曇り、23度、84%
36年ほど前に買ったアラジンのストーブを修理に出しました。30年は使っていません。実家の暖房器具も私たちが使っていた他の暖房器具も全部捨てました。残したのはこのアラジンのブルーフレームと呼ばれるものだけです。
日本にいた頃の冬の朝、このストーブの前にはリキという猫がうずくまって火が入るのを待っていました。火を入れるとリキの横には、息子の幼稚園の制服が置かれます。このストーブでどれだけの煮炊きものをしたでしょう。小豆の煮える匂い、シチューのクツクツという音、ポトフなんてこのストーブの得意料理です。こたつがない我が家はパンの発酵も冬の間はこのストーブ周りです。
8月に帰った折、息子が運転する車で修理してくれるお宅まで運びました。随分以前お電話をしてどのくらいで直してもらえるかを確認してありました。4、5時間でオーバーホールしてくれるということです。伺うと、直してくださるご主人が入院中とのことです。急ぐものではありません。お時間のあるときにとお願いして帰ってきました。先月帰国したときに、取りに伺いますとお電話しました。まだ、ご主人入退院を繰り返していらっしゃるそうです。それでも、私のために翌日までにオーバーホールを終えてくださいました。
今でもこれと同じ型のストーブが出ています。ところが作る会社が変わったそうで昔のものは作りが丈夫にできているそうです。そんなこと私にはわかりませんが、思い出の詰まったこのストーブに火を入れることができるのが嬉しくて仕方ありません。 まだ絨毯も引いていない部屋に置きました。この部屋の天井は4、5メーター。もちろんこのストーブ一つでは暖房は足りません。吹き抜けの部屋は夏にはもってこいですが、冬のことを考えると思わずゾッとしてしまいます。おいおいこの部屋の暖房を考えるつもりです。
まだ灯油も用意していません。家に帰って、芯の上げ下げの練習をしてみます。こんな暖房器具を使うのは久しぶりです。火をつけるという行為に気持ちが引けてしまいます。主人が一緒の時に火を入れてみるつもりです。他の部屋は、 やはりこのオイルヒーターにお願いすることにします。
火を入れるのは先の話ですが、アラジンがあの部屋で私たちの帰りを待っていてくれると思うと、心の中にぽっと火が灯ります。