まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

現代音楽

2006-12-07 20:37:59 | 音楽は心の泉
12月6日(水)。

友人のユリさんに誘われて、近くのホールのコンサートに行って来た。

今日のコンサートでは、日本人のしおりさんがこちらの大学の修士課程で作曲し、最高位の"Distinction"を取った曲も演奏された。

初めは、クラシックのような曲を想像していた僕は、正直言って、1曲目の時、途中で帰りたくなった。というのは、音楽自体から表現されるあまりの恐怖心、不安感、戦慄、緊張感などを感じ取ったからだ。映画「リング」の怖い部分を音だけ聴いてみることを想像して欲しい。

しかし、2曲目を聴いていると、穏やかな海を航海していたり、森の中を歩いていたり、高い山で急に景色が開けたり、という光景が目に浮かぶような曲だったので、落ち着いて聴く気になれた。

3曲目は、氷がテーマ。グラスの氷が音を出したり、もっと大きな自然の中のつららがたくさん下がっているような洞穴だったり、最後は、溶けて水が沸いてくるような感じだった。

4曲目はしおりさんの曲。実はまだパンフレットを読んでいないが、これがすごく楽しかった。魔法が効いている中世の部屋にいる感じ。ドアが勝手に開いたり閉まったり、本棚の本が思い通りに出てきたり、ハリー・ポッターのよう。でも、全然恐くない。それどころか、無邪気で楽しい。この魔法は誰が使っているんだろう、と感覚を研ぎ澄ませると、ああ、そうか、しおりさん本人か、と気が付いた。最後は満足して静かに終わる。

休憩があって、5曲目は美しいが、どこか無難な曲。一番聴いたことのあるような曲だった。

最後の曲は、主催者で、ピアニストのRolf Hindさん。
最初は、瞑想から入り、煩悩や雑念をかいくぐり、集中していく。集中した先にあったものは、静かな安楽ではなく、剣の切っ先を向け合っているような、燃えるような緊張感だった。恐怖心を克服した強さ。不動明王だ、と感じた。一体、繊細で上品そうなこの男のどこに、こんな強さが潜んでいるのか、と思うほどだった。

今夜のコンサートは、Rolf Hind & The Duke Quartetによるもので、全体を通して、チェロ、バイオリン3名、ピアノ1名のどれかを取って演奏された。

現代音楽を聴きに行ったのは生まれて初めてだったが、これは面白い。しかも値段は学割でたったの5ポンド(千円ほど)。ここには、芸術が本当に身近なところにある。

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2 コメント

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すご~~~い! (TAKAMI)
2006-12-10 08:26:55
なんといっても、まっきーのこの感想がすごいわ。
音楽を聴きながら、こんな情景が浮かんでくるなんて、素敵だね~~!!
私も聴きにいきたいわ。
現代音楽って、昔すごく好きな時期があったのよ。
武満徹さんが好きだった。
だけど、私はその時も、こんな情景が浮かんできたりしなかったな。
今ならどうだろう…
きっと、同じ曲をきいても、それぞれの中にあるものによって、違う聴き方をするんだろうね。
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わしづかみ (まっきー)
2006-12-10 10:03:04
TAKAMIさん、
まさに、わしづかみ状態でした。
確かに、同じ曲を聴いても、人によって、そしてその時の気分によって違うと思います。
曲も、演奏も、すごくレベルが高かったです。拍子も全く分からなくなるくらい複雑というか、音そのものになっている曲なのに、それをちゃんと息もピッタリに引き上げてしまうピアノと弦楽カルテットの演奏力、すごいの一言でした。
また行きたいなー。
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