マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

王様のお給料

2014-02-17 11:30:00 | スペイン日記

一昨日の スペイン国王夫妻

 ファン・カルロス・スペイン国王(Don Juan Carlos)の今年の給料は年間292,752ユーロです。ざっと、4千万円で、月330万円です。日本なら中小企業の社長、あるいはその下請けのオーナー社長の月給でしょうか?まぁ、国王だからラーメンなんかは食べないけど、生ハムや仔羊の丸焼きをワイン飲みながらマドリードのレストランで毎日食事をしても大丈夫でしょう。

 奥さんのソフィア女王(Reina Sofia)は約半分の160万円の「月給」ですが、夫婦で月500万円あれば孫をマクドナルドへ連れて行けますね。フェリペ皇太子(Principe Felipe)は国王の半分で、年2千万円(146,376ユーロ)、彼の奥さんレティシア皇太子妃(Princesa Letizia)は1千400万円(102,464ユーロ)なので、二人合わせて月300万円は子供二人を抱えた夫婦には「ちょっと」きついですね。

 王家全体ではなく、国王夫婦と皇太子夫婦を合わせた「王室」の給料は年間698,331ユーロと1億円に少し欠けて(9千500万円くらい)、王室予算の9%程度です。在スペインの日本大使が「今夜一緒にメシでも」の場合は王室や外務省からメシ代が出るので、あくまでもポケットマネーです。今年の王室予算は7,775,040ユーロ(ざっと10億円)ですが、それで王室の給料、使用人給料、宮殿の維持費をまかないます。

 これって、4年前から比べたら2億円減っています。この王室予算10億円はヨーロッパ王室では一番少ないです。寂しいフトコロですが、スペインがどん底なのでしかたがないことです(オッサン、そんなことをしている場合かぁ)。王様も「職」を失って国外追放になったら亡命先を探さねばなりません。

 スペインも旧共産党を母体とした左派連合(イスキエルダ・ウニダス/IU)が年々政治勢力を伸ばしています。共和制となったら、隣りのフランスのマリー・アントワネットのようにはギロチンされませんが、ほっぽり出されますね、元々はフランスのブルボン王家から「出向」してきたのですから。ファン・カルロス国王も生まれたのは亡命先のイタリアなので王様の仕事の厳しさをわきまえているはずです。



 で、王様の仕事とは? 多分、王室同志の付き合いでしょう。例えば、スペイン王家とサウジアラビア王家は古い付き合いです。サウジアラビア王室はスペイン南部のマラガにある高級リゾート地・マルベジャ(Marbella)に広大な敷地の大別荘を持っています。先代の王はほぼ毎夏来ていました。千人以上ものお付きを従えてくるので、ジャンボ機2,3機で来ていました。

 王がマルベジャで避暑をしている間には王室のファミリー(サウジアラビア王家)も遊び来るので、もう千一夜物語の世界です。地元の商売はブティックの棚買いや一流レストランの貸し切りで花屋やフラメンコのジプシーまでもが潤います。それだけではなく、ヨーロッパ中の高級娼婦も召集されていたようです。「ティファニーで朝食を」のオードリーヘップバーンが演じていた仕事の仲間ですね。

 もちろん、スペイン王も皇太子も接待に駆り出される訳です。そのお陰で、スペイン国鉄はサウジアラビア新幹線工事を勝ち取りました。入札で負けたフランス元大統領・サルコジは「クソ、王室がらみか!」と悔しがりました。ヨーロッパで新幹線と言えば、フランスが「本家」ですから、顔に泥を塗られたようなものです。

 スペイン王や皇太子は中南米も回らなければなりません。夫々の国々は旧植民地から独立を果たしていますが、経済、文化のパイプは繋がって居ます。大事なのは大統領就任式への出席ですが、各国の大統領選挙やその就任日はもちろんバラバラですから、その都度「出張」になる訳です。

 中南米と言えば、今、パナマの新運河工事を請け負ったスペイン大手・サシール(Sacyr)が金詰りで工事が中断したのが大問題です。追加金を求めていますが、安く落札した意味がなくなると、パナマ政府は怒り(僕もそう思う)、保証金を託しているスペイン政府も大金を失うだけではなく、スペインのイメージダウンを心配しています。工事の保証人となっているスイスのチューリッヒ保険会社が間に入って調停中です。まぁ、王様の給料とは関係ない話ですが・・・。


げっそりと痩せた夫・ウルダンガリン

 他にも仕事が沢山ありますが、お城はいつも空なぐらい、王も皇太子も走り回っています、ご苦労様です。今年から王室費用を公開したのは、スペイン王家の一員パルマ公爵(Duque de Palma)-次女のクリスティーナ王女(la infanta Cristina)とウルダンガリン( Urdangarin)夫妻-の公金横領、脱税、マネーロンダリング疑惑事件(まとめて“ノオス事件/ Caso Nóos”と呼ばれてます)が発覚したからです(庶民の怒りを3つ)。


出廷するクリスティーナ王女

 先日、クリスティーナ王女が事情聴衆のため裁判所に出頭しました。王家の一員が裁判所に呼ばれるなんてスペイン史上初めての汚点です。王女の刑務所行きは免れそうですが、夫のウルダンガリンは少なくても10年間はぶち込まれそうです。話しは変わりますが、次の国王となるフェリペ皇太子には女の子二人ですが、スペインの王位繼承には女でも男でも性別は関係無いようです。元々スペイン王国を築いたのが、イサベル女王だったのでノープロブレムのようです。これって、昔からスペインって「かかあ天下」だったと言うことですね。


フェリペ皇太子

コメント
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