ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

親父の話(がん告知から3か月目)

2013年11月05日 | 医療
3か月ぶりに親父の顔を見た。癌の告知を受けたのが8月の頭。それからまずはQOLを確保するために、食事を困難としている大腸の腫瘍を除去する。手術は成功。巨大に膨れ上がった腫瘍を含む40~50cmの切り取られた大腸を見せられる。正直、その異様な物体がとてもその直前まで親父の体内に存在していたとは思えない。こんなにもなったモノを取り除き、それでも生きている人間の肉体というか、生命力に改めて驚きを禁じ得ない。

しかしすべての癌を取り除けたわけではない。すでに全身に転移しており、事実上、それは不可能だ。

その後、今後の治療方針について考える。

根治に期待をかけていた親父も冷静に事態を把握し、何冊ものがん治療の本を読み、話を聞き、抗がん剤治療を拒否することとした。このあたりの決定過程については、直接話をしたわけではないのでよくわからない。ただ近藤誠さんの影響があったことは間違いないし、癌となりやはり抗がん剤治療を拒否した友人の影響があったのも間違いはない。そして東京で働く僕に手を煩わせることがないように、自宅で何かあった場合にも駆けつけてくれる主治医を見つけてきた。死への準備を自ら進めはじめる。

個人的には抗がん剤治療を拒否したことに賛成だ。年齢も年齢だし、根治の可能性がない中で必要以上に体に負担をかけるような治療には賛成しない。むしろ欧米人が考えるように、残された時間をどう有意義に過ごすかを考えた方がいいと思う。

それにしても、手術直後は随分、しんどそうにしていたけれど、久しぶりにあった親父それ以前と変わらず元気そうだ。顔色もいいし、特に食事かできないというわけでもない。もっとも本人が自制している部分もある。消化のいいものを中心にしているし、とにかくよく噛むようにしている。刺激の強そうな山葵などは控えている。とはいえ、酒も全然、普通に飲んでいる。

もちろん、この後もこのような状態が続くのかどうかはわからない。ただその様子をみていると、多少の制限はかかったとしても食べたいものを食べ、飲みたいものを飲むという選択は悪くないな、と思う。今さら、酒や煙草を控えたとしても、残りの人生でどうなるというのだろうか。お医者さんからすると、決して模範的な患者ではないかもしれないが、それでいいではないか、と思う。

自ら用意した墓の予定地を見に行く。まだ墓石はない。まぁ、親父のこだわりで天然石がいいだとか、何とか言っているので、僕が口出す問題でもないのかもしれない。うん、何か生きている親父と死んだ後に入るお墓の話をするのは何とも奇妙だ。

親父の兄弟に今の状態を知らせている人とそうでない人がいる。その人たちには知らせるつもりはないという。兄弟といえども子供の頃とは違う。いろいろと問題もあるのだろう。でも知らせないのとどうかと思う。親父に言わせると、これは自分の人生だ、葬儀も含めて来てほしいひとに来てもらいたい。自分の葬儀は自分のものだという。

しかしそれはどうなのだろう。葬儀は死者のためのものなのか、残された生者のためのものなのか。互いに言い分や見解の相違もあるだろうが、そういったものも含めて、すべてが許されればと思う。

StageIVの癌の場合、平均余命は6~8か月。まだまだ時間があるともいえるし、ないともいえる。いずれにしても僕が東京で働いている限り、実際に会える機会はそう多くない。1つ1つが貴重な時間になるのだ。

そう思うと何とも言えない気持ちが広がっていく。


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1 コメント

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お邪魔いたします (千早)
2014-05-09 05:31:32
癌は、アプリコットかびわの種で消えますが。

アプリコット・カーネル(種)で癌が消えたお婆さん!
http://insidejobjp.blogspot.com/2013/09/hpv.html

これを知られないようにしているのは
現代医学、医療と製薬業界が儲からなくなるからです。
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