ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

「ポータル」サイトが消滅する日

2005年07月28日 | 検索・ポータル
yahoo!やgoogle、gooといった検索サイトが「ポータル(入り口)」と呼ばれる理由は、インターネットを利用する人の多くがまず「検索」をするという前提にもよるのだろうが、それはひとえにその「ポータル(入り口)」を利用すれば目的の場所にたどりつけるということを象徴的にも実用的にも表しているからだろう。

そう考えると、厳密な意味での「ポータル」ではないのかもしれないが、「ポータル」的なものというのはいろいろとある。例えばテレビ。少なくとも地上波に限定すると、多いところでもNHK2局+民放6局(日テレ系、TBS系、フジ系、テレ朝系、テレ東系、独立U局)と8局の放送波を電源をonにしてしまえば、後はボタン1つで切り替えできる。つまり求めている情報(番組)がその時間帯に存在する(放送されている)限り、ボタンの切り替えだけでたどり着くことができるのだ。この場合、「ポータル」的なものとは何をさすのであろう。

少なくともそれは放送局ではない。目的地(チャンネル)を切り替えるという意味であれば、リモコンを含んだテレビ本体が「ポータル」的なものといえるだろう。

あるいは「iモード」のトップページなどもそうだろう。実際には、勝手サイトもあり「iモード」のトップ画面が全ての「入り口」ではないし、別にPCのように「検索サイト」が「ポータル」であってもいいのだろうが、公式サイトを体系的に整理したiモードのトップページが「入り口」となっている。iモードのトップ画面自体はドコモのネットワーク上に存在する「サイト」に他ならない。これが、にもかかわらず圧倒的に「ポータル」としての機能とアクセス数をほこるのは、ドコモからの情報や公式サイトへのアクセスを一元的に統括していること、そしてiモード端末のデフォルトに設定されたものだからに他ならない。

実はこの設定を変更することは可能だ。しかし多くの人はこれが端末にくくり付けられた固有のものだと思っているし、事実、変更するほどのメリットはない。iモードもまた端末そのものが「ポータル」とも言える。

しかしもしかしたらPCの世界でも「検索サイト」が「ポータル」と呼ばれる日はもうすぐ終わるのかもしれない。

このことを考えるためには大きい流れと小さな変化の両面から見ていく必要がある。

まずは「小さい変化」から。既にFirefoxなどのブラウザにはツールバーとして「検索窓」が搭載されているし、各検索サイトはIE向けに「検索バー」を提供している。PCにおける「ポータル」の要素が「検索機能」にあるのだとしたら、ブラウザを起動させた時点で「ポータル」サイトにアクセスする必要はなくなり始めている。

またYahoo!やgooが提供している機能というのは、何も「検索」だけではない。最新ニュースやフリーメールといった機能もある。しかしこれらについても、RSSの発達はそのサイトに行かずとも、ユーザーに更新情報を届けてくれる。ユーザーはそれを見て必要な時にのみアクセスすればいいのだ。

今はまだRSSリーダーとブラウザの融合はスムーズではないが、これがもう少し改善されると、こうした傾向はより強くなるだろう。

そして「大きな流れ」。一方のブラウザ側にはこうした「小さな変化」が起こりつつあるわけだが、PC全体でいうと、全く別なアプローチから「ポータル」サイト離れが進んでいる。その1つが「iTunes」の登場だ。

iTunesはご存知の通り、ダウンロードされたりりっぴんぐされたりした楽曲ファイルをローカル上で管理するためのツールだ。これがそれまでのソフトウェアと違うところは、iTMSという楽曲ダウンロードサイトとシームレスに繋がること、そして「音楽」というパーソナルに根ざした利用の場合には、ローカル上で管理=必要な楽曲ファイル(情報)にたどり着けること、の方が効率的だということを「再発見」させたことだろう。ローカル上のアプリケーションでありながら、こと「音楽」に関してはiTunesが「ポータル」として機能し始めたのだ。

この流れは音楽だけではない。PC上の膨大なファイル管理に際して、フォルダを幾層にも切って管理することは可能だろうが、僕のような怠け者に対して、googleやMSNは「デスクトップ検索」という解を与えてくれた。このデスクトップ検索も、インターネット上のサイト検索とシームレスであり、かつファイル管理というパーソナルな部分についてはローカル上で処理を行う。ここでも「ポータル」がローカルに来つつある。

 「検索」という情報整理の新しい技術

PCがより人の生活に密着していくのだとしたら、その利用用途に応じて、いくつもの「ポータル」的なものが登場してくる時期に来たのだろう。それらはいずれもインターネットとシームレスにつながりながらも、利用効率に応じて、ネット上で提供されたり、あるいはローカルで処理を行う。

だからこそあえて考えてみたいと思う。今後、PC上での重要なアプリケーションとなるであろう、BLOG、テレビ、徹底したパーソナライズされた検索というのは果たしてどのようなポータルが求められるのか。あるいはどこでどのように提供されるものなのか。

 PCからTVを攻める-「TVポータル」の可能性


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