たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

宗屋敷尾根から熊倉山。下りのコース取りには失敗したようだ。

2012年05月27日 | 秩父の山
◎2012年5月26日(土)

<道の駅あらかわ(6:20)……尾根取り付き(7:10)……836m(8:05)……1003m(8:36)……1284m(9:27)……南からのコース合流(10:15)……熊倉山(10:53~11:10)……林道(12:20~12:27)……城山(12:34)……国道(13:44)……道の駅(14:00)>

 矢岳とも思ったが、熊倉山に行ったこともないのにいきなりはまずいんじゃないかと、取りあえず熊倉山に行ってみた。矢岳との因果関係は何もない。自己満足だけの話。どうせ行くなら、宗屋敷尾根か聖尾根を加えたい。両方はおそらく無理だろう。最近、行かれた方のネット記事を拝見して総合すると、聖尾根はランクが上のようだ。宗屋敷尾根から登り、小幡尾根で林道に出る。そこから車道歩きはしんどいので、城山から尾根伝いに国道に向けて北に下るコースを取ることに相成った。ただ気になったのは、最近、宗屋敷尾根を登った方が、雄叫びを上げて走り去る熊に遭遇したという記事。臆病な自分には、これが非常にひっかかる。次はアクセスの算段。現地には適当な駐車場がないようだ。当初は電車を視野に入れた。熊谷発5時24分の秩父鉄道の始発電車に乗るには、籠原発5時6分の高崎線上りに乗ればいい。それでも1時間半以上(武州日野着6時50分)はかかる。家を出てから2時間後の到着だ。電車だから短縮はできない。車で行けば1時間少々。いろいろ調べると、武州日野駅の近くに道の駅があった。これだな。何だ、車で行けるじゃないの。道の駅には1時間少しで着いた。30分の節約ができた。大したものではないが、荷物を考慮すると違いは大きい。リッュックサックに文庫本を入れて山歩きをする気にはなれない。ところで、何で「宗屋敷尾根」と呼ぶのだろう。

(道の駅から熊倉山を望む)

(宗屋敷尾根)

(取り付き)

(本尾根・宗屋敷尾根)


 道の駅に車を置き、すぐ脇の道をしばらく歩き、水芭蕉園からの林道に入る。その先、地形図にも出ていないような道が分岐していたり、ショートカットを失敗したりと、どこを歩いているのか分からなくなるが、送電線の流れを頼りに歩く。これは確実。7時の時報を知らせるオルゴールが聞こえる。何とか、宗屋敷尾根の取り付きに到着。しかし、何か様子がおかしく、先に行ってみると、新しい林道が分岐していて切り開かれ、そこで尾根は寸断されていた。「秩父中央線」の標識がある。どちらが中央線なのかは知らない。車なら、ここまでは来られる。車もある程度は置けそうだ。この尾根を下りに利用するなら、ここにチャリデポか(参考まで)。分岐林道に入り、取り付きを探すと、斜めに窪みがあった。ここから入る。新しい靴跡がある。10分ほど、急斜面を登り、本尾根に合流した。尾根の上の道型は明瞭だが、やはり、普通の尾根に比べて傾斜はきつそう。

(位置的には矢岳なのだが)

(こういう巻き道が随所にある)

(城山はどれだろうか)

(両神山)


 しばらくはしっかりした植林帯の尾根が続く。明るい尾根だ。左右ともに急ではない。樹間から左先・南東に矢岳らしき山が見えるが、ピークは双コブになっている。違うかも。左手・南側にフェンスが出てくる。この辺から、ところどころ左に踏み跡が派生している。最初、作業道かと思ったがすべてそうではないらしく、入ってみると、尾根の小ピークの巻き道になっている。結構、人が歩いているコースと見受けられる。やがて右手・北側に城山。今度は右手にフェンス。次第に、尾根筋は右手から狭くなってきている。そして、森林公社の石杭。ネット越しに町並みが見下ろせる。やがて右から尾根が上がって来た。そして左からも。明瞭な標識はないが、この辺が836mだろう。汗一つかかず、すんなりと着いたかのような記しをしてはいるが、いやぁ、きつい尾根だ。汗びっしょり。取り付きからここまで400mほど登った。熊倉山まではまだ600m残っている。

(右にネットが張られ、尾根も次第に細くなる)

(1003mP)

(岩が出てくる)


 尾根は左側も切れかかり、ヤセ尾根の様相になりつつある。両神山が見え、ほどなく1003m。ここには石祠があった。比較的新しいもののようだ。何でこんなところにと思ったが、熊倉山山頂には社殿が安置されていたので、その関係だろう。836mからここまでのこの区間は比較的に楽だった。植林帯は終わり、自然林、雑木になり、緑がきれいだ。こんな感じでずっと行ければいいなと思っていたが、アップダウンが続き、岩場が出はじめ、また急になってきた。枯葉に滑って非常に歩きづらく、一気にペースダウン。おまけにとろとろ歩いていたら、落ちていた枝に足をからめ、つんのめって転んでしまった。膝を痛め、しこたま痛い。しばらく休む。

(熊倉山が近づく)

(長沢背稜から分岐して熊倉山に続く尾根。もしくは背稜そのものか?)


 熊倉山がようやく近づいてきた。ここから右手前方に見える熊倉山は丸い。かの、熊に遭遇した記事の場所はこの辺だと思う。鈴の鳴り具合を確かめる。2つ付けているわりにはか細い鳴り。不要な咳払いを頻繁にし、出ない鼻をかむ。とにかく音をやたらと立てて歩く。こういう時に、小さな助っ人のガスが出ない。緊張で尻すぼみかいな。尾根の具合が悪くなり、岩場が多くなる。部分的に左右が切れてくる。テープが頻繁に目に付く。1284mに到着。単純計算ではあと150m。皆さんの手記を拝見すると、ここからが正念場のようで、岩場の連続になるらしい。ちょっと休憩する。今日はタバコの量が多いみたいだ。2本目。通常、山頂まで吸わないようにしている。緊張しているのであろう。1mgのタバコだったら、すでに10本は吸っていたかも。幸いにも9mg製だ。立て続けに吸っていたら頭がもうろうになり、心臓もバクバクになる。ここは遅咲きのツツジがきれいだ。

(次第に荒れて来る)

(ツツジ)

(三角形の岩峰と蝉笹山)

(岩峰は右。付かず離れずに進む)

(ほっとして、岩峰基部を振り返る)


 正面に三角形のピークが見えた。あんなところを登るのは想定外だったが、あのピークは岩山で、これを巻いて先に行くらしい。酉谷山から続く尾根が左側に見えてきた。岩場になった尾根を一旦下って鞍部。先には、さっき見えた三角峰。左右に踏み跡が分かれる。皆さんの手記に合わせて左。右に行ったらどこに行くのか気になるといった気持ちの余裕はない。危なっかしい斜面を、テープを追って進む。木に手はかけられない。大抵腐っている。ところどころ、踏み跡は消える。真下を右手にくっつくように、しばらく巻いてピークの先の鞍部に到着。反対側からも踏み跡が来ていた。ということは、左右どちらでも可ということだろう。安堵したが、精神的にえらく疲れた。

(蝉笹山に到着)


 木の根がむきだしにはびこる登りをクリアすると、その先はロープが巡らされていた。つまり、誤って、宗屋敷尾根に入り込むなという警告だ。ここが長沢背稜の酉谷山から熊倉山に至る尾根(昭文社マップでは破線。地形図では無印)との合流点だ。蝉笹山とも呼ばれているらしい。ほっとしてまた1本。そして、ツツジ。熊倉山はすぐそこだ。ちょっと酉谷山方面に下ってみた。道はしっかりしている。宗屋敷尾根よりは歩く人も多いのではなかろうか。かなり下り気味になり、早々に戻る。後で知ったことだが、もう少し行くとシラカケ岩というのがあって、そこからの眺めが格別だったらしい。まったく惜しいことをしてしまったものだ。ここまで、そしてこの先も、ろくな展望地には恵まれることはなかっただけに尚更だ。

(三角岩からの眺め)

(こんな注意書きで賑やか)

(山頂の社殿)

(熊倉山山頂)

(あれは和名倉山だろう)


 東大演習林の標識が倒れている。その先、左・西側に三角の岩があり、おそるおそる近づくと、西側の景色が広がっていた。和名倉、妙法、霧藻が見えるのだろうが、どうも特定ができない。いくつかの小ピークを、ツツジを楽しみながら進むと、注意書きで賑やかになる。酉谷山方面に誤って入る人が多いのだろう。ようやく熊倉山山頂に到着。岩の上に、注連縄を回した石祠があった。三角点と山名板はその先。先客が1人。緑が生い茂り、展望はあまりよろしくない。和名倉山がはっきりと見えた。暑い。石に腰掛け、菓子パンを食べて、水をがぶ飲みする。林道コースは「崩落個所有りで通行禁止」の張り紙。聖尾根は、林道コースを少し下って行くのであろう。いつか歩いてみたい。4人グループが上がって来た。しばらく休み、当初の予定どおりに城山に向かう。

(この日一番のツツジ)

(スリリングな個所もあった)


 少し下ると、日野コースと城山コースに分岐する。もちろん、道の駅の駐車場に近いのは日野コースではあるが、時間的に長い上に、車道歩きもかなりありそうなので敬遠した。ただ、いつものことではあるが、終わってから調べると、日野コースが、歩き甲斐ありげなコースのようだ。少々、後悔している。この城山コース、しばらく下ると、植林帯の中を下る、見所のあまりない、急な尾根コースであった。現時点では知らない。尾根の名前は小幡尾根と呼ぶらしい。下って行くと、一際咲き誇ったツツジに出くわした。周囲にツツジはない。余計に際立っている。最初のうちは、崩れ気味の個所や、岩場、アップダウンもあって、それなりに楽しめる。また日野コースの分岐。ここはロープが張られている。6年前の林道工事による通行止めの看板が倒れているが、その後、その他の崩壊でもあって、通行止めにしているのであろう。明るい尾根であるが、急であるし、危険な感じのところもいくつかある。単独氏3人と行き合う。

(ジグザグの下り道)


 植林帯に入ると、コースの様相が変わった。ずっとジグザグになる。それだけ急だということでもある。10人のグループが上がってきた。平均年齢は70近いのではないだろうか。立ち話をすると、マイクロバスが下にあったけど、団体を見なかったか?と問われた。おそらく、日野コースを登っているのではなかろうか。タイミング的に会わずに済んで良かったとも言えよう。植林の中とはいえ、風通しが良くて涼しい。ただ背中だけは暑くてべっとり状態。檜特有のハッカのような臭いが漂っているのもまた気分がいい。しかし、次第に、ただ黙々と下っているのに飽きてきた。ここを登ったらきついだろうな。正午を知らせるオルゴールが聞こえる。朝とは別の音楽だ。武甲山が見え、両側に林道が見えはじめ、ようやく林道に降り立った。熊倉山の山頂にいる時、そして、途中で出会った方々、皆さんお疲れ様の案配であった。確かに、国道、駅から登って来たら、日野コースともにきついと思う。元気なのは10人グループだけだった。

(城山コース入口)

(熊倉城跡)


 水戸ナンバーの大型のマイクロバス1台と乗用車が1台あった。ここは広くなっていて、車も10台は置けそうな感じ。チャリデポ地としても最適であろう。繰り返しだが、ハイトス、みー猫両氏への情報提供だ。さて、このマイクロバス、日野コースで降ろし、城山コースでの下り待ちといったところだろうか。茨城から来て、熊倉山だけというわけでもあるまい。明日は両神山あたりだろうか。人様のことはともかく、しばらく休んで城山に向かう。入り口には熊倉城跡入口の標識。整備された階段を登ると、すぐに城山に着いた。ここでびっくり。単独氏が食事中。こんなところに入って来る方もいるんだ。城跡とはいえ、周囲を見回したとて、城跡の感覚がつかめない。案内板があるだけ、説明文によると、太田道灌が攻め込んで落城させた山城らしい。鉢形城との関連もあるようだ。

(武甲山)

(急ではあるが整備されている)


 そのまま北に向かう。この尾根を伝って下るネット記事は最近見かけないので、道があるか不安ではあったが、最後までずっと整備された道が続いていた。坂にはコンクリ棒が埋められている。景色はあまり良くない。ヤセ尾根が続き、地形図でも分かるように、アップダウンは多い。小ピークで休んでいると、SLの汽笛が聞こえた。秩父鉄道は、休日にはSLを動かしているのだろう。さて、このままずっと整備されたハイキングコースを下って行っても面白みがない。地形図を見ると、右手・東側に実線が入り込んでいて、小ピークの尾根伝いに行けば、出られるようだ。そして、実線をそのまま行けば道の駅に至る。どうしようか迷った。その尾根も特定できた。覗いてみた。踏み跡もテープもなかった。往々にして、実線が消えている場合もある。あきらめた。決定はあっさりだったが、さっき、木の皮が不自然にべろっと剥がされている木が4本続いていたのを見てしまった。爪痕はなかったが、何だか不気味でもある。ここに至って熊との遭遇ではたまらない。

(こんなヤセ個所も)

(ここで最後の休み)

(秩父鉄道の電車)

(道端にはこんなのが)


 アップダウンがずっと続くが、確実に下っている。前後してNHKとテレビ埼玉の電波塔が2基。「秩父鉄道ハイキングの会→ハイキング終了後取り外します」の標識が2つ。どうやら、ハイキング大会は、戻ってこない人がいて、まだ続いているようだ。やがて田園風景の中に降り立った。秩父の風景らしい祠、石仏の前で休む。「日野白久自然研究路 熊倉城跡」の真新しい案内板が置かれていた。後は国道をテクテク。3両編成の電車が三峰口に向かって行った。カメラマンが2人、大きな機材で何かを待ち構えている。まさかこの電車ではあるまい。

(道の駅に到着)

(そしてSLバイオエクスプレス。マニアじゃないので、こんな写真しか撮れない)


 道の駅に到着。身障者用トイレで着替える。中は蒸し、さらに汗をかいた。せめて、換気扇スイッチを押して着替えるべきだった。そのスイッチは外。外に出ると、線路伝いにカメラを構えている人が数人。もしかして、SLが通るのかなと思ったら、グッドタイミングで上り列車がやってきた。慌ててカメラを車から持ち出し、シャッターを押したが、電柱が邪魔でろくな構図にはならなかった。そうと知っていたら、道の駅の手前の陸橋で待ち構えていたのに。誠に残念。

 道の駅で白ワインと濁り酒を買って帰る。今度来る時は、聖尾根から日野コースだな。その際、駅区間も三峰口と武州日野となるから、汗かきが少しは落ち着く紅葉の時期の電車利用かな。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図メッシュ(標高)を使用した」(承認番号 平23情使、 第832号)
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6 コメント

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熊倉山 (みー猫)
2012-05-28 01:31:42
チャリデポ情報ありがとうございます。こちら方面は、ほとんど未踏なので今後参考にさせていただきます。きつい登り、細尾根の岩場からSLまで歩き甲斐のあるルートとお見受けしました。雄たけびを上げる熊さんは勘弁ですが(笑)
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2012-05-28 05:40:57
おはようございます。
みー猫さんなら、私の歩いた宗屋敷尾根と聖尾根を通しで歩けると思いますが、熊倉山の良さは、下の方にあるようですから、最初は一般ルートも加えた歩きの方が良いかもしれません。
秩父方面には、道の駅も結構完備していますから、車泊できる環境には恵まれております。
みー猫さんの熊との遭遇の記事を拝見し、ああいう、人の気配も気づかないような間抜けな熊さんばかりだったらいいなとは思うのですがね。
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宗屋敷尾根 (ハイトス)
2012-05-28 20:52:15
この尾根の名前の由来は何でしょうかね。
この山は城山コースと日野コースの組み合わせが一般的なのでしょうが、それだけではやはり物足りないからどちらかの尾根を組み合わせたくなりそうです。
しかしたそがれさんが8時間弱じゃぁ我々には難しいなぁ。
情報提供していただいたチャリデポを考慮に入れたコースとなりそうです。
でもこの山域はまだまだ先に行きたい山が沢山残っています。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2012-05-28 21:58:33
ハイトスさんは、確か、秩父御岳には行かれたことがおありでしたよね。聖尾根や矢岳もいいですが、御岳と南天山だけは行っておきたいとはも思っているのですよ。
宗屋敷尾根に関しては、4時間で見ておけば大丈夫ですよ。あとは、自転車の使い方でしょうね。
聖尾根に関しては、ここも難所の岩場があって、聖岩というらしいですが、そこから、聖尾根と呼ばれているのでしょうね。高野聖を連想してしまいますが、それほどの宗教色はないようです。
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Unknown (ぶなじろう)
2012-05-29 22:10:18
今晩は。
熊倉山と矢岳は古くから紹介されているようですが、未踏です。なかなか手の出ない山域です。
数年前から熊倉山~酉谷山を視野に入れているのですが、実行に移せないでいます。
たそがれさんが登られたので、多少身近に感じられるような気がいたしましたです。あくまで、多少・・・なのですが。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2012-05-30 05:39:53
おはようございます。
熊倉山に関しては、ぶなじろうさんもとっくに行かれた山かなと思っておりましたが、未踏でしたか。
以前、ぶなじろうさんのブログの写真で拝見した(と記憶しておりますが)賑やかな標識を見てみたいというのが、直接的な行くきっかけだったのですが、あの標識は大血川峠付近だったようですね。てっきり、酉谷山からの合流付近にあるとばかりに思い込んでいました。
はっきり申し上げて、それほど、魅力のありそうな山域ではないようです。だからこそ、行きたくなるというのもおかしなものですが。
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