僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

故郷とは

2014年09月25日 | SF小説ハートマン







窓から見えるこの惑星は地球のようだ


宇宙(今はハートマンと呼ぶ方がふさわしいかも知れないが)は思った






戦いが終わり、奴隷達は解放された
それぞれの生まれた星に送り返す手続きを済ませ
今またハートマンは一人になった


自分の故郷は地球だ


何万パーセクも離れた場所にいて
バイオリストコンピュータに尋ねれば
いつでも地球の位置情報を知ることができる

その場所に帰るための方法も、その果てしない時間も…





宇宙も満たしているものは真空ではなく
ダークマターと呼ばれていたものは実は素粒子で
すべてのものに重量と速度を与えるものだということが分かってから
人間は光速を超えて空間を移動できるようになった


それでもなお故郷に帰るには地球時間で数年もかかる場所に宇宙(ひろし)はいる



ハートマンはミッションのコンプリートを告げるため
送信アンテナを故郷の座標に合わせた
宇宙では電波信号といえどもまっすぐには進まない
巨大な恒星の重力が進路をねじ曲げるからだ

それでもバイオリストコンピュータは
カイラスから受け取った膨大な情報を元に信頼できる方向を見つけた

ハートマンからの信号と分かるように
最初のパルスを送り始めてからもう2週間が過ぎた
帰還の準備を進めながら漆黒の空間を見上げて
宇宙(ひろし)は祈った



「星見ちゃんなら、この信号を必ず捕まえてくれるね」




























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