エアコンの冷媒などに使われている代替フロン「ハイドロフルオロカーボン(HFC)」の
大幅な生産規制に国際社会が乗り出したのをご存じの方も多いと思う。
今年の0月10~15日にルワンダで開かれたモントリオール議定書締約国会合で、
HFCを規制対象とする議定書の改定案が採択されたのだ。
採択されたのは、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産量を先進国は2036年まで
に85%削減することが主なもので、発展途上国も先進国に遅れて削減することになる。
規制対象になるのは、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒に使われているHFCで、米国や
日本などの先進国はHFCの生産量を2019年から徐々に減らして36年までに11~13年
の平均に比べて85%削減する。
また、途上国は国毎に削減スケジュールが異なるが、中国は24年に削減を始め
45年に20~22年の平均比で80%削減する。
この結果、先進国、途上国合わせてすべての締約国は40年代後半にそれぞれ
基準年比80~85%削減することを目指すことになる。
代替フロンは、オゾン層を破壊するフロンの代替として世界的に普及し、
冷蔵庫やエアコンの冷媒、断熱材、スプレー噴射剤などに使用されている。
オゾン層は破壊しないが、温室効果が二酸化炭素(CO2)の数百倍以上、中には数万倍も
強いものがあり、温暖化防止のためには代替フロン全体の規制が必要とされてきた。
日本では昨年4月、フロン排出抑制法が施行された。同法は代替フロンの製造・輸入業者に、
より温暖化の影響が少ない物質への転換を求めたものである。
本来、機器の廃棄時に代替フロンをすべて回収し、破壊処理してしまえばよいので、
日本はエアコンや冷凍庫など冷凍空調機器の廃棄時にフロン類の回収や破壊を義務
づけてきた。
しかし、実際は、整備不良や老朽化が原因で、機器の使用中に漏れ出ている代替フロン
がかなりあることが分かっている。
このため、フロン排出抑制法は、業務用冷凍空調機器を使うスーパーなどの事業者に
機器の定期的な点検義務を課し、漏れ出た量が多い事業者に対しては、国への報告を
義務づけた。
国内では、この代替フロンに代わる冷媒として、自然冷媒と言われる炭化水素、アンモニア、
CO2などが注目されており、空調、冷蔵庫の買換えも進むことが予想され、
冷媒をめぐる覇権争いが水面下で始まっているといってよい。
以下の資料は、今年6月に開催の当社のセミナーで
「冷媒をめぐる覇権争い」と題して講演した際の講演資料である。
*下記資料では、ダイキンとパナソニックは提携解消との記載がありますが、
その後、再度、手を組んだようです。