Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

SIMON BOCCANEGRA (Sat Mtn, Feb 6, 2010)

2010-02-06 | メトロポリタン・オペラ
注:このポスティングはライブ・イン・HD(ライブ・ビューイング)の収録日の公演をオペラハウスで観たものの感想です。
ライブ・イン・HDを鑑賞される予定の方は、読みすすめられる際、その点をご了承ください。

シーズン前、『シモン・ボッカネグラ』については、HDの前に一公演観て、
それからHD当日の公演を見に行くかどうか決めよう、、、なんて思ってました。
ああ、その考えのなんと呑気過ぎたことよ!
ドミンゴの集客率を全くもって見くびっていました。
そんなタイミングでチケットが余っているわけなど、ないではないですか。
これは『カルメン』以来(って、まだ全然時間が経っていないのですが、、)の失策第二弾!

のみならず、その、先行して鑑賞した1/22の公演というのが、これまた何となく盛り上がらない公演で、
仮にHDの日のチケットが余っていたとしても、再度観に行くことにしたかどうかは実に微妙。
というわけで、本来ならば、”HDの日の『シモン・ボッカネグラ』のレポートはありません。”
、、、という事態になってもおかしくないところでした。

が、しかし、私はまぎれもなくその日、オペラハウスにおり、こうしてレポートを書いている!!!
それは、まったくもってある方のご厚意によって実現したことでして、
そのご本人が日本からいらっしゃって鑑賞する予定にされていたこの2/6の公演、
日にちの折り合いがつかなくなってしまって、本来ならNYにいる親しいご友人にチケットをお譲りになれたところを、
”Madokakipに鑑賞してもらって、一人でも多くの方にこのブログで感想を読んでいただく方が有益”(ご本人談)という、
涙が出そうな嬉しいお言葉と共に、今日の公演のチケットを託されたのです。
ですから、私が、今日、ものすごい責任を感じてオペラハウスに座っていることは言うまでもありません。




私は、自分でチケットを手配する場合、平土間に座ることが割と少ない、というのはこれまで開陳して来たとおりなんですが、
しかし、それゆえにたまに座る平土間は新鮮な発見があって面白いです。
特に今日は座ってびっくり。私の何列か前にHD用のカメラとカメラマンが鎮座しているではありませんか!
隣のドイツから来たというご夫婦に、”うーん、これはなかなか面白い視界になってますね。”とこっそり話しかけたつもりが、
声が図らずもでかかったようで、カメラマンのおじさんがおもむろに振り向いて、”いやー、申し訳ない!”という表情。
ところが、実際に公演が始まってみると、舞台端にわずかにカメラのレンズの先が重なるだけで、
(私はグランド・ティアーのサイド・ボックスから鑑賞するときに舞台端がきれるのもあまり気にならないので全然OK!)
カメラマンのいる場所近辺はすべて座席を潰している、つまり誰も座っていないので、
却って前の人の頭に煩わされることなく集中でき、しかも、舞台にいる歌手の表情がはっきり見えるくらい近いわ、
カメラを見ればモニターに歌手のさらなるどアップが写っているわで、一粒で3度おいしい座席でした。
ただ、HDの収録日に関しては、この辺りの座席は一席ずれるだけで全然視界が違い得る、
ということは心にとめておいた方がいいかもしれません。
私はたまたま今回ものすごくラッキーだったのだと思われます。



1/22の公演を鑑賞した時に受けた”ゆるい感じ”の原因は、
大きくまとめると3つのカテゴリーに集約できたと思います。それは、

1)ベテラン勢(ドミンゴ、モリス)の勢いのなさ
2)それをささえる中堅勢(ジョルダーニ、ピエチョンカ)の今ひとつのふがいなさ
3)指揮とオケのだれぶり

まず、3の指揮とオケについては、さすがにHDで1/22のような演奏を出すわけはなく、
今年第2回目のメト・オケ演奏会が終了してリハーサルやプレッシャーから解放され、
気持ち的にも今日の演奏に集中できるようになったからか、
全幕を通して集中力を感じるきちんとした内容のもので、
特にドラマのテンションがあがる部分でのオケの表現力はなかなかのものだったと思います。
レヴァインのヴェルディ(他の作品でもその傾向はありますが)には、
フレーズの扱い方、楽器の音の配分の仕方に、また、爆発するところは思いきり爆発!など、
わかりやすい表情のつけ方に、”レヴァイン節”といえる特徴があって、
どのヴェルディ作品を聴いても演奏が似ている感じがする部分はありますが、
最近、全幕の頭から最後まで緊張度を保つことが段々難しくなってきているのでは?と思わせる彼の指揮にあって、
とりあえず、ワンパターンがちでも、最初から最後まで緊張感が持続している公演はよしとせねばなりません。
というか、今日の場合は、最後まで無理矢理にもたせた、と言った方が適当なのかもしれません。
なぜそう思うかは最後に。



さて、今日の公演で一番の爆弾になりうるのでは?と心配していたモリスですが、
こういうエクスポージャーの高い公演での集中力と場慣れっぷりはだてに長年オペラ歌手をやって来たわけではないな、と思います。
全盛期の彼を知る人なら、これでいい方なの?と驚かれるかもしれませんが、
年齢のせいで歌唱の細かいコントロールに難が出て来ていて、それが最近ものすごい勢いで加速しているように感じる彼には
例えば今年のジョージ・ロンドン・ファンデーションのリサイタルでの歌唱とか)、
正直、今日の歌唱は今彼が出せるほとんどベストに近い状態だったのではないかと思います。
今でも高めの音を大きく出す分にはまだまだびっくりするような声を出せるモリスですが、
もともとこのフィエスコ役は声質・声域的にもあまり合っていない部分もあるので
(ちなみにモリスはバス・バリトンで、フィエスコはバスを想定して書かれている。)、しょっぱなのプロローグでの聴かせどころ、
”あわれな父親の苦悩する心は Il lacerato spirito"の最後の低音がほとんど出ていない点については、
観客は気付かないふりをするか、シカゴ響の団員ばりに床をじっと見つめるしかありません。
その代わり、シーズン初日から二週間ほどこの役で舞台に立ち続けて来た結果、
1/22とは比べ物にならない度合いで役の雰囲気が出来上がっているのはさすがだと思わされます。
特に第三幕の、シモンとの和解の場面の演技を抑えているのは見事で、それが一層観客をほろっとさせます。
またマリア(アメーリア)と、アンドレーアとしてではなく、実の祖父として初めて対面する場面の演技も上手くて、
アメーリアとの間に、お互いに正体を知らない間から特別な絆があったことがよく伝わるシーンになっています。



もう一人のベテラン=いわずもがなのドミンゴについては、プロローグに関しては、
1/22の公演と比べると少し勢いがあるかな、という程度だったのですが、
今日の観客、いえ、全世界のHDの視聴者から、月桂冠(お酒ではなく、本来の意味で、、)を送られるべき歌手は、
実はアメーリア役のピエチョンカだったと私は思っています。

第一幕、登場してすぐに歌う”星と海はほほえみ Come in quest'ora bruna"の高音がやや硬く伸びやかさに欠けたため、
ラジオで音だけで聴いていたファンの一部からはかなり厳しい評価を受けていましたが、それは不当な評価というものです。
ヴェルディもこんな出っ鼻にこんなロマンツァを持ってくるなんて、なんて意地悪なんだ、って感じですが、
一旦このロマンツァを歌い終えた後は、どんどん声が伸びるようになって行って、
独特の凛とした、それでいて、ふくよかなティンバーがあるのも魅力です。
この凛としている部分が人によっては少しメタリックな音に感じるためか、
彼女はどちらかというとドイツ系のレパートリーの方で名を知られているように見受けるのですが、
(昨年のメトのリング・サイクルでも、ジークリンデを歌っていました。)
ヴェルディの作品も決して悪くなく、ヴェルディのソプラノ・ロールで、
無理なくどの音域も綺麗で伸びやかな歌を聴いたのは私は久しぶりかもしれません。



今は重い方の歌手が不足しているので、ちょっとスケールの大きい声と歌唱を持っていると、
すぐにワーグナーだ!シュトラウスだ!となってしまうように思うのですが、
彼女くらいの声は、本当はヴェルディの作品くらいで聴いている方が、
観客の満足度があがるのではないかと思います。
(ただ、ヴェルディのレパートリーを歌えるスタイルがあるかどうか、また声のテクスチャーが合っているかどうかは、
別の問題として捉えるべきだと思いますが。)
ちょっとの声の余裕が、表現を深める助けもすると思います。



今日の公演では、そうできたなら、ドミンゴがぐいぐいと周りを引っ張っていくんだろうな、
そして、1/22の公演の雰囲気を見る限り、それももしかすると危なっかしいかも、、と危惧していたのですが、
牽引する手は全然違うところからあらわれました。それがピエチョンカだったわけです。
ドミンゴが彼女に引っ張られる形で、第一幕からの歌と演技以降、
プロローグとは全然違うレベルのエネルギーを漲らせ始めたのがオペラハウスでは客席にものすごく伝わってきましたが、
HDにそれが収められているでしょうか?(ちなみに私はこれを書いている現時点で、当公演のHDは未視聴です)。
それにしても、なんと頼もしいことでしょう。あのドミンゴを本気にさせるとは。
それに、こういうのを見ると、シリウスだ、全国向けのラジオ放送だ、HDだ、と騒いでも、
やはり公演に火をつけるものは、結局は人なんであって、
そういう”機会”はそれを起こす単なるきっかけにしか過ぎない、ということを感じます。

ただ、彼女はたくましい顔の造りながら、舞台の上での佇まいは上品で◎なんですが、
舞台から降りた途端、それが吹き飛んでただのおばさん風になるのにはがっくり来ます。
インターミッション中、オペラハウスの中にあるモニターでHDと同じ画面が流れている間に、
彼女のあまりに豪快な素顔を見て、ちょっとへこみました。



そんなピエチョンカの頑張りに全く触発される風でもなく、いつも通り、”ジョルダーニしている”のが、ジョルダーニです。
彼は最低でもこのブログが始まった頃から、すでに健康な声ではなくなっていて、
そのざらざらしたテクスチャーは聴くたびに気になっていたのですが、
最近ではそれに加えて、以前切り札にしていた高音まで出にくくなっているのを、
強引に押し出そうとして、聴いていてもはや苦痛の域に達するようなスクーピングの嵐です。
とにかく、今の彼は、とりあえず音の高さをキープすることに熱心になりすぎて、
乱暴な発声が多いので、私には、”うわー、うわー、うわー”という音の連続にしか聴こえない。
私の連れに、”最近ジョルダーニは、うわうわ言ってるだけで、何を歌っているのかさっぱり、、。”という話をすると、
”いや、彼の歌い方は昔から大体そんな感じ。”という返事が返って来ました。 ええっ!!??



ピエチョンカに触発されたドミンゴは一幕以降、老体に鞭打って、ものすごい気合を見せます。
テノールであるドミンゴが、バリトン・ロールであるシモン役を歌うのは声楽的に適切か?
答えはおそらくNOでしょう。
でも、それなら、この公演を見る価値はゼロか?
その答えは、前の質問の答え以上にNOです。どころか、積極的に見る価値あり、と、私なら答えます。

彼の声が、この役に吹き込みきれていない領域があるのは事実です。
結局、シモン役はバリトンを想定して書かれた役なのですから、当たり前といえば当たり前で、
ドミンゴが歌ってぴったり来るような役なら、何を考えてんだか、ヴェルディは?って話です。
テノールが歌ってもぴったり来る役をバリトンのために書いてるんじゃない!と。



何を言いたいか、というと、つまり、ドミンゴの声が声楽的にシモンを歌うにふさわしいか、
ということだけが興味の対象なら、鑑賞するのは時間の無駄、見なくてもいい公演でしょう、ということです。
何もオペラハウスや映画館にわざわざ行かなくても、私が言ってさしあげます。”ドミンゴはバリトンじゃない”と。

実際、私が一幕の後のインターミッションでお話した、時々公演で顔をあわせるヘッド系のおばさまは、
”やっぱりドミンゴのシモンはぴんと来ないわ。誤解しないでね、私はドミンゴのこと、大好きなのよ。
今でも高めの音は、あの年齢では信じられない位、美しい音をキープしているし、、。
でも、だからこそ思うのよ。どうして高級チョコレートにわざわざスキムミルクを混ぜるようなことをするのか、って、、。”
と、ドミンゴがバリトンの役を歌うことを、そんなたとえで表現されていました。
そのおば様は、シェリル・ミルンズがシモンを歌った公演がものすごく印象に残っているそうで、
”ミルンズに比べたらね、、、なんかこう、、がつんと来るものがないのよ。
ついさっき見た(一幕二場の)パオロに迫るシーンなんて、この作品で一番興奮する場面のはずなんだけど、、。”



そのおば様のおっしゃっているミルンズがシモン役をつとめているメトの1984年の公演の一幕二場、
”平民たちよ、貴族たちよ Plebe! Patrizi! Popolo!"から幕の最後までの映像がこちらです。




私は必ずしもミルンズのシモン役が好きではないし、正直、演技の面でもドミンゴの方が、
この映像と今日の公演を比べる限りは数段上だと思いましたが、人の感性はいろいろということなのかもしれません。
むしろ、この映像を引用したくなったのは、オケの比較からで、
今回の公演よりも当時は随分と明るい音色なのに驚きます。
このミルンズが出演しているものはDVDにもなっていますが、メト・オケが今でもこういう音だと思っている方には、
今日の公演をHDで観られる時にちょっと意外な感じがするかもしれません。
この演目に関しては、私は今のオケの演奏の方が、音色に適度な翳りがあって、似つかわしいと思います。
1984年ということは、もう26年も前のことなんですね、しかし。
ちなみに、衣装はなんとなく似てなくもないのですが(もしや使いまわし?)、
現行のプロダクションが登場したのは1995年ですので、今回の公演は上で紹介した映像とは全く違う演出になります。
今回のジャンカルロ・デル・モナコは先日の『スティッフェリオ』の演出家と同一人物ですが、
この『シモン・ボッカネグラ』はまるで絵画を見ているような感覚に陥る瞬間があって、
壁に映った影のような細かな点にいたるまでのこだわり、衣装の微妙な陰影など、非常に美しい演出です。



ドミンゴに話を戻すと、彼のシモン役での歌唱には、音域によって声が明らかに軽くなってしまう部分があって、
オペラハウスでは、それ以外の音域の部分と、かなりテクスチャーの対比が際立って聴こえました。
1/22の公演では頻繁にプロンプターの声が聴こえてきて、
シーズン初日を鑑賞した人の中には、”アメーリアとの二重唱のはずがプロンプターを交えた三重唱になっていた”
とまで言っている人がありましたが、今日の公演では私のいる席には全くプロンプターの声らしきものが聴こえてきませんでした。
あれから二週間で役を頭に叩き込んだとしたらすごいですが、
昨シーズンの『トリスタンとイゾルデ』の公演で、初めてイヤホン型のプロンプター・システムがメトに導入されたことが
話題になっていましたので、もしかすると、それを利用した可能性もあります。



いずれにせよ、ドミンゴが演技に100%没入していたことは間違いがなく、
彼がこれから音を発しようとする瞬間が訪れる度に、オペラハウスが尋常じゃないくらい静かになるのを見るにつけ、
今、彼以外には、ここまで求心力というか、観客の注意をひきつけて離さない磁力を持った歌手っていないよな、、と寂しくなるのでした。
演技については、、もう何も言いますまい。
まるでライオンが倒れるのを想起させるようなラスト・シーンに至るまで、そのすごさをご自身の目で体験すること、
これ、オペラを勉強する人(舞台に立つ側、観る側両方)全員の必修科目と致します。

気合の入ったドミンゴ相手では全く分が悪いのは、パオロ役のガートナーで、
ドミンゴ演じるシモンを陥れる役を演じるにはあまりに存在感がなさすぎて、お話になってません。
もうちょっとちゃんとドミンゴと存在感でタイマンはれる歌手がいなかったのか?と思います。

最後、舞台挨拶にあらわれたドミンゴより二歳半ほど年齢が若いはずのレヴァインは、
顔色も悪く、足元がおぼつかなくて、まじで私はあの様子を見て、心配になりました。
ほとんど自分の足で立っている感じがなく、片手で緞帳を掴んでぶら下がりながらやっと何とかそこに存在している、という感じで、
いつ、そのままばりばりばりっ!と緞帳がレールから外れてくるかと、、。
花束が投げ入れられても、それを拾うのもままならない感じで、
そのまま舞台に放置して行くのではないかとすら思いました。

肩を抱き合って健闘を讃えあうドミンゴとレヴァイン。こんな光景はもうこれから、そう何度も見れない気がします。
色々な意味で、今日の公演、オペラハウスで観れて本当によかった。これを可能にしてくださった方に心から感謝いたします。

Plácido Domingo (Simon Boccanegra)
Adrianne Pieczonka (Maria / Amelia Grimaldi)
Marcello Giordani (Gabriele Adorno)
James Morris (Andrea / Jacopo Fiesco)
Stephen Gaertner (Paolo Albiani)
Richard Bernstein (Pietro)
Joyce El-Khoury (Amelia's lady-in-waiting)
Adam Laurence Herskowitz (A captain)
Conductor: James Levine
Production: Giancarlo del Monaco
Set and Costume design: Michael Scott
Lighting design: Wayne Chouinard
Stage direction: Peter McClintock
ORCH Row M Even
SB

***ヴェルディ シモン・ボッカネグラ Verdi Simon Boccanegra***

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129 コメント

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私からも感謝いたしますです (みやび)
2010-02-19 20:36:18
>”Madokakipに鑑賞してもらって、一人でも多くの方にこのブログで感想を読んでいただく方が有益”(ご本人談)

そのチケットのおかげで私も大変な恩恵をこうむることができたわけですね!元々のチケットの持ち主であった方にもMadokakipさんにも感謝(礼)。

>ドミンゴに話を戻すと、彼のシモン役での歌唱には、音域によって声が明らかに軽くなってしまう部分があって、

ネットで聴いていてもそうでしたが、この辺がやっぱりテノール、というところでしょうか。

メキシコの歌劇場で「君はテノール」といわれたように声質としてはどうやってもテノールなのだけれど、質の良し悪しは別として本人が一番簡単に出せるのはバリトンの声域(オーディションでは「A」でパンクした)だというのも本当のところかもしれません。

だとすると、ドミンゴがほけほけしていたら、テノールみたいな変なバリトンか、高音の出ないテノールか、いずれにせよ2流か3流の歌手で終わってしまっていたかもしれないですよね。
そうならないで良かったです。

とにかく、私にとっては大いに見どころがありそうです。心して観に行きたいと思います。
簡単なことが逆に、、 (Madokakip)
2010-02-20 10:13:56
 みやびさん、

いえいえ、もうこれは私ではなくて、
この元の持ち主の方のおかげなんですよ。
激しく感謝です。

>本人が一番簡単に出せるのはバリトンの声域

そう、これは面白いところなんですよね。
結局、簡単に出せるところではなくて、
大変なところにこそ観客は反応するんですよね。
だから大変でも、自分をプッシュしてテノールとしての道をつきすすんだドミンゴの判断
(そしてそれを見極めたメキシコの歌劇場)は正しかった!

しかし、

>「A」でパンクした

えーっ、そうだったんですね、、。
確かにハイCなんかにも苦手意識が強いのか、
メトでも、移調させた曲が時々あったみたいです。

>心して観に行きたいと思います

プライムの歌手が朗々と歌うのとはまた違う意味で、
心を動かされると思います。
ファンの方なら(そうでなくても)見逃せないです。
また、この公演では彼は今もてるものは、
出し切ったんじゃないかな、と思います。
待ってました! (Ree)
2010-02-20 10:46:33
HD収録日のシモン・ボッカネグラのレポート、心待ちにしておりました。
初日のレポートを拝見いたしまして、HD観にいくのをどうしようかと少し悩んだのですが、今回の「オペラを勉強する人の全員の必修科目」とのお言葉に、観にいくのが本当に楽しみになってきました。
来週のHD公開日に向けて、シモン・ボッカネグラの予習がんばります!これまで、実演はおろか、CDでさえ聴いたことが無いオペラなのです。

Madokakipさんの気合入った詳細なレポートに感謝するとともに、みやびさんもおっしゃっておられますように、元のチケットの持ち主様にも感謝いたします。
これは間に合さねばと、、 (Madokakip)
2010-02-20 16:20:39
 Reeさん、

お待たせしました!
初日の内容がああだったので、HDを見送ろうかな、と思われる方があっては大変!と、
この感想だけは絶対にHDに間に合さねば!と必死でした。

本文でも書いた通り、声楽的には疑問を呈する方があるかもしれませんが、
演技、役作りの面で、これほど後進の歌手達のお手本になる公演もないでしょう。

>これまで、実演はおろか、CDでさえ聴いたことが無いオペラなのです

プロットにはしっちゃかめっちゃかなところもありますが、
美しい旋律がちりばめられ、かつヴェルディらしいドラマの盛り上がりもある、
素晴らしい作品だと思います。

どうぞ、HD、楽しまれますように!
テノールと高音 (みやび)
2010-02-22 11:18:30
>>「A」でパンクした

>えーっ、そうだったんですね、、。
>確かにハイCなんかにも苦手意識が強いのか、
>メトでも、移調させた曲が時々あったみたいです。

私の書き方だと、ドミンゴにかわいそうでしたね。反省。

自伝によると、メキシコの音楽学校時代に初めてBフラットが出て喜んだという記述がありますが、それでもまだサルスエラではバリトン役を歌っていて、歌劇場のオーディションもバリトンで受けています。そうしたら、「君はテノールだと思うが、何か歌えるものはないか」ということでフェドーラから歌うことになった…ということです。喉はもちろん、精神的にも全く準備をしていなかったという点を割り引いてあげないといけないですね。

私は(クラウスやパヴァロッティほどではないにせよ)そもそも高音が得意だからテノールになるものだと思っていましたので、このエピソードはちょっと意外でした。

高音には大分苦労したようで、ハイCなどはおっしゃるように苦手意識があったのだと思います。その分、満足いく出来栄えだった時は印象に残っているのか「ハイDがちゃんと出た」(←レコーディング)などとうれしそうに書いてあるのがかわいいです。
メキシコあなどれじ。 (Madokakip)
2010-02-22 12:51:56
 みやびさん、

>ドミンゴにかわいそうでしたね。反省。

いえいえ、愛らしいエピソードで、ますますドミンゴ様です。

しかし、このメキシコの劇場のオーディションのエピソードは本当に興味深い!

>「君はテノールだと思うが、何か歌えるものはないか」

これを言った方は、本当に素晴らしい声に対する理解をお持ちな方だと思います。
メキシコ、あなどれじ。

>そもそも高音が得意だからテノールになるものだと思っていましたので

みやびさんがかつてされていたという、
そして、私も以前していた、
この誤解はすごく多いと思うのですが、
テノール、バリトン、バス、ソプラノ、メゾといった声種は、
どの位の高さの声が出るか、が問題ではなく、
どういった響きの声か、こっちの方が重要なファクターなんですよね。

一般的には声が重くなるほど高音が出にくいのが普通なので、
たまたま声が高いとテノールやソプラノ、という図式があてはまってしまっていますが、
本来はテクスチャーの方が大事な要素で、
時々メゾでソプラノよりも高い音をきちんと出せる人がいるのも、
そういう道理からなんですよね。

以前のデヴィーアのマスタークラスについての記事で書きましたが、
受講した学生さんの中には、このエピソードのドミンゴのようには幸運でない方が何人か、
混じっているように見受けました。
メトの来シーズン&HD演目 (Ree)
2010-02-23 12:24:29
昨日、HP上では公開になっていたみたいですね。
来シーズンのオペラ鑑賞の日程調整をするのに、Madokakipさんはお忙しいのではないのでしょうか。
それにしても、うっとりするようなラインナップ・・・Madokakipさんが日本を脱出されてNYにお住いになられたのがよく分かります。
日本在住の身としては、HD演目が11演目に増えたことだけでも喜ばしいこととしなくてはいけませんね!

ちなみに、都内でHDを上映している新宿ピカデリー(10個のスクリーンがあるシネコン)は、メトのライブインHDが人気あることが分かったらしく、以前は小さなスクリーンで上映していたのを、最近は1週間通して、館内の最大のスクリーンで上映するようになりました。土日はほぼ満席になっているようです。
ドミンゴ殿 (素人耳)
2010-02-23 13:28:24
なんと、Madokakip殿は有名人(超セレブ)じゃったんじゃな。そうとは知らず、これまでの非礼お許しくだされ。もう足を向けては寝られんわのう。はてさて「にゅーよーく」とはどちらの方角じゃったかのう・・。
「足を向けて寝られん」といえばドミンゴ殿じゃ。わしが初めて見たオペラは、映画館でじゃったが、レヴァイン指揮METの「ラ・トラヴィアータ 椿姫」でアルフレートがドミンゴ殿じゃった。ゼフィレッリ演出でテレサ・ストラータスがヴィオレッタで、それはそれは美しい映画じゃった。あの時からレヴァイン殿とMETにはお世話になっておるんじゃのう。
初めて買ったオペラのCDもクライバー指揮の「椿姫」でドミンゴ殿じゃった。以来、ずっとお世話になってきたんじゃ・・。MET来日公演で「カヴァレリア」のトゥリドゥと、「ワルキューレ」のジークムントは聞けたんじゃが、クライバー指揮の「オテロ」、聞きたかったのう。まだわしがクラシック音楽を聞くようになる前じゃから、仕方ないんじゃが・・。
そういえば、15年くらい前、たしかアバド指揮の「セビリアの理髪師」だかのCDで、ドミンゴ殿がフィガロと伯爵の両方とも歌ったことがあったような・・Madokakip殿は聞いたことがおありかな?わしはないんじゃが・・。
「シモン」は2年前にウィーンで聞いたんじゃが(レオ・ヌッチ)、予習し直さんと、音楽を忘れてしもうたわ・・。そうそう、筋はたしか
>「国王のシモンとその娘が、間抜けな婚約者をあやつる家臣に騙されて破滅するお話」
じゃったのう・・。
ビルギット・ニルソンは「あの人、まだ歌ってるの?」と言われるよりも「えーっ、あの人、もう歌ってないの?まだ歌えるのに・・」と言われるうちに引退したいと思って、引退したそうじゃが、まあ人それぞれじゃ。ドミンゴ殿が決めることじゃな。今週末、HDで観られるのを楽しみにしておるんじゃ。

Madokakip殿、読みにくうて申し訳なかったのう。尊敬するドミンゴ殿にあやかろうと、「年齢詐称ごっこ」をしてみたかったんじゃ。まあ、上の年齢を詐称するのは罪ではなかろうて。
ちょうど執筆中でした! (Madokakip)
2010-02-23 16:28:09
 Reeさん、

ありがとうございます!
私としたことが、あらかじめ来シーズンのスケジュールの発表は22日と聞いていたのに、
昨日はすっかり失念して、『アッティラ』の最終予習に励んでおりました。
んな場合ではな~い!!って感じですよね。

今日夕方に気がついて、急いで記事をまとめているところに、
コメントを頂きました。

>来シーズンのオペラ鑑賞の日程調整をするのに、Madokakipさんはお忙しいのではないのでしょうか

もう365日全部オペラのために空けておりますんで、
どんと来い!です。

来シーズンのスケジュールは、HDがすごく頑張っているな、と思いました。
リングをHDにかけるのは、これはすごい冒険ですけど、
価値はありますね。
大コケしなければいいですが(笑)
あと、『ルチア』が昨シーズンのネトレプコが登場したのに続いて、
リピートになるのも目をひきます。
同じ演目が違う歌手でHDにのるのは初めてですよね。
これはすごくいいことだと思います。
これからの楽しみが広がります。
同じ演目を違う歌手で見て、その違いを楽しむのはオペラ鑑賞の最大の楽しみの一つですものね。
以前からこれを希望していた私はすごく嬉しいです。

HD、日本でも人気が出てきているみたいで、これまた嬉しいことです。
最初に日本に上陸した年にこのブログで、一生懸命ささやかながらのキャンペーンを打っていたのが遠い昔のようです、、。
来シーズンは演目も多いですし、良い演目がたくさん入っているので、見逃せません。
なぜセレブ?? (Madokakip)
2010-02-23 16:44:03
 素人耳さん、

>Madokakip殿は有名人(超セレブ)じゃったんじゃな

え?なぜですか??(笑)
ドミンゴ様と握手をしたから?
セレブはドミンゴ様で、私はセレブじゃないですけど、
ま、それでセレブと言ってくださるなら、セレブにしておきましょう!!(笑)
もちろん、あれは忘れられない思い出です!!

>わしが初めて見たオペラは、映画館でじゃったが、レヴァイン指揮METの「ラ・トラヴィアータ 椿姫」

そうでいらしたんですね。
オペラ好きになったきっかけのお話、
初めて聞いた音源、感動した音源、といったお話を聞くのが大好きなんです。

>テレサ・ストラータスがヴィオレッタ

彼女は女優のような歌手ですものね(演技が上手いと言う意味で)。
あの頃の彼女はそのうえ綺麗でした、本当に。

>クライバー指揮の「椿姫」でドミンゴ殿

これはバイエルン国立歌劇場の演奏のCDのことをおっしゃってるんですよね、きっと。

>MET来日公演で「カヴァレリア」のトゥリドゥ

これは、私が観に行ったものと同じであれば、
『道化師』のカニオじゃなかったか、と思います。
『カヴァレリア』はアルミリアート兄(ファビオ)が歌ったような記憶があります。

>アバド指揮の「セビリアの理髪師」だかのCDで、ドミンゴ殿がフィガロと伯爵の両方とも歌ったことがあったような・

ええーっ。それは知らないですし、聞いたことないです、、。
でも、2人が掛け合うところとかはどうなるんでしょう、、?
ダビングですか、?

>そうそう、(シモン・ボッカネグラの)筋はたしか
>「国王のシモンとその娘が、間抜けな婚約者をあやつる家臣に騙されて破滅するお話」

そう!その通りです!!(笑)

>まあ人それぞれじゃ。ドミンゴ殿が決めることじゃな。

そうですね。
私は中にはもう引退しようよ!と思う人もいますが、
ドミンゴに関してはまだそういう風に思えないです。
それは彼に握手をしてもらったからではなくて、
まだ彼の歌からは色々見せてもらえるものがある、と私は思うからです。

>尊敬するドミンゴ殿にあやかろうと、「年齢詐称ごっこ」

すまぬのう、、、敬語(というか殿語?)が苦手じゃて、
普通の文体で書いてしもうて。

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