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『カティンの森』 鑑賞

2010-03-04 23:59:28 | 映画~映画館鑑賞
銀座シネパトスにて『カティンの森』(2007・ポーランド)を鑑賞した  

この映画は、実際に第二次世界大戦時にソビエトがポーランド捕虜の大量虐殺を行った"カティンの森事件"を題材にしている。
ポーランド人で、映画監督の巨匠・アンジェイ・ワイダの作品。
自身の父親もこの虐殺の犠牲者である。
アンナ役の女優の曾祖父も犠牲者である。


(あらすじ)

1939年9月、ポーランドは、西からドイツ東からソ連に侵攻され、そのまま分割される。
ポーランド軍の将校・アンジェイ大尉(アルトゥール・ジミエウスキー)は、行方を探しに来た妻アンナ(マヤ・オスタシャースカ)と娘ニカの目の前で、ソ連軍に東部へ連行されていく。
その後アンナは、夫の両親の元に戻るが、大学教授の義父はドイツに逮捕され収容所で病死する。
独ソ戦が始まり、1943年、ドイツは、ソ連から占領したカティンの森で虐殺されたポーランド将校たちの遺体を多数発見する。
殺害された人物が特定される中、残された家族は、アンジェイの生存を信じて帰還を待ち続けるが…


この映画は、主にアンジェイ・アンナ夫妻を中心に"カティンの森"虐殺事件の犠牲者の家族を描いた映画である。
大国に囲まれた小国・ポーランドは、戦争が終わりドイツの占領から解放された後、ソビエトの衛星国として生きていく事となる。
なので、このソビエトが犯した虐殺事件は、長らくタブーとされてきた。
実際にこの事件が、ソビエト側から正式に明らかにされたのは1990年頃である。

この非人道的な行為は、戦争中は、ドイツ・ソビエト両国のプロパガンダとして使われ、映画の中では、犠牲者の家族がプロパガンダ戦に翻弄される様子を描いている。
ソビエトの衛星国となった後は、犠牲者の家族は、生きる為に家族の死を闇に葬る事を選ぶ者、当局に立ち向かい処刑される者…と、更なる悲劇が待ちうける。

映画は、淡々と進み事実を伝える。

無造作に処刑されていく兵士達…ゴミの様に埋められていく遺体…
その手に握られているロザリオ…
ラストシーンは、衝撃的。


人間は、ずーっとずーっと昔から欲望の為の殺し合いをしてきた。
幾ら人類の文化等が進んでも、それは今でも変わらない。
つくづく、人類は進歩しない生き物だ。
今の世界を見つつ、殺し合いを繰り返す人間に、諦めの気持ちが湧く。
この事実が映画になり、この悲劇が少しでも教訓になるのだろうか 
しかし、事実を後世に伝えなければ、何も始まらない。


映画を観終わった後に音楽を聴きに行き、居合わせた博学の年配の男性にこの映画の話をした所、
ポーランドとロシア(例えば、ナポレオンの時代)、ヨーロッパ全体の国々は、もっともっと遡ってとても複雑な関係だとの事。
そう言えば、世界史で習った様な…(笑)
その複雑な因縁が、こういった事件を引き起こしたとも言えるらしい。

実は、私は"カティンの森事件"の事は、この映画で初めて知った。
"島国だし、こういった出来事は、日本にはあまり関係ないのではないか"と思っていたが、
歴史を遡れば、日本が加害者であった場合も有るのだ。

やはり、"事実を知る"と言う事は大切である。

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