災が発生し上映が中止されました。日本が大きなダメージを負ったこともあり、いろいろなことに配慮されたのでした。今回その「ヒアアフター」を見たのですが、確かに津波のシーンはリアルに描かれており、被災した人が見たら直視できないだろうなと思いました。映画は時にこうした自然災害をテーマにしたものを描くことがあるので、いたしたがないということになるのですが…。

しかし、この「ヒアアフター」は津波に関することは全体の構成から見れば全くの部分でしかなく、映画のテーマである「死」というものを考えさせるための、ひとつの手段、ひとつのビジュアル的な迫力を持った素材にすぎないのでした。むしろ、この映画は死を通して生きることの素晴らしさを描いた映画であり、希望へとつながっていく道標を見せてエンディングを向かえるのでした。登場人物は、津波で臨死体験をしたフランスのニュースキャスター、アメリカのまやかしではない本物の霊感を感じることができる霊能者、双子の兄を不慮の事故でなくしたイギリスの少年、いずれも「死」というものにとらわれている。しかし、ラストのロマンチックさは生きることの素晴らしさを描いているとしかいいようがないし、根底に優しさに溢れています。

映画のタイトルである「ヒアアフター」とは死後の世界のこと、死んだら我々はどうなるのか?ということです。私はクリント・イーストウッドと言えばダーティー・ハリーを演じたイメージが強く、彼がこのようなテーマの映画を作るとは全く意外でした。映画全体を覆っているのはスピリチャルな空気なのですから。臨死体験、死者との交信、見えない世界が見える人、世の中にはこうした経験や能力を持った人がいて、彼らを題材に選ぶのはまさに時代を映しているのではないかと思えたのでした。それは、ヒアアフターについて堂々と語ろうとすると、一方で怪しい ( 臨死体験をした女性ニュースキャスターが死後の世界について書こうとしたら、会社の上司が猛反対した ) と思われる反面、一方では特殊な能力を持った人が表舞台とまでは言わないけれど、あるフィールドにおいて露出されている現象は、もしかしたらあまり日本と変わらないのではないかと。

過日、見えない世界が見えるということについて興味深い話を聞きました。それは人間という存在は本来は見えない世界について見ることができる能力を持っているということ。それは例えば、赤ちゃんが天井を見てニコニコしている様子や、子供が誰もいない場所をさして誰かいるのはというのは霊的な存在を見ているのだと。誰もがそうした薄く半透明な存在を幼児の時には見ているのだけれども、成長するにつれそうした能力の扉は段々と閉じられてしまい、やがて、それらを見ることができなくなるというのです。しかし、中には超まれにその扉が完全に閉じない人がいて、そうした人が見えない世界について見ることができるのだと。その扉の開き具合によって霊感が強いとか弱いとかあるのかもしれません。その話を聞いた人は、扉が完全に閉じておらず、目の前の人の内在する存在を感じることができると言っていました。その方によると私に内在している性格を見てもらったのようなのですが、妙に納得したのでありました。

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