Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

HD: LA RONDINE (Sat Mtn, Jan 10, 2009)

2009-01-10 | メト Live in HD
今日は久々の、ダブルヘッダー。
演目はいずれもプッチーニの作品で、まずはマチネ公演の『つばめ』のライブ・イン・HDを映画館で鑑賞です。

今日もウォルター・リード・シアターはほとんど満席状態。
開演前、ホスト役のルネ・フレミングが一通りの前振りの後で、
”ここで、ゲルプ支配人から一言あるようです”と言い放った時、
その満席状態の客から、不安のざわめきが巻き上がりました。
誰が出演できなくなったのか、、?!まさか、アンジェラ?まさか、ロベルト、、!?

ゲルプ氏が舞台上に登場。
”アンジェラ・ゲオルギューがひどい風邪をひいておりますが、
観客の皆さんを失望させたくない、ということで、本日の公演に出演します。
どうぞ、私と一緒に彼女の健闘を祈ってください。”

こういうアナウンスメントって、それだけで歌手の気が楽になる効果があるというのもわかりますし、
結果がいまいちでも、これが私の本領じゃなくってよ!ってことを言いたいんでしょうけれど、
客の方はどう思えばいいのやら、、。
”今日の公演は素晴らしいものにはならないからね。”って最初に宣言されるのは複雑な気分です。

ただ、この”風邪”っていうのもほんとかな、、?
あの初日の大緊張っぷりとその後にメディアに出た”彼女の中低音域が驚くほど弱かった”という批評を見るに、
それに対する防護策かな、という穿った見方もできます。
とにかく、聴いてみるしかありません。

ストーリーなどについてはシーズン・プレミアを実演で観た際に多く書きましたので、
今日は歌唱の出来などを中心にまとめたいと思います。

注:この公演はライブ・イン・HD(ライブ・ビューイング)の収録日の公演です。
ライブ・イン・HDを鑑賞される予定の方は、読みすすめられる際、その点をご了承ください。

登場してすぐのゲオルギュー。確かに少し風邪気味を感じさせる兆候はあるかもしれません。
高音域より、中・低音域での乾いた音に、よりそれが感じられます。
初日の公演では観ているこちらまで彼女の緊張が波及して倒れ死ぬかと思った
頭の”ドレッタの夢”。
今日も、少し声のコントロールに苦労している様子が伺われ、
高音でほとんど体を振り絞って出しているような様子があったのと、
その保持にも余裕がなく、美しい後半のフレーズで歌い急いで聴こえたのが残念。
しかし、がちがちに緊張していた初日と比べたら、それほど大差のない出来で、
これならば、風邪とはいえ、全くへろへろなコンディションではなさそうに思いました。
むしろ、この一幕は、彼女が最も苦手にしている幕のように見受けられ、
今日もフレーズの頭の音がオケよりも走り勝ちになっている個所がいくつかありました。
ただ、この役での彼女は、こんなスクリーンの大写しで見ても、
生の舞台で見ているときと、ほとんど違いがないのがすごいところ。
舞台でそこそこ素敵!と思っても、スクリーンで見て、
そのギャップ(主に年齢と体重による、、)に”うわっ!”と引かされることが多いことを思えば、
こんなにアップで見ても、全く印象が変わらないのは奇跡的でもあります。
(ゲオルギューに関しては、昨シーズンの『ラ・ボエーム』のHDのミミでは、
少し体重を落としすぎたのもあったのか、年を取ったなあ、、と思わされたのですが、
今回の方が体に適度なボリュームもあって、瑞々しく、若返った感じがするほどです。)
ある場面で、ソファの上で彼女が腕で膝をかかえたところをカメラが大写しで捕らえていましたが、
腕も足も毛一本なくつるつるで、肘なんかもがさがさしたところがなく、
きっと前日にスパにでも行って徹底的に磨きあげて来たに違いない!と思わされます。
そんな風にスパで”まっぱ”でひっくり返っているうちに軽く風邪を引いたのかもしれません。
こんなところにまで気を使わなきゃいけないなんて、つくづく、このライブ・イン・HDという企画は、
歌手にとってはなんと大変な負担だろうか、と思います。

意外と舞台よりもスクリーンで観た方がいい印象だったのは、プルニエ役を歌ったテノールのブレンチウ。
歌に関しては相変わらず驚嘆させられるほどの出来ではなく、
声がひっくり返り気味になった個所があったり、見せ場の音が近くなると緊張して
その前の音を歌い急ぐ傾向がありますが、
シーズンプレミアで私が”遊びが少ない”と評したやや地味目の歌唱を、
細かい演技力でカバーしているのが新しい発見でした。
スクリーンで観た方がずっといいです、彼のこの役は。
彼の独特の皮肉屋っぽい風貌(特に顔)、比較的痩せていて小柄な体型、
しかも、少し内股っぽい独特の体の動き、などに助けられていますが、
演技がものすごく細かく、こちらをにやっとさせるようなおかしみのある芝居に長けていて、
スクリーンで映えるタイプの人だと思います。
舞台では、彼の演技は細かすぎて全てがオペラハウスに伝わっていないのがこの映像でよくわかりました。
前述のシーズン・プレミアの時の記事で触れた1996年のEMI盤で同役を歌ったマッテウィッツイの
超高音も可能な軽い声に比べると
(そのことがマッテウィッツィが歌だけでこの役をコミカルに聴こえさせるのに貢献しているのですが)、
ブレンチウは、声のサイズは絶対的な基準でいえば小柄で軽めの声とはいえ、
完全にリリック・テノールのレパートリーに向いた声なのではないかな、と思います。
マッテウィッツィに比べると圧倒的に高音が苦手な感じがするのは、
そのあたりが関係しているかもしれません。
かように声質が二者間ではかなり違っているので、この役を声だけで聴くと、随分印象が違って聴こえます。
ちなみに、このブレンチウは、ゲオルギューと同じ、ルーマニア出身のテノールです。

それから、今日の公演で私には意外な大活躍を見せたのはリゼット役のリゼット・オロペーザ。
いやー、今日の彼女は本当に良かったんじゃないでしょうか?
私がこれまで彼女を生で聴いた経験では、(リンデマン・ヤング・アーティスト・プログラムという、
メトの新人向けのプログラムのワークショップでのルチアのアリア、
『ヘンゼルとグレーテル』の露の精、『フィガロの結婚』のスザンナ、など)、
常に高音が痩せる印象があって、この『つばめ』の初日の公演でも全く同じ印象を持ったのですが、
今日の彼女はどうでしょう?
こんなに彼女の高音が全て綺麗に、しかも密度の濃い響きが出ているのを初めて聴きました。
この大舞台に自分を最高のコンディションに持っていった力と、舞台度胸の良さは、評価したいです。
幕間のフレミングとのインタビューで、以前にスザンナを歌っていることをふまえて、
女中役専門?とからかわれていましたが、スザンナとリゼットはだいぶキャラクターが違います。
そして、このリゼット役は、演出を1920年代に移動させたこともあって、
演目自体にもっと人気があったなら、彼女の切り札の役ともなるのに!と思えるほど、
オロペーザはこの役にはまっています。
何より、彼女の顔や表情がものすごく1920年代っぽい。
演技も歌もやりすぎていないのも好感が持てますし、
ブレンチウのプルニエとなんともいえないケミストリーを生み出しているのも見事です。
彼女は正直、まだ、存在感の面でも、カリスマの面でも、また歌唱の安定感という意味でも、
主役級の役で全幕を通して聴くのは辛いのですが、このあたりの準主役なら、
役次第では、十分持ち味を発揮できるように思いました。



逆に登場した瞬間からあれ?と思わされ、残念だったのはアラーニャ。
本当は風邪でコンディションが悪かったのはゲオルギューではなくて
彼の方だったのではないかと思います。
夫婦で同公演に出演中ということで、ゲオルギューが風邪なら、
彼も風邪気味でもちっとも不思議ではありません。
もともと彼に関しては、近年、登場場面が長く続くと、声にざらっとしたテクスチャーが入ることは
いろいろな公演の感想で書いてきましたが、今日はそれだけではない、
最初から鼻腔に何かつまっているような音で気になっていたのですが、
インターミッションの後の第三幕でそれがはっきりと顕在化したように思います。
声が荒れてきて、これで最後までもつのかとひやひやするくらいでした。
ゲオルギューの負担を軽くするために、彼女が風邪だと発表させたせいで、
自分は言いにくくなったのか、それとも開演前までは本当に大丈夫だと思っていたのか、
そのあたりはよくわかりませんが、より風邪っぽい歌唱だったのはアラーニャのほうだと思いました。
ゲオルギューに関しては、軽い風邪はひいていたのかもしれませんが、
(一幕の不安定さと、三幕幕切れの音がやや短かったあたりにその兆候はあります。)
それでも全体的には二幕、三幕と、高音もよく延びるようになっていましたし、
多少、中音域、低音域がらしくないとはいえ、
初日の歌唱と、風邪といって公言しなければならなかったほど、ギャップは大きくありません。
今でも、どちらかというと一幕に絡むメンタル・ファクターの方が、
公演前のアナウンスメントにつながったのではないかと個人的には思っています。

むしろ、初日とのギャップが大きかったのはアラーニャの方でした。
アラーニャは初日の歌唱が良かったので、今日の出来はちょっと残念。
それでも、ゲオルギューが踏ん張っている今、自分が降りることは出来ないと観念したか、
一生懸命歌ってはくれましたが。
第三幕で、マグダに”別れないでくれ”とすがるシーンでは、本当に涙を流しての熱唱も。
ただ、歌唱面で気になることがあると、役の表現にまで気がまわりにくくなるのは仕方がなく、
そういった意味で、初日よりは役としてのキレを欠いていたように思います。

しかし、そんなコンディションでもアラーニャらしくあろうとするところが彼の良さかも知れません。
自分のセルフ・イメージをわかっているからなのか、
どうやってもそうなってしまう”真正”のおちゃらけ君なのか、
三幕で、まだマグダと幸せいっぱいの暮らしを送っている場面では、
ゲオルギューを膝にのせながら、彼女の胸にキスをしてみたり、
幕間で次の出番に急ぐゲオルギューのお尻を叩いて送りだしてみせたり、
”まったくあいかわらずなんだから、アラーニャは、、”という笑いが映画館から沸き起こっていました。
極めつけは、前半(ニ幕)終了後すぐの、ルネ・フレミングによる、
ゲオルギューとアラーニャへのインタビュー中に、
”お二人は夫婦でいらっしゃいますが、一緒に仕事するのはどんな感じですか?”と聞かれて、
散々二人で歌うとどれだけケミストリーが合って素晴らしいか、ということを並べ立てた末に、
”でも、もちろん、あなた(フレミング)と歌っても同じで、
素晴らしい結果になるでしょうが。あははは。”
とみえみえのおべっかをアラーニャが言い放った後、
その冗談が面白くなくってふくれるゲオルギューを心配そうに何度も見やる姿が傑作で、
会場は爆笑の渦でした。
フレミングの、”痴話喧嘩に私巻き込まれたくないわ、、、特にこの二人の場合は、、”といった風情の、
ろくにThank youとも返さず、次の話題に突入していく様もまたおかしかったです。
初日の公演で、フレミングが見にきていたことを書きましたが、
今回のホスト役をするための下仕事だったのですね。
ちなみに、このインタビューの中で、アラーニャがHDの日は演技の仕方を少し違うものにしている、
という話をしていますが、
初日の公演では、そういえば、ゲオルギューへの胸キスはありませんでしたので、
これも、HDを鑑賞しているオーディエンスのためのアラーニャからの特別な贈り物(?)のようです。

終演後、映画館から出掛けに、ご夫婦でしょうか、お年を召したお二人が、
”ストーリーが薄いなあ、、”と言っているのが聞こえましたが、
そんな風に感じられる人がいるのが信じられません。
こんなに濃く、読めば読むほど味が出るリブレット、滅多にないと思うのですが。
一度全聴してから、またあらためて読むと、将来への暗示とか、
その時登場人物がどう考えてある言葉を発するか、とか、ヒントがちりばめられていて、感嘆します。
例えば、二幕のマグダとルッジェーロが恋に落ちてキスする前のロマンチックな重唱部分ですら、
マグダが、Parlami ancora, lascia ch'io sogni(もう一度言って。夢を見せて。”)
と歌っているときに、ルッジェーロはどう返すかというと、
Ah! Questa e vita, e questa e realta(ああ、これこそ人生だ、これこそ真実だ)
彼があくまで現実の恋の相手としてマグダを見ているのに対して、
マグダにとって、彼は自分の夢の一部にすぎなかった、ということがよくわかります。
この後の幕で何が起こるのか知りながら聴くと、初めて聴くときとは違って、
なんともいえない、甘酸っぱさ、ほろ苦さを感じます。
HDでの英訳でもオペラハウスの字幕システムでも、
歌われるスピードのせいもあり、全部を完璧に訳出することは不可能なようなのですが、
当作品、プッチーニの音楽も素晴らしいですが、リブレットとしてもとても良く出来ていると私は思います。

そうそう、スクリーンで見ても、レイミー演じるランバルドは素敵な”大人の男”してました。
ランバルドも、お金でしか愛情表現が出来ないある意味可哀想な人ですが、
でも、彼なりにマグダを愛しているのだと、これもリブレットから伝わってきます。
愛なんてテーマは古臭い、と最初は言っていた彼が、
”ドレッタの夢”で燃えるような恋を熱く歌い上げたマグダに、
Che calore!(なんと情熱的なんだろう!)と褒め言葉をいう場面は、
マグダに、あら、”現実男(金で女性を買うような男性)のはずのあなたまでどうしちゃったの?”
と揶揄されてしまいますが、ここは、彼が皮肉で言ったのではなく、
彼の奥密かに隠れている純情な部分が表現されているように思います。
その後、照れ隠しに真珠のネックレスをプレゼントしてしまうのが彼っぽいのですが、
でも、クラブでのマグダに対する態度、最後まで彼女を見捨てないところに、
彼なりの優しさと愛情を感じます。
そして、彼もマグダと同様、自分の生き方を曲げられない人です。

この作品のよさは、まさに何もかもを白黒で決着をつけないで、
人間の心のグレーな部分、心の機微というものに真っ向から取り組んだ点。
ゲオルギューが風邪気味であろうと、アラーニャが本調子でなかろうと、やはり必見の作品です。


Angela Gheorghiu (Magda)
Roberto Alagna (Ruggero)
Lisette Oropesa (Lisette)
Marius Brenciu (Prunier)
Samuel Ramey (Rambaldo)
Monica Yunus (Yvette)
Alyson Cambridge (Bianca)
Elizabeth DeShong (Suzy)
Tony Stevenson (Gobin)
David Won (Perichaud)
David Crawford (Crebillon)
Conductor: Marco Armiliato
Production: Nicolas Joel
Set design: Ezio Frigerio
Costume design: Franca Squarciapino
Lighting design: Duane Schuler
OFF
Performed at Metropolitan Opera, New York
Live in HD viewed at Walter Reade Theater, New York

*** プッチーニ つばめ Puccini La Rondine ***

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13 コメント

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楽しみです! (まんまる)
2009-01-12 20:46:49
これが観られるのですね!!
楽しみ~!
その前に「タイス」ですが。
京都は24日からのようです。
私は26日に行こうと思ってます!
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見る方にも... (シャンティ)
2009-01-13 08:09:21
>このライブ・イン・HDという企画は、歌手にとってはなんと大変な負担だろうか

お試しで見たのが ”外套”でした。劇場ではけっしてあんなアップで歌手をみることは(大ファンで高倍率の双眼鏡持参でなければ)ないので、迫力に負けました。
& 舞台直ぐ下からの動くカメラの映像に 乗り物よいになりかけました...。

映像向けに表情をつくることと 劇場の観客向けに身振り手振りの演技との折り合いはどうなのでしょう?
映像だと 映っているものしか見られないという制約もありますから アリアを歌っている歌手がアップになっているとき それを聞いている相手の様子がわからないとか、脇役の動きが見られないとか 実際の舞台を見るのと違ってくるでしょうし。映像演出(どのカットを使うか)によって 舞台演出家の意図が伝わらないこともあるかもしれません(&観客がけっして観られない角度からの映像はやめて欲しいです)。
もひとつ加えるなら、インタビューは先に撮っておいて、公演に集中させるべきでは?

生を観て、HDで細かいところを観察し、もう一度劇場で体感できたらいいでしょうね。


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私も思いました。 (ゆみゆみ)
2009-01-13 21:44:37
表情がはっきり映ると、「私自身がその気になってしまっているかな?」「他の人は今どう反応してるの?」と思うことがあります。マドカキップさんは、ほぼ同時にラジオで聞き・生で見て・映像でも見れる貴重な環境におありです。いつか、その御経験から、生の舞台というものを語っていただければ嬉しいです。
私など生で見たい人を見ただけで、興奮状態に陥ってしまうので{・・・/cat_6/}
返信する
舞台装置・衣裳 (keyaki)
2009-01-14 10:46:06
エツィオ・フリジェリオとフランカ・スクァルチアピーノなんですね。この二人は、ストレーレル(ご存知かと思いますが、超有名な演出家)の美術番と言われた人たちで、いわば、チーム・ストレーレルだった美術家さんたちなんです。これだけでも一見の価値がありそうですね。
実は、私は、「つばめ~」ふーん....という口で今まで全く関心無しでした。
ヨーロッパではArteTVが同時中継していますので、データを入手できますので、私も見てみようかな...という気持ちになりました。日本語字幕がないのが致命的ですが、それは、madokakipさんの懇切丁寧な解説がありますしね。とりあえず、全部DL。これは、AppleTVを通して、大画面のテレビで見ると最高ですよ。
演出のNicolas Joelも、スカラ座デビューは、1994年「つばめ」だったんですね。
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頂いた順にお返事を (Madokakip)
2009-01-14 13:22:50
いつもどおり、頂いた順に。

 まんまるさん、

そうです!日本で上映されるのはこれと全く同じものです!
『タイス』も鑑賞されるのかしら?
いずれも、ご覧になった感想を楽しみにしております。

 シャンティさん、

そうですね。
この『つばめ』も、ちょっとカメラが歌手によりすぎなのが気になりました。
二幕なんか、もっと引いて舞台全部を写した方が良かったのに、、と思います。
あのどアップのカメラって、舞台脇と正面の大きいカメラで撮っている映像もあるでしょうが、
横にスライドしていく映像は、
舞台の縁に取り付けられたレールの上を走る
小型カメラで撮影されています。
あれも、ネズミのように舞台の縁をうろうろするので、
オペラハウスにいる人間にとっても結構気になるんですよね。
大きいカメラにいたっては、カメラマンのお尻あたりに顔が来るような座席に座っている観客もいて、
あれは本当に気の毒だと思います。

そうですね、この公演でも、また昨年の『ロミオとジュリエット』のHDでも、
アラーニャははっきりと、カメラが入っているときは、
演じ方をそれにあわせて調整してます、
オペラハウスの人には申し訳ないけどしょうがない、と言ってます。

おっしゃるとおり、どのカットを使うかによって
全然意図が変わってきてしまう場合もあるので、
私はこのHDはむしろ実舞台とは全然違うものという位置づけで楽しんでいます。
ライブ・イン・HDという個別のジャンルとしてみると、それなりによくできた企画だなと思います。

インタビューはその通りですね。
見ているほうは楽しくはありますが、
歌手にとっては大変ですよね。

 ゆみゆみさん、

確かに、オペラハウスでは空気をみんなで共有している感じがするのに比べると、
確かに映画館で見るときは、若干”一人の世界”的になっているかもしれないです。

シャンティさんへのお返事のところでも書きましたが、
生、HD、音だけ(ラジオ)、どれも、それぞれ受ける印象が少しずつ違います。
生より圧倒的にHDで映える公演や歌手ってやっぱりありますし、
また音だけ聴いていると、歌に関しては感想が厳しくなる傾向にありますね。
(まあ、歌しか判断できるものがないので当然ですが。)
おっしゃるとおり、組み合わせて聴くのが、
一番、公演のいろいろな側面を比較できて、
いいのかもしれません。
でも、一つの公演をそうやって比較する機会って、
再上映などがない限り、こちらでも滅多にないんですよね。
(オペラハウスにいながら、HDやラジオにアクセスすることはできないので、、。)
同じ演目でも一日一日、公演は違う出来になるので、完全比較というのは本当に難しいです。

 keyakiさん、

>チーム・ストレーレル

そうだったんですね。
一幕のサロンのシーンは、そのあまりの重厚さに、
ランバルドのサロンというよりは
(マグダが住んでいる場所ですが、結局はランバルドがパトロンだから、ということだと思います。)、
ランバルドの銀行のようだ、と揶揄しているオペラファンもいたようですが、
舞台に登場する”人”を大切にした、
堅実ないいセットだったと思います。
マグダの着る衣装はかなり素敵ですし、
ルッジェーロの”ぼん”ルックもいけてます。

>実は、私は、「つばめ~」ふーん....という口で

まさに私も同じです!!
今回、この公演のためにやっとまともに聴いたくらいで、
しかも、最初の一、二回はあんまりぴんと来ず、
三度目くらいから、急激に味がし始めたという不思議な作品です。

リブレットは、最初、EMIの珍和訳のせいもあって、ちんぷんかんぷんでしたが、
頭や伊辞書で意味を補完しながら何度も読んでみると、
これまた胸に染みるんです。
こんなにはまるなんて、私だけなのかしら?
ということで、keyakiさんがどう感じられるか、とっても興味あります。
返信する
見てきました (娑羅)
2009-02-02 00:49:07
私にとっては未見の作品が多いライブビューイングですが、いつもあらすじを読んでいくぐらいしかできないので、Madokakipさんのように掘り下げて分析することができないのですが、私はマグダが大好きになりました。
「イヤな女」とは少しも思いませんでした。
こういうのって、見る側の恋愛感や恋愛経験にもよるのかもしれませんね。
Madokakipさんが仰るように、マグダのような女性は、現代の女性にもいるかもしれません。
個人的には、ボエームよりも好きな作品になりそうです♪
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やったー! (Madokakip)
2009-02-03 07:44:31
 娑羅さん、

この日、ゲオルギューとアラーニャがベストのコンディションでなかったこともあって、
心配でしたが、娑羅さんは、きっとこの作品、
気に入ってくださるという予感がありました!!
すっごく嬉しいです。

私もこのマグダ、イヤな女には思えないんですよ。
(純粋な男性から見ると、イヤな女性なんですかね。
私が以前隣り合わせになったヘッドのおじさんからも、
ギルドのセミナーの先生からも、
この役の説明を受けるときにネガティブなものを感じたのですが、
私は作品を聴いてみて、なんでー?!って感じでした。)

私、プッチーニ作品が好きなので、順位をつけるのが難しいんですが、
間違いなく好きな作品上位に食い込んでます。
返信する
オフリン、聴いてきました♪ (娑羅)
2009-02-03 23:08:27
「ルチア」スレで教えていただいた、オフリンのマグダ、聴いてきました。
仰るとおり、最後の“Ah~”と鳥肌ものでした!
とても丁寧で、このひと言で「つばめ」というオペラ全てをまとめ上げているように思いました。

実は、私の友達がオフリンの日に観に行っていました。
(チケット発売の10時には、まだゲオルギューの名前だったそうなのですが、行ってみたらキャンセルだったとか!)
でも、「代役の人がすっごく良かった!」と興奮気味にメールをくれました。
ただ、ビジュアルがちょっと“おばさん”だったそうで、そこだけが残念だったとか。
でも、載せてくださったオフリンの写真は美人ですよね?

ブログでライブビューイングの感想を検索していると、やはり男性の方で、「ストーリーがつまんない」と書いておられる方がいました。
女性ウケするオペラなんでしょうかね?

私が「ルチア」を見に行く予定の日は、METのトロヴァトーレと、シアトル・オペラ「青髭公の城」(レリエーが歌います!)のラジオ放送日で、ずっと聴いていたいところなのですが、この日しか「ルチア」には行けそうにないし、回数券を買ってしまったので行かなくてはいけません(録音していきますが)
ホロストフスキーとレリエーを振って行くのだから、アンナちゃん頑張ってほしいんですけどね・・・。
返信する
ここにもラッキーなお方が! (Madokakip)
2009-02-04 12:30:51
 娑羅さん、

オフリンのマグダは、You Tubeにあげる前に、
幾度か音源のコピーのプロセスを経ているせいもあって、
少し平たく聴こえますが、当日にラジオで聴いているときは、
本当につばめが一旋回して遠くに飛び去っていくのが目に浮かぶような
すごいAh~で、私も鳥肌ものでした。

お友達がオフリンをご覧になったとは、
なんと羨ましい~~~!!
私も見たかったです。
確かにゲオルギューが相手では、相当垢抜けていないと対抗するのが難しいですね。
オフリンは地は美人だと思うのですが、
ちょっと垢抜けないところがあって、
そこがおばさんくささを際立たせているのかもしれませんね。

>男性の方で、「ストーリーがつまんない」

そうなんですよー。HDの日の映画館でも、
そう言っている男性を見つけたので、あやうく後ろから羽交い絞めにするところでした。
スペクタクルも死も英雄的な人物もいないですからね。
でも、それがこの作品のいいところなんです!

ルチア、それは大変!
娑羅さんの両肩にレリエーとホロストフスキーが乗った状態で
映画館に行かれるわけですね!
これでアンナ嬢がしくじるようなことがあったら、、、。
返信する
怖~いマグダ(笑) (jun)
2009-05-03 15:00:22
本日は連休初日の日本。クラシカジャパンでフェニーチェ歌劇場のつばめを放映していたので鑑賞。
チェドリンスのマグダが迫力ありすぎて怖い
チェドリンスは大柄な美女で1幕ではハリウッド女優(ヒッチコックのめまい張り)ですが、取仕切る姉御の風格(笑)
彼女歌自体はとても上手いし声も素敵なんですけど、声が女王様系なのでドス効いているというか深いので凄みがあるので今までのほんわかマグダ像とはほど遠く
2幕の若い造り編でも女子プロレス選手がお花つけたみたいな風で残念でした
http://www.youtube.com/watch?v=93kF22WunDE
http://www.youtube.com/watch?v=I8RluK8q2gs&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=oCKyvXTdyA0&feature=related
ゲオルギューの小悪魔系を観たあとではでは分が悪いです。
このごろはやってますね。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3584781
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3573887
返信する

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