もう一人の女性は、TVで目にしたことのあるイラン出身の女優であるサヘル・ローズさん。
11月29日、NHK Eテレ 心の時代〜宗教・人生〜「砂浜に咲く薔薇のように」、2019年11月初回放送の再放送であった。
1989年イラン・イラク戦争での空漠により、4才の時に住んでいた町が全滅。
ボランティアの女子学生に救出され、孤児院に収容される。
孤児院に入って3年後に養母となったのが、彼女を救出したテヘラン大学生のフローラ・ジャスミンさんで、彼女にサヘル・ローズと名前をつける。
サヘル・ローズとは「砂浜に咲く薔薇」という意味で、薔薇は砂浜に咲かないはずだが、自らの力で困難に立ち向かう力強さを持ってほしいという想いでつけた。
フローラさんは孤児を引き取ることに家族から反対され、日本に留学中の夫を頼って来日するも、母娘は家を出る結果に。
公園でホームレス生活を体験する。小学校の校長先生から日本語を、先生からは古いランドセルを、給食のおばさんによってホームレス生活も終えることができた。しかしその後も生活は苦しかった。
中学生の時に長いこといじめにあう、母を悲しませたくないので黙っていた。しかしある日、母が生活苦について初めて弱音をはいた。母もまた無理をしていたのだと分かる。そこから2人の信頼関係はさらに深まっていった。何度も死から生きるを貰っている、死が必ずしも終わりではなくて死と思いがちなことでもそこから生きるを見つけた。
野菜が無料で持ち帰ることができるという理由で都立園芸高校定時制に進学、ここで出会った先生の影響で自分の生き方を大きく変えることができた。高校三年生の時にオーディーションを受け、ラジオ番組でデビュー、テレビや舞台、映画などに活動の場を広げた。23歳になったとき、自分の人生を綴った本「戦場から女優へ」を出版した。
母からは戦争で家族全員が死亡したと聞かされたいたが、20年振りに訪れたイランの孤児院で、本当は家族が離散して孤児院に収容されたことや自分の出生の秘密を知る。
サヘルさんは、以前から施設などへ訪問活動を続けてきた、その活動は難民地域の子供を訪ねたりと世界にも広げている。
二人で薔薇を育て始めた。バラ園は母が長年持ち続けたささやかな夢であった。
お母さんは、何十年も苦労してきている、全部私のために、私が入った時点で全てが壊れていくんです。お母さんの家族、お母さんの人生、お母さんの夢、夫婦関係。バラ園を始めてから一年後、フローラさんが癌を患っていることが分かった。
先日の12月23日、NHK BSプレミアム、「ふらっとあの街 旅ラン 10キロ」でサヘルさんはさいたま市大宮を走った。
この町で母と絨毯を織っていたこと、バラを育てていること、出会った人々と明るく語る顔があった。