マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

スペインの団塊世代

2023-02-09 12:00:00 | スペイン日記

スペインの老人たちと若者たち1

 新年を迎えてからのひと月は瞬く間に過ぎました。進まない制作に気が焦って一日が短く感じます。マドリードは暖冬ですが、この2週間の明け方はマイナス6度まで下がりました。寒がりの僕は起きるのが遅くなり、9時前後になってしまいました。日の出は8時過ぎです(1月の話です)。外がまだ暗いと起きる気になりません。通学通勤の子供たちや大人たちは暗いうちに起きていますが、僕のような絵描きは寝床からアトリエまで階段を下がるだけなので暖かい布団から抜け出るのが億劫になります。怠惰です。

 

 だから罰が下ったのかも知れません。家の工事で制作時間をさらに削られる事態になりました。去年のクリスマスから年末にかけての出来事です。バスタブが壊れ暖炉が壊れました。初めはバスタブで、漏れた水が玄関前を水浸しにしました。なぜか、スペインの住宅は2階に浴室があるので、玄関前の天井の上(二階からみたら床です)にバスタブがあります。とりあえず保険会社に連絡をして被害の査定を依頼しました。査定員曰く、バスタブの「自然の」老朽化なので保険の適用外でした。保険会社は自社に登録している作業員を派遣しますか(有料です)? と聞きますが、保険適用外だと頭に来ていた僕は断りました。

 

 バスタブ交換は度々来てもらっている水道工事(ホンタネロ/fontanero)の人に頼みました。が年末は無理と言うので1月となりました。その間風呂は使えませんが、幸い我が家はもう一つ浴室があるのでたすかりました。その後は師走の慌ただしさと何も良いことのなかった2022年が早く過ぎ去って欲しいのでクリスマスパーティーを友達と我が家で祝いました(スペインのクリスマスは12月24日から1月6日です)。恒例のパーティーなので暖炉を焚きました。家の暖房は天然ガスボイラーのセントラルヒーティングなので、冬でも暖炉はほとんど使いません。

 

 クリスマスなので焚きましたが薪を焚き過ぎたようです。暖炉の内壁に溜まっていた煤が燃えました。暖炉は屋根に抜けるレンガ造りの煙突がありますが、二階のそれにひびが入りました。そこから煙が出て、屋根の煙突からは火粉が吹き出ました。慌てて消防車を呼びました。クリスマスなのに仕事をしている彼らには申し訳ありませんが、来てくれました。幸い消防士が我が家に着いた頃には火は収まって火事にはなりませんでした。何事もなかったので、メリークリスマスと言いながら彼らは引き上げました。

 

 翌日保険会社に連絡しましたが、この暖炉のひび割れも保険の適応外でした。仕方がないのでバスタブ交換を頼んだ水道工事人に相談をしました。バスタブ交換はタイルやレンガも壊すので左官工事人(アルバニル/albanil)も必要です。大工事の時は彼と一緒に仕事をする左官屋が居ます。事情を話したら暖炉のひびも直せるので頼みました。全く最後の最後まで不運が続いた2022年でした。

 

 新年2023を迎えた1月中頃から工事が始まりました。レンガ造りの家なので、何の工事をするのもレンガ壊しから始まります。騒音と埃は凄いです。もちろん制作はストップでした。鉄でできた40年近くたったバスタブには錆で穴ができていました。水圧で一気に穴が広がったようです。同サイズのバスタブに取り換えるのは半日で済みますが、設置してレンガを積みその上にタイルを貼って乾かすので、丸二日かかりました。

 

 暖炉は煙突の中間部分にひびが入ったので古いレンガを壊して新しいレンガを積みました。ついでに部屋の天井も直してもらいました。レンガ造りの煙突を壊しましたが煤の塊はさほどなく、燃えたのは鳥の巣だったようです。くだらない話ですが、この煤をスペイン語で「オジン/hollin」と言います。隣人たちや友達と暖炉の工事に話になると、それは「オジンが溜まっていたのね」とか「数年に一回はオジンの掃除は必要だよ」とオジン、オジンの言葉が耳障りに残りました。年老いて煤みたいになった自分を呼ばれている気がしました。被害妄想ですね。ほぼ1週間の工事だったので、その間は早起きをしました。作業員が出入りしていたので、家のフローリングは白い足跡だらけでした。日本の家屋は木とモルタルなので工事は比較的速いと思いますが、レンガ造り、それも古い家は時間と費用がかかります。

 

 おっと、前置きが長くなってしまいました。タイトルは「スペインの団塊世代」の話でした。去年の12月から書き始めていたのですが、寒さと工事と体調不良で2月になってしまいました。スペインの団塊世代とは1957年から1977年の間に生まれたスペイン人で、そのベビーブーマーの数は1400万人です。スペインの人口が4700万人なのでいかに多いかが分かって頂けると思います。今年、2023年はそのスペインの団塊の世代が定年退職に入るので彼ら/彼女らの年金支払いは大丈夫なのか? の話なのです。息切れがしてきたのでその話は次回にまわさせて頂きます。今月中に再度ブログをアップします。よろしくお願いします。

スペインの老人たちと若者たち2

コメント (1)
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