僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

病院のベッドで

2007年02月28日 | SF小説ハートマン
目を開けようとした。とっても明るい。もう朝じゃないのかな。
まぶしいくらいに白い。もう一度目を閉じる。

朝なら起きよう、という気持ちと、もっと寝ていたいという気持ちがせめぎ合っている。
うーん、と伸びをすると何かが手に当たってコトンと音がした。

「あっ宇宙(ひろし)起きたのね。」

ママがティッシュの箱を枕元に置きながら言った。
毛布を掛け直しながらおでこに手を当てた。
ママの柔らかい手のひらが温かくて気持ちがいい。

「良かった。宇宙、熱下がったわ。」

こんどはママが、うーんと言いながら両手を挙げて伸びをした。
僕の顔をのぞき込んでから手のひらをそっと握りながら言った。

「もう少しじっと寝ていてね。動くと点滴外れちゃうから。」

点滴?そういえば毛布から出した左手にチューブにつながった点滴液がぶら下がっている。ここは病院なんだ。

段々思い出してきた。試験の帰りに寄ったピザ屋さんで僕は熱を出してそのまま眠ってしまったんだ。パフェも食べたくないって言ったら、ママが恐い顔になったのを思い出した。お父さんにおんぶして、ママの匂いのするコートを掛けてもらって、タクシーに乗って…

そうだ、トントの夢を見たんだ。
洞窟に閉じこめられる恐い夢と、洞窟から出られてトントに会う夢だった。
夢なのに夢じゃない。久しぶりの体験だった。
それは何か特別に重大な体験なのだと今の僕には分かる。

夢のこと、ママには言わないことにしよう。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日課の牧歌 | トップ | 困ります。 »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
入院 (コスモス)
2007-03-06 13:30:44
マー坊様 こんにちは。

宇宙君は試験の為に全力を尽くしたのでしょうね。
緊張感がほぐれたのでしょう。
熱が下がってよかったですね。

洞窟の話は夢だったのですか。
返信する
ハートマン (マイム)
2007-03-06 23:04:58
コスモス様 こんばんは。

いつも読んで下さってありがとうございます。
宇宙は時々夢を見ます
夢は未来からのメッセージなのです

死んでしまったトントが
宇宙が一人前のハートマンになるまで
夢でアドバイスをします

バイオリストコンピュータに
設定されている
教育プログラムです
返信する
 (コスモス)
2007-03-07 19:42:52
マー坊様  こんばんは。

夢とは不思議ですね。
有名な人で夢に出てきた事を
実行して成功して見えます。
トント君みたいな人がきっと
アドバイスしてくれるのですね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

SF小説ハートマン」カテゴリの最新記事