マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

好天気のセマナ・サンタです

2017-04-14 12:30:00 | スペイン日記

プロセシオン

 今年はどうしたんだぁ? と思わせるような、まれにみる好天気のセマナ・サンタ(Semana Santa /聖週間)です。今日(413日)は聖木曜日です。4月中旬とは思えないような初夏の暑さと青空です。去年も、その前も、その前の前も雨の降る寒いセマナ・サンタだったのが、数年ぶりの良い天気です。ヴァチカンが日付を間違えたのでは?と勘繰りたくなりました。わざと雨に降られる時期に合わせるのがセマナ・サンタです。キリストの受難とその死を悼むのがセマナ・サンタなので、ヴァチカンとしては天地のすべてのものがを流さないといけないのです。

三角帽の行進

 そんな訳で毎年日付は変わります。日本では馴染みがありませんが、“あの三角帽をかぶった行進”と言えば見た人もいるでしょう。今は観光メニューにも入っているので、セビージャのセマナ・サンタの行進を見に来る日本人ツーリストも多いです。スペイン国内どこの町でも村でもそれなりのセマナ・サンタを催します。軍の行進や三角帽の行進があり、キリストを乗せた山車が出ます。聖母マリアの山車も出ます(山車は引くのではなく神輿のように担ぎます)。それらの行進や行列をひとまとめにプロセシオン(procesion)と呼びます。アンダルシア州ではそれにサエタ(saeta /宗教歌)が加わります。

三角帽の行進

 街角のバルコニーからフラメンコのカンテ・ホンド(cante jondo)を歌うカンタオル(cantaor)と呼ばれる歌手が山車の上のキリストに哀悼の歌を嘆き叫びます。そのたびに行進は止まるので、教会を出た山車が戻るのは早くても4時間後です。だから山車を担いでいるコスタレロス(costaleros /担ぎ人)は腰を痛めてしまいます。その週の聖木曜日、聖金曜日は祝日なので、月火水も休みを取れば、1週間か10日の連休となります。スペイン人には見飽きているセマナ・サンタの行列だし、それに大した信仰心度じゃないクリスチャンはミニヴァカンスに出ちゃいます。

サエタを歌うエストレジャ・モレンテ

 反対にセマナ・サンタは里へ戻り行進に参加する、と言う熱心なクリスチャンも多いです。どっちにしても、マドリードは見に来る人々と出る人々で空港も駅もごった返し、道路は渋滞です。それは毎年のことですが、今年はイスラム教徒のテロ、それも“ひき殺しテロ”がヨーロッパのあっちこっちで起きているので、街中は警察官だらけです。スペインの中でもツーリストが集中するのがセビージャ、マラガ、マドリードのセマナ・サンタの行進ですが、それらの町は大型トラックの進入が禁止され、警備が厳しくなりました。ラッシュアワーを超える人混みの中にトラックが突っ込んだらひとたまりもありません。

ポタへ

 このセマナ・サンタに食べるのがポタヘ(potaje)です。ポタヘはポタージュですが、ポタージュと言うと日本ではとろみの濃いスープですね。ここではガルバンソ豆とタラを煮込んだスープです。美味しくするポイントはたっぷりの雑魚で汁を取ることです。炒めたホウレンソウを加えますが、なかったのでグリンピースでの色添えです。これに切り刻んだ茹で卵をかけて食べます。デザートはトリィハ(torrija)です。フレンチトーストです。この二つはセマナ・サンタの定番の食べ物です。今日は聖木曜日なので、「黒いキリスト」が出ました。明日の聖金曜日もプロセシオンは続き、日曜日が復活祭です。タマゴです。チョコレートでできたタマゴを食べます。それでマドリードのセマナ・サンタは終わります。ヤレヤレ。

トリィハ

聖木曜日に出る黒いキリスト

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