Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

LA BOHEME (Sat Mtn, Nov 18, 2006)

2006-11-18 | メトロポリタン・オペラ
La Bohemeの第一関所、冷たい手を~私の名はミミ。
前にも書いたかもしれませんが、Villazonって、
声がものすごく輝かしく聞こえるときと、そうでない時の差が顕著なように思います。今日はシーズン・プレミアということで、力をセーブしているのか、
単に不調なのか、それとも、まだ役柄に100%入り込めていないのか、
もしやもしやでバルコニー席のなせる業か、
残念ながら私にとっては思い切り後者でした。
それも、ミミがタッカーコンサートで素晴らしい歌唱を聞かせてくださった
マランビオ。大体彼女をミミに配したところも疑問が残るのですが、
馬力のある彼女の声との差が著しい。
もし、Villazonにも馬力があったらそれはそれで馬力勝負の興味深いボエームに
なったのかもしれませんが。。(それでも、個人的にはマランビオはミミには少し
重すぎるように感じられました。しかし、何度も言うようですが、この方はヴェルディ・ソプラノとしておおいに期待しています!)
ムゼッタを歌ったRacetteは、やはり、声が少し硬質なのが気になるのと、
役のイメージの点でも、昨シーズン歌ったネトレプコ(今年は12月5日に一回きりミミを歌う予定!楽しみ!!)に一歩も二歩も譲りました。
というわけで、決して歌唱的にはベストではなかったのですが、三幕以降(ミミとロドルフォが別れるあたり)からのドラマとしての盛り上がりで、プッチーニの音楽がもともと素晴らしいせいもありますが、遅れを取り戻した形に。さようなら、あなたの愛の呼ぶ声に(Addio, Donde Lieta Usci)あたりでは、観客の中からもすすり泣きが。。。という私ももちろん泣きました。




そこで、またまた引き合いに出して気の毒ですが、蝶々夫人。
歌唱がオリンピック級でなくても、
きちんと普通に上演され、歌唱され、演奏されれば、
観客は心を動かされるというのに、
誰一人すすり泣く人のいないあのミンゲラ蝶々夫人は何だったのでしょう?
(9月25日、10月24日 参照)

もう5年以上前になりますか、やはりメトで、蝶々夫人を見たとき。
そのころは、一つ前の地味なプロダクションでした。
前の座席に、”やばめな”オペきちのおじさんがすわっていて、
開演前には、手作りと思しき弁当を広げながら、まわりの観客に
”いやー、やっぱりオペラはヴェルディとモーツァルトが一番!プッチーニなんて、やっぱヴェルディには敵わない”
などと演説をぶつ始末。
”じゃ、見にこなけりゃいいじゃん”と思っていたら、
なんと途中からおじさんのすすり泣きが。。
幕が降りたときには、Bravo!と、涙を滝のように流しながら
スタンディングオベーション。
滑稽ではありますが、オペラとは究極的にはこれだと思うのです。

このラ・ボエームも、メトではクラシックの部類に入るプロダクションに
なってしまいましたが、どうか、なくならないで!と思います。

Rolando Villazon (Rodolfo)
Angela Marambio (Mimi)
Patricia Racette replacing Susannah Glanville (Musetta)
Peter Coleman-Wright (Marcello)
John Relyea (Colline)
Aaron St. Clair Nicholson (Schaunard)
Conductor: Placido Domingo
Production: Franco Zeffirelli
Balcony A Odd
ON
***プッチーニ ラ・ボエーム Puccini La Boheme***

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