goo blog サービス終了のお知らせ 

僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ハートのカメムシ

2006年05月08日 | SF小説ハートマン
それからも何度か傷が痛んだけど、
その度にハートのカメムシに触ってもらうと気持ちが良くなった。

ママは
「又どっかで変な虫取ってきたの~。ママいやよ、かごから出しちゃあ。」

何時だったか僕が飼ってたカナブンが逃げ出して、洗濯物にくっついてたことがあった。
「ひろしーー!早くなんとかしなさーい。」
って大騒ぎした。
そのことを今でもずーっと言ってる。
(つづく)

昆虫図鑑

2006年05月07日 | SF小説ハートマン
そのままうちに帰ってカメムシは飼育箱にそっと入れた。フーセンカズラが好きなんだろうと思って、元気そうな葉っぱも一緒に取ってきて入れておいた。

それから、去年のお誕生日におばあちゃんに頼んで買ってもらった昆虫図鑑を出して見た。幼稚園の絵本のおまけなんかじゃなくて、大きくて厚くて、~科とか英語で書いてある大人用のだ。

「こんな難しいの宇宙は分かるの?こっちの方がいいんじゃないの」
おばあちゃんは子供コーナーの本を持ってきたけど、
「そんなの幼稚園にあるもん。絶対こっちの。」
言い張って買ってもらった、絵もきれいで字もいっぱい書いてある本だ。

お誕生会に呼ばれて美佳ちゃん家に行った時
「宇宙君は虫好きだったな。ほら、こんなのどうかな?」
と伯父さんに見せてもらって、すっごく気に入ってた図鑑だ。
美佳ちゃん家の伯父さんは趣味で虫を研究してる、虫博士なんだ。デジカメで写真をいっぱい撮ってホームページで紹介してるくらいだ。

図鑑には時々分かんない漢字があるけど、その時はお父さんに読んでもらう。
時間はそんなにかからないですぐに見つけた。
「エサキモンツキノカメムシ」だって。王蟲じゃないんだ。
ふーん。卵を守る習性があるって書いてある。

でもフーセンカズラが好きとか、傷を治すとかって書いてないよ。  つづく

カメムシ-②

2006年05月06日 | SF小説ハートマン
「なんか普通のカメムシとちょっと違ってた感じするなあ。」
もう一度みたいと思った時、いた。
さっきのとこ。傷のとこ。触覚で触ってる。やっぱり痛くなくなってる。

「えー?ホントに王蟲カメムシなの?」
こんどはよーく観察することにした。

「すごい!フーセンカズラの仲間だ。」だって、ハートの模様がある!
傷にもハートの模様。傷が好きなハートのカメムシ。
しかも傷を治す王蟲!星見ちゃんに見せなくっちゃ。
お父さんには・・・言っても信じないだろうな、傷を治す王蟲のカメムシがいるなんて。

カメムシは相変わらず触覚で傷を触っている。痛くないだけじゃなくて、なんかすーっとする感じ。嬉しくなる不思議な感じ。


スゴイ秘密だ。なんかドキドキする。     つづく

カメムシ

2006年05月05日 | SF小説ハートマン
「ううん、大丈夫。ちょっとね。」
「そこの一番上の引き出しに入ってるわよ。ママ今忙しいから自分で出してくれる?」
ああ、よかった。ケガなんかしたら、もう公園行っちゃダメって言うもんな。

その時は、バンドエイド貼っただけだった。あれが本当に始まったのは次の日公園で又フーセンカズラの種を探している時だった。
 
腫れたところがすごく痛くなってきたので、バンドエイドをそーっと剥がしてみた。赤くなっている中心が黒い豆になっている。いや豆じゃない。種だ。ハートのマークが付いてる。傷に種が入ってたのか、だから痛いんだ。取ろうとすると、もっとすっごく痛い。もう涙がじわってきた。今日はもう帰ろっと。仕方がないからあきらめてママに見せよう。

「やっぱりお医者さんに行く運命にある宇宙君なのだ。」
そうつぶやいて帰りかけたとき、どこから飛んできたのか小さな虫が左手首にとまった。
なんだカメムシか。臭くなるから潰したりしないよ。ふっと吹き飛ばそうとすると、カメムシの奴長い触覚で僕の痛いとこちょんちょんしながら僕を見た。

ホントに見た。
昆虫は複眼なのに確かに目と目があった。

「おまえなあ、僕のそこ痛いんだから。」
そう言ってふと気が付くと、痛くない。
「えーっおまえ、ナウシカの王蟲みたいなやつだな。治してくれるの?」そう言って振り払うと急に激痛が来た。
「ごめんね、嫌いだからじゃないんだよ、ここは痛いとこだからだよ。」
 
僕は虫も大好きなんだ。いつもだったら絶対家に持って帰って飼うところだ。ちょっとかわいそうな気もして、どこに飛んだのか探した。でも見つからない。
草をかき分けてみても、いない。   つづく

手首の傷

2006年05月04日 | SF小説ハートマン
始めてこのお話を読んで下さる方へ…左のカテゴリーから「SF小説 ハートマン」を選び、古い記事からお読みいただけると嬉しいです



星見ちゃんはピアノはやってるけど塾には行ってない。でも僕が知ってることは大体何でも知ってる。知らないこともいっぱい知ってる。だからスゴイと思う。

その日は塾はない日だった。家に帰りママに言われない内に手を洗った。何かちょっと痛いような感じがして目をやると、左の手首が少し腫れていた。
血は出ていないし、大したことないだろうと思ってすぐに忘れてしまった。

でも少しずつ始まってたんだ。

その日お風呂に入っている時、手首の内側の腫れが大きくなっている。
やだなあ、痛くなったらお医者さんかなあ。ばい菌が入っちゃったのかなあ。石鹸でよく洗っておこう。
そっとこすると、やっぱりほら、小さな傷がある。腫れた真ん中がおできの出来かけみたいにぷくっとなってる。昨日公園でフウセンカズラの種集めてるときになっちゃったのかなあ。

「ママー、バンドエイドあるー。」
隣の台所で洗い物していたママが大きな声で答えた。
「どうしたの?ケガしたの?」   つづく

幼児教室

2006年05月03日 | SF小説ハートマン
僕は来年小学生になる。もちろん星見ちゃんもだ。
僕はお父さんが行ってた高原大学附属に行きたい。でも難しいテストがあるので今勉強中。
幼稚園が終わったら水曜日は遊ばないで、塾に行ってる。
お受験の幼児教室だ。

親戚の中には、
「お受験してるんだぁ、宇宙君もほ~んとに大変ねぇ~。」
なんて、なんか嫌味みたいに言う人もいるけど、ぼくは気に入ってる。だって面白いし、できるとうれしい。

先生だって好きだ。特に吉田先生なんかすっごく面白い。お勉強中なのに静かにしなさいとか、ちゃんとしなさいとかあんまり言わない。いつも面白い事言って笑わせる。
みんなが大きな声で笑うと、
「じゃあ、お勉強するからね、お静かに願います。」なんて言ってまた笑わせる。何だかお勉強じゃあないみたいだ。

そのくせ、帰る時間になってお母さん達に説明するときはなんか真面目な顔になってる。お母さんも、うんうん、ってうなずきながら感心してる。
お母さんの方がお勉強しに来てるみたいだ。   つづく

無料大数

2006年05月02日 | SF小説ハートマン
もうずっと前だけど、何とか流星群が来て、いっぱい流れ星が見えるからっていう日があった。ニュースで何日か前からやってたからみんな楽しみにして、夜一緒に見たんだ。

「誰が一番沢山見つけるか競争だぞ。」お父さんが言った。寒かったけど我慢して星が流れるのをずっと待っていた時、

「星っていっぱいあるでしょう、いくつあるか知ってる?」空を見上げたままで星見ちゃんが言った。

「知らないけど百万個くらい?」
「ううん、もっといっぱい、無量大数。」
「なにそれ。」
「あのね、うーちゃん、一億って知ってる?」
「うん、聞いたことある。お父さんがこの前買ってきた宝くじ見せて、一億円だって言ってた。」
「その上が一兆、その上が一京、その上がガイで、ジョ、ジョウ、コウ、カン、えーっといろいろあって、ナユタ、不可思議、無量大数なの。」
「へーえ、なにそれ。」

難しすぎるよって思った。
「うーちゃんもそのうちお勉強すればわかるよ。」  つづく

ワープ中

2006年05月01日 | SF小説ハートマン
ワープ中って言うのは、まだ緑色でタネになってないって事なんだ。星見ちゃんにはこれで通じる。
2人合わせるとフーセンカズラの種はもうお菓子の箱半分くらいになってるはずだ。あと2回くらい取りに行けば、去年の記録オーバーするだろうな。お父さんにきちんと数えてもらうんだ。

去年数えたときは確か1500以上あったよ。僕と星見ちゃんが10ずつ数えて折り紙で作った箱に入れていく。それが10できたらお父さんが小さなビニール袋に移してくれる。全部入れ終わったら袋を数えるんだ。

袋は15できて、あと10個ずつ入った箱が7個。それと箱の中に5こ残ったんだ。思い出したぞ。お父さんが、一袋が100だから2,4,6の8の・・・・
「これ全部で1575個だ。」って教えてくれたんだ。
「すごいね、もっと集めたら百万個位になるかなぁ。」
「いやぁ百万個って言うと、ちょっと待てよ。」って言いながら電卓を叩いて
「うーん、これがあと634倍いるって事だぞ。ちょっと無理かな、でも、2000個なら集まるかもね。」

僕、百万個って、すごいんだなって思ったけど、星見ちゃんはえらい。

「よし、百万個あつめよっと!この一粒が一袋だって思えばいいんでしょう?ね、おじさん。」なんて言うんだ。お父さんは、
「そうだよ星見ちゃん、全部じゃなくても半分でいい。星見ちゃんはきっと数学強くなるだろうなぁ。」って感心してた。僕はそうゆうもんかなって思ったけど、星見ちゃんって難しいことを簡単に言ったりして、なんか普通じゃないすごいひらめきがあるんだ。   つづく

宇宙のうーちゃん

2006年04月30日 | SF小説ハートマン
「すごい、すごい、すっごーい!こんなにどこで見つけたの、うーちゃん。ねえ」
星見ちゃんはいつも僕のことを「うーちゃん」って呼ぶ。僕のヒロシって名前がうちゅうって書くのを知ってるからだ。
でも「うーちゃん」呼ぶのは星見ちゃんだけ。他の人はみんな「ひろしくん」って言う。杏子先生だってそうだ。星見ちゃんのお父さんが教えたらしい。

僕と星見ちゃんのお父さんは幼稚園からずっと仲良しで、今でも会社行かない時はしょっちゅう一緒に遊んでる。何してるのかは知らないけど。いつも「星見ちゃん家行って来る」って出かける。いつだったか急に星見ちゃんが来て
「ひろしくんって宇宙人だったんだ。今度からうちゅう君って呼ぶよ。」って言うんだ。僕が「やめてよ、みんなまねするから~」って言うと、
「じゃあ、宇宙のうーちゃんね、決ーめたっと。いいよね、うーちゃん」だって。それからうーちゃんになっちゃった。

星見ちゃんだから許しちゃう。他の子はだめ、絶対ダメ。だってヤだもん、そんな呼び方恋人同士みたいで。

「昨日ね、子供の国の花壇で取ったんだ。水飲み場の後ろの方、まだワープ中なのもいっぱいあるから今度取りに行こうね。」
「うん、いくいく。」

宇宙(ひろし)の友達 星見(ほしみ)

2006年04月30日 | SF小説ハートマン
今日はちょっと熱があるみたいだ。きのう公園で暗くなるまでタネ取ってたからかな。いっぱい集めたけど、気がついたら暗くなってた。
ママにいうとすぐ怒るからやだ。いつまでも遊んでるからだとか、ちゃんとお勉強しないからだとか、いっつも言うことは同じだ。頭が痛いなんて言ったら最悪だ。幼稚園は休みなさい、塾の時間までねてなさいなんて言うに決まってる。黙ってる方がいいさ。幼稚園行って星見ちゃんに昨日の分を見せるんだ。

このとき未だ僕は自分の体に起きつつある変化に少しも気付いていなかった。

幼稚園ではいつものように杏子先生が、「よっ、宇宙君おっはよう。」って迎えてくれた。
「先生、この子ちょっと風邪ひいたみたいで、いつも遅くまで遊んでるから。ひょっとしたら熱あるんじゃないかと思うんですけど、帰った方がいいでしょうか」

なんだ、ママ熱があるのちゃんと知ってんじゃないの。そんならいつもみたいに、寝てなさいって言えばいいのに。ホントは午前中にショッピングセンターのバーゲンがあるから僕をお医者さんなんかに連れてけないんだ、きっと・・・

「あら、そうですか?まあ、でも大丈夫でしょう。元気そうですし。後でお熱測ってみますね。お預かりします。」
よかった。やっぱ杏子先生、僕の強ーい味方だ。帰りなさいって言われたらどうしようかと思っちゃった。
星見ちゃん来てるかな。ホールの方を探すと、あっ、もう来てた。箱積み木の上で一人あやとりしてる。あやとりは最近の星見ちゃんのマイブーム。僕はおたより帳に急いでシールを貼るとすぐに側に行った。
「星見ちゃん、ほらこれみて。」 つづく

ハートマンの長いお話 その①

2006年04月30日 | SF小説ハートマン
僕、宇宙(ひろし)は子供の国の花壇を探し回っていた。大好きなフーセンカズラがもう種になっているはずだ。夏の盛りにめぼしをつけていた近所の垣根からもう100個くらいは手に入れた。この広い公園にもフウセンカズラは毎年実を付ける。誰かが好きで蒔くのか、毎年落ちた種が生長するのか分からないけど、僕にとってはどちらでも良かった。誰も種を集めようとしてないし、大体あんまり目立たないしな。

黄緑の涼しげな風船になった時みんなの注目をちょっとだけ集めるこの草。ホントは種が一番なのにな。僕はいつもそう思う。ポケットのビニール袋に集まるこの小さい丸薬のような種が僕は小さい頃から大好きなんだ。

よく見ると正露丸にハートが付いているって感じだろう。友達がよく言ってたけど、仮面ライダーブラックって感じもするなぁ。こんな面白い物が自然にできるなんてふっしぎー。幼稚園に3年保育で通うようになる前から何となく、これは僕のタネだって感じがしていたんだ。

茶色く変身してしぼんでしまった風船をそっと開けると中に必ず3つずつある。まだ茶色になっていない風船をピリッと破いてみると、中には未だ黒くなっていないタネがコックピットに三人背を向けて収まっている。じろっとこっちを見て、まだ入ってくるな。いまワープの準備中だ!って言うんだ。ごめん。そう言って慎重に、準備の整って茶色くなったOKのやつだけを取る。地球で役目を終えた隊員達が3人ずつフーセン型の宇宙船で自分たちの国へ帰るんだ、きっと。

つづく