〈はんぺん 玉葱入りと牛蒡巻き〉
私は昼と夕食は宅配弁当を取っている。朝食も娘がパンか何かを提げてくるから
食糧の途切れる事はない。つまり、娘が病弱な老人である私に車の運転をさせま
いとしている苦労の形である。お陰で外出する事が減り私の財布の目方は正月
以来殆ど変わりがない。滅多に買い物しないからである。
ところが某日弁当屋の手違いで買い物に出るチャンスに恵まれた。
配達されるはずの弁当が12時を過ぎても届かない。先方に電話すると「お宅の分
は作ってありません」という。そんな馬鹿なと、暫くやり合って電話はおわった。
しかし私は怒っていなくて、むしろ今日は好きなものが食べられるわいと思った。
スーパーに行く。近くのコンビニでもよさそうに思えるが久し振りの買い物
チャンスであるから、弁当を買った序でに他の何かも買い札びらを切ってみたい
のである。
今日の買い物で絶体買うと決めていた物は「焼いた餅」を包む海苔、昼に食べる
寿司、これはだし巻きの入っていないほうがいい。そして好物のはんぺん。
他にも駄菓子やら生活必需品とかイチゴもかごに入れた。
セルフレジに並び「夏目漱石」若干枚と小銭入れからコインを取り出して支払い
をした。
久し振りの買い物で心持ち財布が軽くなったが気分がすっきりした。
本日も平穏なり