◎2014年10月4日(土)
富士見下(6:40)……富士見小屋(8:05)……分岐(8:45)……荷鞍山(9:20~9:40)……分岐(10:10)……白尾山(10:20)……富士見小屋(10:55)……アヤメ平(11:15)……富士見小屋(11:40)……(昼食)……富士見下(13:10)
尾瀬の富士見峠から皿伏山を結ぶ稜線から南側に外れた尾根上に荷鞍山という三角点峰がある。位置的に尾瀬の山と言うには無理があるかもしれない。片品村の山といったところだろう。この山、4年前の夏に行きかけたことはあるが、当日の体力が続かずに山頂は断念したままになっている。尾瀬の紅葉の便りをネットで拝見していると、今が旬のようだ。紅葉を楽しみながら改めて行ってみようか。紅葉を一人で楽しむのも何だからと、ハイトスさんをお誘いしたが、連日の宴会がお忙しいようで、すげなく断られた。しかたない。一人で行くか。
賑やかな鳩待峠やら大清水から尾瀬に入るのは性に合わない。木道を歩き続けるのも苦痛。まして、今回は的を荷鞍山に絞っている。となると、前回同様に富士見下からの歩きとなる。ここは林道歩きが苦痛だが、駐車代だのバス代といったムダな諸費用は一切かからないのが利点の入山口である。
(では出発。ゲートを越える)
富士見下の駐車場には車が7台ほど。準備中のお2人を除いてすでに出払っている。長靴を履いてすぐに出発。なぜ長靴にしたかというと、富士見峠から皿伏山方面は悪路で、ぬかるみが多いからなのだが、この長靴履きが後半になって裏目に出てしまう。出だしは快適そのもの。
(色づきはいいが陽のあたりが欲しい)
長い林道歩き、紅葉はこの付近にまで下りてきている。残念ながら薄ぼんやりの天気模様。陽があたらずに、見事な紅葉を鑑賞できない。そのうち晴れてすっきりすると思うが。
すぐに右足が痛み出した。腰から足先までの痛みがここ数日続いている。調べると、どうも坐骨神経痛のようで、昨年も同じような症状が出て、整形外科に行ったら坐骨神経痛と言われていた。今回もまたしばらくは痛みを我慢するしかあるまいが、長い歩きは避けた方がいいだろう。気だけは若いつもりでいても、身体は年相応に、いやそれ以上に着実に老化している。悲しい話だ。
(田代原で)
(林道も、上に行くに連れて色が濃くなる)
痛みに気をとられ、ザックに括り付けた帽子を落とした。しばらく戻る。観光地の尾瀬では手ぬぐい頭というわけにもいくまい。長靴だけは見逃していただこう。準備中だった若いお2人はまだ上がって来ない。すぐに追いつかれると思っていた。それにしても陽がなかなか出てくれない。公園のようなところを通過。ここは紅葉が盛りだ。この公園のようなところ、後で「田代原」というスポットであることを知った。標高は1520m付近だ。
(荷鞍山は見えない)
(富士見小屋に到着。晴れていれば富士山が見えるのだろうな)
右側の視界が開ける。荷鞍山が見えるはずだが、ガスがかかって、荷鞍山尾根の山並みはまったく見えない。これでは、今日の尾瀬は白い世界ではないのか。
トレランに抜かれた。同時に下ってくる3人組。都合5人の交差だ。一瞬賑やかになる。3人組、割りと軽装だが、今7時半過ぎ。富士見小屋にでも泊まったのだろうか。
水場があった。飲もうとしたら、コップとともに割れた木片が置かれていて、それを読むと「トイレ用水源の為一時的に水の出ない場合有」と書かれていた。飲む気がしなくなった。まさかとは思うが、下水路も兼ねていたとしたらたまったものではない。前回は、これを知らずにガブガブ飲んでいた。
ガスに覆われた富士見小屋に着いた。ハイカーが1人、コース案内掲示板を見ている。鳩待峠の方からでも来たのだろうか。休んでタバコを吸っている間に龍宮小屋の方に下って行った。この先、皿伏山方面に抜けるハイカーはほとんどいない。
(富士見峠を過ぎても林道の延長が続く)
(尾瀬の風景に近づいた)
さて出発するかと立ち上がった。瞬間、右足に痛みが走ったがすぐに引いてくれた。なおも林道のような幅広の道が続く。富士見峠を通過し、マイクロウェーブ反射板を見る。しっかりした道もここまでで、ここからは道が悪くなる。腐りかけた木道、ぬかるみになった。やはり長靴で正解だったが、木道に乗ると滑ってバランスを崩した。スパ長にしとけばよかったかもしれない。でも、木道にさらに穴を開けることにもなる。
この辺の紅葉、赤が少し目に入るが、草紅葉もかなり退色しかけていて、2000m付近は盛りが過ぎたのではなかろうか。もっとも、ガスがかかって周囲が見渡せない。ガスといえば、相変わらず荷鞍山は見えていない。
(登りになる。記憶の秘密の入口がそろそろだ)
(ヤブのトンネルをくぐって)
(作業道が始まる)
一旦登って下る。そしてまた登る。そろそろ秘密の入口が近づく。荷鞍山が見えていればあっさりと見つけられるはずだが周囲は白い世界だ。木の並びの記憶で探すしかない。きょろきょろしながらゆっくりと歩く。たまにテープが目に入るが、このテープはハイキングコースの目印。何とも紛らわしい。
ここだったかなぁ。木の棒が立てかけてある。下から覗く。薄い踏み跡があった。ここだ。今回は一発で見つけられた。ヤブを5mほどくぐると、作業道のようなしっかりした踏み跡に出た。
この荷鞍山、どういう立場の山なのかは知らないが、関係者(東電?)には入山して欲しくない山らしい。当然、しっかりした道の存在情報の発信もしかりである。しかし、ネット記事で複数報告されていることは確かで、今さら隠してもしかたあるまい。そんなことよりも、入口にあった木の棒は何だろう。関係者の物だとしたら、勝手に抜くわけにもいかない。あれはあのままにしておこう。
(ガスの間から荷鞍山が見えてきた)
道は次第に広くなり、すっきりと刈り払われている。むしろ、皿伏山に向かうハイキング道よりもしっかりしている。迷いようもない。しばらく下ってやがて平らになる。ようやく正面に荷鞍山が見えてきた。振り向くと、今度は白尾山の方はガスで見えない。
4年前に撤退したところは1926m標高点の先の小ピークだったが、そこを通過。また下って登りにかかる。南西方面の景色が広がるものの、樹間越しとなる。大した景色ではないが、斜面の色づきはきれいだ。
(大岩を巻き)
(緩やかになって山頂間近)
(そして荷鞍山山頂。噂では聞いていたが狭い)
大岩を右に巻き、ちょっとした急斜面が緩くなると山頂に出た。確実な道のおかげであっけなく着いてしまった。山頂は狭いが南側の展望は開けている。正面に荷鞍山・南峰。尾根伝いに道が続いているようだ。行きかけたが、登り返しがつらそうなので、山頂に戻って休憩。
この道、どこまで続いているのか興味のあるところだが、情報では尾名沢沿いになり、大清水の南側の国道に出るらしい。
(三角点)
(そして双耳の南峰。作業道が続いているのが見える。先に赤城山のシルエット)
ようやく来られてほっとはしたが、さして感慨の湧くような山ではない。当初から自己満足で出かけた山だった。それが達せられて良かったといった程度のものだ。三角点は何等か知らないが、そこらにあるコンクリの塊といったような粗末なもの。見過ごすかもしれない。ここにある山名板、ブリキ製のものだが、固定していた針金が取れていて、木の下に置かれていた。今度の台風で飛ばされるかもしれない。
(下る)
(また、ガスに隠れた)
パンを食べ、タバコを吸って下る。ここの紅葉もまた、赤は残っているが、感嘆するほどのものはない。陽が出てしばらくポカポカしたが、またガス。振りかえると、荷鞍山はまた消えかかっている。
(白尾山に向かう)
(ガスがかかっているせいか、赤だけは目立つ)
(素っ気ない山頂)
ヤブのトンネルを抜けハイキングコースに復帰。せめて白尾山程度は行っておこう。あっけなく山頂らしからぬ白尾山に到着。ここもまたさっさと戻る。
何だか、ないない尽くしのあっけない歩きが続いている。足は相変わらず痛いが、尾瀬の雰囲気だけでも味わっておきたい。アヤメ平くらいは行くとするか。
(プチ湿原の草紅葉)
(マイクロウェーブ反射板)
(ようやくといった思いで富士見小屋)
しかし、幅広の道路に出ると、さっき通ったばかりなのに、富士見小屋まで何でこんなに長いだろうかとため息が出る始末で、適当なところで尾瀬の風景を見て切り上げるかと、峠から八木沢道に入ってみたが、どうも先は山の中のようで、これでは尾瀬の景色を楽しむといった感じではない。戻って小屋に向かった。
小屋の周辺はハイカーで賑わっていた。先ほどここから出発して戻るまで、だれとも出会っていない。いかに皿伏コースはマイナーかということだろう。ハイカーも、富士見峠までは行っても、皿伏山方面に足を向ける方はあまりいないようだ。
(荷鞍山が見えた。本峰と右に南峰)
(アヤメ平の南斜面)
アヤメ平に足を向ける。ちょっとした階段の登りでも、足の痛みが響いてくる。困ったものだ。登りきって木道歩きとなる。広く平らな草原にミッキーマウスのようなTEPCOマークの付いた木道がずっと続いている。そして池塘。これが尾瀬の風景だよなぁ。それにしても、燧も至仏も何も見えない。それでいて赤城山のシルエット。おっと、荷鞍山が見えているじゃないか。双耳ともにだ。やはり、南峰にも行けばよかったかなぁ。いつもの、後のカーニバルの繰り返し。
(アヤメ平)
(池塘)
(ここでUターン)
しばらく歩いてアヤメ平の端まで行った。風が冷たく感じる。薄着のハイカーは自分だけのようだ。まして行き交う中に長靴姿なんかいやしない。対向者が長靴を見て笑っていた。貧乏人の山歩きか。決して自意識過剰ではない。これでは、地下足袋なら声を出して笑われるだろう(瀑泉さん、失礼)。まぁ、そんなことはどうでもいい。自分の機能的なスタイルなのだから。
小屋に戻って一服。上高地界隈と違って、尾瀬はタバコを吸いづらいところだ。タバコを吸うハイカーは目にしない。人気から離れて吸った。
(林道を下る。足裏が痛くなる)
(林道から荷鞍山。今朝は見えなかった)
(陽あたりのせいで色づきもいい。後は撮影のスキルだけの話)
ではさらばといたしましょう。長い林道を下る。すぐに痛みが起きた。砂利道に入った途端に、今度は足裏が痛くなったのである。上りでは感じなかった痛み。やはり長靴の限界であった。ある意味自業自得ではあるが、裸足になって歩けもしない。下まで痛みをこらえて歩いた。これに坐骨神経痛が加わるから、正直のところつらかった。
陽が出てきたせいか、林道沿いの紅葉はきれいになった。これを見られただけでも得した感じはある。左手に、上りで見えなかった荷鞍山も顔を出す。山の斜面の紅葉もきれいになった。紅葉を楽しみながらの下り、6人くらい、登る方と出会ったろうか。この時間だし泊りだろうな。
(田代原の紅葉を楽しみながら昼食)
田代原で昼食とする。横倒しの木に腰かける。今日はガスも持ってきてはいたがラーメンを作って食べる気にもならず、オニギリ1個で済ませた。そういえば、今日から山友に加えたグッズも使うことはなかった。あるいは、水場の水を飲んだら、早速の登板だったかもしれない。このグッズ、先日の槍ヶ岳の失敗談にコメントをいただいたB氏からの、ある意味お薦めのグッズだったのだが、山に持ち込むという発想は、正直、素晴らしい。考えもつかなかった。発想の転換といったところだろう。海外旅行に行くこともなくなって休眠入りして久しいグッズを探し出して、今回から導入させていただいた次第。ここで、いかに効率的で自然にやさしいグッズであるかを述べるのは、人によっては嫌悪感レベルの話にもなりかねないのでやめておこう。
(やはり、高いところの紅葉はいいねぇ)
(駐車場に到着)
そろそろ終点だろうか。しかし、痛みの伴う林道歩きはきつかった。ここまでかなりショートカットをした。左に何かの施設が見え、下りて行くと、雨量計測所であった。脇に小道があり、辿って下ると、駐車場の下のトイレ脇に出た。
車が増えていた。ざっと20台。これから登る方もいる。長靴を脱いでズックに履き替える。車に乗り込もうとしたら、ズックが草を引っ張る。何だと思ってみるとガム。そのまま口から放り出す方もいるんだねぇ。まったく。太い枝を探してへばりついたガムを落とす。最後は土にこねる。これだけで5分もかかった。
今日はそれほど汗もかかなかったので、着替えもせずにそのまま帰ることにする。鳩待峠行のバス乗り場にさしかかる。いつものように混んでいるとはいえ、それほどのものではなく、駐車場にかなりの空きもある。御嶽山の噴火が尾を引いているのであろうか。そういえば、アヤメ平を歩いている時、「ここは噴火の心配もないから」とおっしゃっていたジイ様がいらしたが、燧ヶ岳だって、見方によっては危ないんじゃないのかね。それを言い出したらキリはないが。
槍ヶ岳の紅葉を楽しんだ後だけに、紅葉へのこだわりはそれほどのものではなくなっている。今日は、わだかまりがあったままの荷鞍山に行けただけでも良しとしておこう。
(付録。今日から山友に仲間入り)
富士見下(6:40)……富士見小屋(8:05)……分岐(8:45)……荷鞍山(9:20~9:40)……分岐(10:10)……白尾山(10:20)……富士見小屋(10:55)……アヤメ平(11:15)……富士見小屋(11:40)……(昼食)……富士見下(13:10)
尾瀬の富士見峠から皿伏山を結ぶ稜線から南側に外れた尾根上に荷鞍山という三角点峰がある。位置的に尾瀬の山と言うには無理があるかもしれない。片品村の山といったところだろう。この山、4年前の夏に行きかけたことはあるが、当日の体力が続かずに山頂は断念したままになっている。尾瀬の紅葉の便りをネットで拝見していると、今が旬のようだ。紅葉を楽しみながら改めて行ってみようか。紅葉を一人で楽しむのも何だからと、ハイトスさんをお誘いしたが、連日の宴会がお忙しいようで、すげなく断られた。しかたない。一人で行くか。
賑やかな鳩待峠やら大清水から尾瀬に入るのは性に合わない。木道を歩き続けるのも苦痛。まして、今回は的を荷鞍山に絞っている。となると、前回同様に富士見下からの歩きとなる。ここは林道歩きが苦痛だが、駐車代だのバス代といったムダな諸費用は一切かからないのが利点の入山口である。
(では出発。ゲートを越える)
富士見下の駐車場には車が7台ほど。準備中のお2人を除いてすでに出払っている。長靴を履いてすぐに出発。なぜ長靴にしたかというと、富士見峠から皿伏山方面は悪路で、ぬかるみが多いからなのだが、この長靴履きが後半になって裏目に出てしまう。出だしは快適そのもの。
(色づきはいいが陽のあたりが欲しい)
長い林道歩き、紅葉はこの付近にまで下りてきている。残念ながら薄ぼんやりの天気模様。陽があたらずに、見事な紅葉を鑑賞できない。そのうち晴れてすっきりすると思うが。
すぐに右足が痛み出した。腰から足先までの痛みがここ数日続いている。調べると、どうも坐骨神経痛のようで、昨年も同じような症状が出て、整形外科に行ったら坐骨神経痛と言われていた。今回もまたしばらくは痛みを我慢するしかあるまいが、長い歩きは避けた方がいいだろう。気だけは若いつもりでいても、身体は年相応に、いやそれ以上に着実に老化している。悲しい話だ。
(田代原で)
(林道も、上に行くに連れて色が濃くなる)
痛みに気をとられ、ザックに括り付けた帽子を落とした。しばらく戻る。観光地の尾瀬では手ぬぐい頭というわけにもいくまい。長靴だけは見逃していただこう。準備中だった若いお2人はまだ上がって来ない。すぐに追いつかれると思っていた。それにしても陽がなかなか出てくれない。公園のようなところを通過。ここは紅葉が盛りだ。この公園のようなところ、後で「田代原」というスポットであることを知った。標高は1520m付近だ。
(荷鞍山は見えない)
(富士見小屋に到着。晴れていれば富士山が見えるのだろうな)
右側の視界が開ける。荷鞍山が見えるはずだが、ガスがかかって、荷鞍山尾根の山並みはまったく見えない。これでは、今日の尾瀬は白い世界ではないのか。
トレランに抜かれた。同時に下ってくる3人組。都合5人の交差だ。一瞬賑やかになる。3人組、割りと軽装だが、今7時半過ぎ。富士見小屋にでも泊まったのだろうか。
水場があった。飲もうとしたら、コップとともに割れた木片が置かれていて、それを読むと「トイレ用水源の為一時的に水の出ない場合有」と書かれていた。飲む気がしなくなった。まさかとは思うが、下水路も兼ねていたとしたらたまったものではない。前回は、これを知らずにガブガブ飲んでいた。
ガスに覆われた富士見小屋に着いた。ハイカーが1人、コース案内掲示板を見ている。鳩待峠の方からでも来たのだろうか。休んでタバコを吸っている間に龍宮小屋の方に下って行った。この先、皿伏山方面に抜けるハイカーはほとんどいない。
(富士見峠を過ぎても林道の延長が続く)
(尾瀬の風景に近づいた)
さて出発するかと立ち上がった。瞬間、右足に痛みが走ったがすぐに引いてくれた。なおも林道のような幅広の道が続く。富士見峠を通過し、マイクロウェーブ反射板を見る。しっかりした道もここまでで、ここからは道が悪くなる。腐りかけた木道、ぬかるみになった。やはり長靴で正解だったが、木道に乗ると滑ってバランスを崩した。スパ長にしとけばよかったかもしれない。でも、木道にさらに穴を開けることにもなる。
この辺の紅葉、赤が少し目に入るが、草紅葉もかなり退色しかけていて、2000m付近は盛りが過ぎたのではなかろうか。もっとも、ガスがかかって周囲が見渡せない。ガスといえば、相変わらず荷鞍山は見えていない。
(登りになる。記憶の秘密の入口がそろそろだ)
(ヤブのトンネルをくぐって)
(作業道が始まる)
一旦登って下る。そしてまた登る。そろそろ秘密の入口が近づく。荷鞍山が見えていればあっさりと見つけられるはずだが周囲は白い世界だ。木の並びの記憶で探すしかない。きょろきょろしながらゆっくりと歩く。たまにテープが目に入るが、このテープはハイキングコースの目印。何とも紛らわしい。
ここだったかなぁ。木の棒が立てかけてある。下から覗く。薄い踏み跡があった。ここだ。今回は一発で見つけられた。ヤブを5mほどくぐると、作業道のようなしっかりした踏み跡に出た。
この荷鞍山、どういう立場の山なのかは知らないが、関係者(東電?)には入山して欲しくない山らしい。当然、しっかりした道の存在情報の発信もしかりである。しかし、ネット記事で複数報告されていることは確かで、今さら隠してもしかたあるまい。そんなことよりも、入口にあった木の棒は何だろう。関係者の物だとしたら、勝手に抜くわけにもいかない。あれはあのままにしておこう。
(ガスの間から荷鞍山が見えてきた)
道は次第に広くなり、すっきりと刈り払われている。むしろ、皿伏山に向かうハイキング道よりもしっかりしている。迷いようもない。しばらく下ってやがて平らになる。ようやく正面に荷鞍山が見えてきた。振り向くと、今度は白尾山の方はガスで見えない。
4年前に撤退したところは1926m標高点の先の小ピークだったが、そこを通過。また下って登りにかかる。南西方面の景色が広がるものの、樹間越しとなる。大した景色ではないが、斜面の色づきはきれいだ。
(大岩を巻き)
(緩やかになって山頂間近)
(そして荷鞍山山頂。噂では聞いていたが狭い)
大岩を右に巻き、ちょっとした急斜面が緩くなると山頂に出た。確実な道のおかげであっけなく着いてしまった。山頂は狭いが南側の展望は開けている。正面に荷鞍山・南峰。尾根伝いに道が続いているようだ。行きかけたが、登り返しがつらそうなので、山頂に戻って休憩。
この道、どこまで続いているのか興味のあるところだが、情報では尾名沢沿いになり、大清水の南側の国道に出るらしい。
(三角点)
(そして双耳の南峰。作業道が続いているのが見える。先に赤城山のシルエット)
ようやく来られてほっとはしたが、さして感慨の湧くような山ではない。当初から自己満足で出かけた山だった。それが達せられて良かったといった程度のものだ。三角点は何等か知らないが、そこらにあるコンクリの塊といったような粗末なもの。見過ごすかもしれない。ここにある山名板、ブリキ製のものだが、固定していた針金が取れていて、木の下に置かれていた。今度の台風で飛ばされるかもしれない。
(下る)
(また、ガスに隠れた)
パンを食べ、タバコを吸って下る。ここの紅葉もまた、赤は残っているが、感嘆するほどのものはない。陽が出てしばらくポカポカしたが、またガス。振りかえると、荷鞍山はまた消えかかっている。
(白尾山に向かう)
(ガスがかかっているせいか、赤だけは目立つ)
(素っ気ない山頂)
ヤブのトンネルを抜けハイキングコースに復帰。せめて白尾山程度は行っておこう。あっけなく山頂らしからぬ白尾山に到着。ここもまたさっさと戻る。
何だか、ないない尽くしのあっけない歩きが続いている。足は相変わらず痛いが、尾瀬の雰囲気だけでも味わっておきたい。アヤメ平くらいは行くとするか。
(プチ湿原の草紅葉)
(マイクロウェーブ反射板)
(ようやくといった思いで富士見小屋)
しかし、幅広の道路に出ると、さっき通ったばかりなのに、富士見小屋まで何でこんなに長いだろうかとため息が出る始末で、適当なところで尾瀬の風景を見て切り上げるかと、峠から八木沢道に入ってみたが、どうも先は山の中のようで、これでは尾瀬の景色を楽しむといった感じではない。戻って小屋に向かった。
小屋の周辺はハイカーで賑わっていた。先ほどここから出発して戻るまで、だれとも出会っていない。いかに皿伏コースはマイナーかということだろう。ハイカーも、富士見峠までは行っても、皿伏山方面に足を向ける方はあまりいないようだ。
(荷鞍山が見えた。本峰と右に南峰)
(アヤメ平の南斜面)
アヤメ平に足を向ける。ちょっとした階段の登りでも、足の痛みが響いてくる。困ったものだ。登りきって木道歩きとなる。広く平らな草原にミッキーマウスのようなTEPCOマークの付いた木道がずっと続いている。そして池塘。これが尾瀬の風景だよなぁ。それにしても、燧も至仏も何も見えない。それでいて赤城山のシルエット。おっと、荷鞍山が見えているじゃないか。双耳ともにだ。やはり、南峰にも行けばよかったかなぁ。いつもの、後のカーニバルの繰り返し。
(アヤメ平)
(池塘)
(ここでUターン)
しばらく歩いてアヤメ平の端まで行った。風が冷たく感じる。薄着のハイカーは自分だけのようだ。まして行き交う中に長靴姿なんかいやしない。対向者が長靴を見て笑っていた。貧乏人の山歩きか。決して自意識過剰ではない。これでは、地下足袋なら声を出して笑われるだろう(瀑泉さん、失礼)。まぁ、そんなことはどうでもいい。自分の機能的なスタイルなのだから。
小屋に戻って一服。上高地界隈と違って、尾瀬はタバコを吸いづらいところだ。タバコを吸うハイカーは目にしない。人気から離れて吸った。
(林道を下る。足裏が痛くなる)
(林道から荷鞍山。今朝は見えなかった)
(陽あたりのせいで色づきもいい。後は撮影のスキルだけの話)
ではさらばといたしましょう。長い林道を下る。すぐに痛みが起きた。砂利道に入った途端に、今度は足裏が痛くなったのである。上りでは感じなかった痛み。やはり長靴の限界であった。ある意味自業自得ではあるが、裸足になって歩けもしない。下まで痛みをこらえて歩いた。これに坐骨神経痛が加わるから、正直のところつらかった。
陽が出てきたせいか、林道沿いの紅葉はきれいになった。これを見られただけでも得した感じはある。左手に、上りで見えなかった荷鞍山も顔を出す。山の斜面の紅葉もきれいになった。紅葉を楽しみながらの下り、6人くらい、登る方と出会ったろうか。この時間だし泊りだろうな。
(田代原の紅葉を楽しみながら昼食)
田代原で昼食とする。横倒しの木に腰かける。今日はガスも持ってきてはいたがラーメンを作って食べる気にもならず、オニギリ1個で済ませた。そういえば、今日から山友に加えたグッズも使うことはなかった。あるいは、水場の水を飲んだら、早速の登板だったかもしれない。このグッズ、先日の槍ヶ岳の失敗談にコメントをいただいたB氏からの、ある意味お薦めのグッズだったのだが、山に持ち込むという発想は、正直、素晴らしい。考えもつかなかった。発想の転換といったところだろう。海外旅行に行くこともなくなって休眠入りして久しいグッズを探し出して、今回から導入させていただいた次第。ここで、いかに効率的で自然にやさしいグッズであるかを述べるのは、人によっては嫌悪感レベルの話にもなりかねないのでやめておこう。
(やはり、高いところの紅葉はいいねぇ)
(駐車場に到着)
そろそろ終点だろうか。しかし、痛みの伴う林道歩きはきつかった。ここまでかなりショートカットをした。左に何かの施設が見え、下りて行くと、雨量計測所であった。脇に小道があり、辿って下ると、駐車場の下のトイレ脇に出た。
車が増えていた。ざっと20台。これから登る方もいる。長靴を脱いでズックに履き替える。車に乗り込もうとしたら、ズックが草を引っ張る。何だと思ってみるとガム。そのまま口から放り出す方もいるんだねぇ。まったく。太い枝を探してへばりついたガムを落とす。最後は土にこねる。これだけで5分もかかった。
今日はそれほど汗もかかなかったので、着替えもせずにそのまま帰ることにする。鳩待峠行のバス乗り場にさしかかる。いつものように混んでいるとはいえ、それほどのものではなく、駐車場にかなりの空きもある。御嶽山の噴火が尾を引いているのであろうか。そういえば、アヤメ平を歩いている時、「ここは噴火の心配もないから」とおっしゃっていたジイ様がいらしたが、燧ヶ岳だって、見方によっては危ないんじゃないのかね。それを言い出したらキリはないが。
槍ヶ岳の紅葉を楽しんだ後だけに、紅葉へのこだわりはそれほどのものではなくなっている。今日は、わだかまりがあったままの荷鞍山に行けただけでも良しとしておこう。
(付録。今日から山友に仲間入り)
とりあえずわだかまり解消でしょうか。
田代原の写真、いいですねぇ。
このようような色具合バランスの写真が好きです。
荷鞍山は未踏ですし前から懸案の山なのです。
お誘いに乗りたかったなぁ。
でもたぶんたそがれさんが自宅を出られた時間に自分が帰宅だと思われます。(笑)
お陰で翌土曜日はお昼に起床しましたが一日中酔い気味で何にも出来ませんでした。
日曜はこの天気で同じく。
やはり連チャンの宴会はもうキツイです。
連日の宴会、お疲れ様です。相変わらずタフですねぇ。
宵越しの飲み会、私なんか、もう縁がないですよ。
さて荷鞍山、ハイトスさんの懸案の山であることは存じておりましたのでお誘いしたのですが、残念でした。
行ってみれば、何だこんな山かといったところですが、地図を眺めていれば、気にはなる山です。
ハイトスさんが行かれる場合は、ぜひ作業道を辿ってみてください。
大清水に自転車をデポすれば、周回も可能かと思います。
ただ、作業道が大清水に抜けているという前提になりますが。
4918
歩いたルート、地形図見れば一発でお分かりいただけます。これしか取りようがないだろうと、すぐにご納得いただけます。
ヒントというよりも正解は、白尾山手前から1926m経由です。
一説には東電の巡視路ということなのですが、送電線も鉄塔もないので、真偽のほどはわかりかねます。
みー猫さん、周回してみてくださいよ。出口がはっきりしていれば、反対側から登ってみたいところなのですが。
実はこの後、大行山にも行く予定でいたのですがねぇ。この体たらくですよ。
たそがれオヤジさんは座骨神経痛の再発ですか。自分も,一月くらい前から,右膝裏の上の方に痛みがあって,登りが辛くて参ってますヨ。まぁ,調べていないのでよく判りませんが,此も歳のせいとあきらめてますけどネ。
尾瀬は,毎回,手ぬぐい&地下足袋ですが,珍しがられても,笑われはしませんヨ。ただスパイクのダメージは多少気にもしますが,濡れた木道にノーマルは滑るしネェ。それに,紫外線や風雪による傷みを考えれば比較にならないだろと割り切ってますヨ。
新たな山友,次回は是非,レポしていただきたいですネ(笑)。山中に限らず,駐車場のトイレでも重宝していますから(笑)。
このたびはなかなかの山友をご紹介いただきありがとうございます。おかげさまで長い付き合いができそうです。
でも、駐車場のトイレではまず使うことはないでしょうね。基本的にザックの奥底ですから、出がけにひっくり返しているわけにもいきませんよ。
さて、富士見峠から先、皿伏山方面は登山道未整備といった感じで悪路が続いています。それに比べると、この荷鞍山ルートは整備されていて、歩きやすさでは別天地といった感じがします。ただ、見るべきほどのものはありません。本当に時間が余ったら寄ってみてください。
瀑泉さんも足に慢性的な痛みですか。本当に困ったものです。痛みになれてしまえばいいのですが、そういうわけにもいかず、しばらくはおとなしく歩くつもりでいます。
瀑泉さんスタイル、これはですね、瀑泉さんのご尊顔が凛々しいから、どんな格好でもサマになっていて笑われないのあって、私みたいに貧相だと、さらに貧相になるということなのですよ。今回は帽子でカバーはしたのですが、まさに足元を見られましたよ。
メージャーなコースしか歩いてないし、こんな山があるのも知らないです(^^;)
ミズバショウの尾瀬、紅葉の尾瀬もいいですが
私が好きなのは、この紅葉が終わりマイカー規制も解除され
津奈木~鳩待峠の県道土出線が冬季閉鎖される直前の冬枯れの尾瀬ヶ原です。
静かな尾瀬ですし、至仏山にでも登れば葉を落とした冬枯れの樺が見事ですよ。
毎年行ってるわけではないですが今年は行きたいと思ってます。
この山、皿伏山に行こうとして知った山です。まぁ、知らなくてもいいような山ですよ。尾瀬の景色が延びているような山でもありませんし。
気にすれば気になってしかたがないので行ってみたのですが、これで十分です。
マイカー規制解除後の尾瀬ですか。私も鳩待峠まで車で乗り入れたことは2回ほどあります。
空いているし、ゆっくりできるし、冬の気配がちょっとは漂った尾瀬の景色、なかなかいいですね。
至仏山の冬枯れの樺ですか。その時期、山には登ったことがありませんから、でんさんお薦めということで、歩いてみましょうかね。
意外に、年内に実行したりして。
URLが不正だと貼り付け拒否されるのでノミネさんのHPの秋のページを見てください。
情報ありがとうございます。
実は、この記事、以前読んだことがあります。
尾名沢とフノウシロ沢を勘違いしておりました。
S字となると、尾根伝いなのでしょうね。
尾名沢なら大清水からバスで戸倉まで戻れますが、フノウシロ沢となると半端ですね。
やはり、車2台か自転車ということになりますか。
また行くことがあるかどうか…ですが、あの先、やはり気にはなっています。