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『インビクタス/負けざる者たち』 鑑賞

2010-03-05 23:59:27 | 映画~映画館鑑賞
吉祥寺東亜興行チェーンにて『インビクタス/負けざる者たち』を鑑賞した  

クリント・イーストウッドの映画が好きなので、公開されれば必ず見ている。
ちなみに、『チェンジリング』『グラン・トリノ』の感想はこちら→ 


(あらすじ)

舞台は、南アフリカ共和国。
ネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は、反アパルトヘイト運動により反逆罪で27年間の牢獄生活を送り解放された後、初の黒人大統領となった。
白人達は、マンデラが白人に対し報復するのでは…と恐れるが、マンデラは、過去は過去として赦し、それこそが未来への礎となる、と説く。
マンデラのSPもマンデラの意向で、白人スタッフも起用しての黒人と白人の共同チームとなった。
多忙な政務の中でマンデラは、1995年のラグビー・ワールドカップでラグビーチーム「スプリングボクス」が優勝し、
白人と黒人の架け橋のきっかけとなるようにボクスの主将フランソワ・ピナール(マット・ディモン)を茶会に招き、激励する。
ボクスのメンバー達には、まだ差別意識が有る者もいたが、チーム主催で黒人少年を対象にしたラグビー教室を開き交流を深めった結果、徐々に考えを改める。
万年弱小、チームの中には黒人選手が一人という外から見ると旧以前の体制が残る中で激しい練習をし、チームは決勝戦まで進んで行く…(実話である)


冒頭シーン、フェンスを隔てて白人はラグビー、黒人は裸足でサッカーをしている間の道をマンデラの車が通って行く。
マンデラは、ロベン島の独房で27年間を過ごした。
そんな状況の中で、心の支えとしたのが"インビクタス(ウィリアム・アーネスト・ヘンリー著)"という詩。
 
「私を覆う漆黒の闇
鉄格子にひそむ奈落の闇
私は あらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを

無惨な状況においてさえ
私は ひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ 血を流しても
決して屈服しない

激しい怒りと涙の彼方に
恐ろしい死が浮かび上がる
だが 長きにわたる 脅しを受けてなお
私は何ひとつ 恐れはしない

門が いかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
私が我が魂の指揮官」


長期に渡り投獄され同胞が迫害されてきた、事実。
マンデラは人として黒人として指導者として、全てを許し国を導いて行こうとする。
"私刑"を下す事は、白人達が黒人達にしてきた事と同じである。
しかし、過酷な状況に何年も置かれ、それでも許す事が出来るのか…とも思うが、
マンデラは、祖国を愛す問題の山積した国の指導者として、そういった思いは捨て去り前だけを見ている。
とにかく、マンデラの人間の大きさと公僕としての意識の高さに驚かされるばかり。
アパルトヘイトは、教科書位でしか知らず、マンデラも南アメリカ黒人初の大統領…で具体的な事は知らなかったが、こんなにも偉大な人物だったとは  


オリンピックも含めそれ程、スポーツに興味がないけど、改めてスポーツの力は凄いな 
特に、こういった政情が不安な国でればこそ、スポーツの影響力は大きいと思う。
そこに着目したマンデラ。
白人中心のスポーツのラグビーは、黒人には支持されていなかった。
そのラグビーをマンデラ自身が率先して応援する事で、黒人のラグビーへの理解も深まり交流が生まれる。

当初は反目しあっていた黒人と白人のSP達、街の白人警官と黒人のゴミ拾いの少年…
ラグビーを通じて心の交流を深めていく。
ここら辺の描写が、絶妙  


また第二の主役であるラグビーの主将役・マット・ディモンも、家では育ちのいい真面目なおぼっちゃんといった風情であり、
フィールド内では、選手を導く熱血漢のラガーマンを上手く演じていたと思う。

大きなワイドスクリーンで見たので、ラグビーの試合の迫力が凄かった 
男のスポーツだ  
ぶつかり合いの迫力  


南アフリカの悲惨な歴史や貧しい現状に、重点を置くのではなく、
あくまでもスポーツを通じて、マンデラがどう国を立て直して一つにするきっかけをつくったかという事を描いている。
しかし、時折静かに入る回想シーンで、マンデラが刑務所の中で"インビクタス"の詩を繰り返し読む姿、
上を向き決して自分を捨てず、強い意志を持って祖国の事を思う姿は、
国を一つにする意味の重さをヒシヒシと感じさせた。


ほんと、クリント・イーストウッドは、"人間"を優しく描く。そこが、好きだな 



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