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世界はマイナス3%成長 IMF予測「大恐慌以来の悪化」

2020年04月15日 | 国際ビジネス

世界経済 500兆円超失う

IMFがマイナス3%成長予測 財政出動、速さ勝負

2020/4/15 日経新聞朝刊



新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が縮小の危機にある。移動制限などに伴う経済損失は500兆円を超す可能性もある。国際通貨基金(IMF)は14日公表した世界経済見通しで、2020年の世界経済の成長率予測をマイナス3.0%へ下げた。各国は800兆円超の財政出動で応戦するが、感染を早期に封じ込められるかは予断を許さない。感染抑制に力を尽くしつつ、将来の経済回復へ確かな手を打てるか。成否はここ数カ月にかかっている。

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「大恐慌以来、最悪の不況を経験する可能性が高い」。IMFは見通しで危機感を示した。2.9%のプラス成長だった19年から大幅に悪化し、09年(0.1%減)以来のマイナス成長に落ち込む。1月の前回予測(プラス3.3%)から大幅な下方修正となった。

IMFはこれまで20年の世界の名目GDP(国内総生産)を米ドル換算で約90兆ドルと見込んでいた。今回の下方修正は単純計算で5兆ドル(540兆円)を超える。米ゴールドマン・サックスやシティグループの有力エコノミストらも新型コロナの感染拡大に伴う世界の経済損失が5兆ドル規模に及ぶとみる。2兆ドル超との民間試算もあるリーマン危機を上回る。

損失は年前半に集中する見込みだ。JPモルガンは瞬間風速(前期比年率)でみた世界の成長率が13月期はマイナス14.7%46月期は同12.6%と急激に落ち込むと予想する。

各国政府や中央銀行は矢継ぎ早に対策を打ち出した。IMFのゲオルギエバ専務理事は「世界各国で8兆ドル(860兆円)程度の財政出動を計画している」と表明した。世界経済全体の1割近くに相当する規模で、500兆円強の経済損失を十分補う規模にもみえる。だからこそ金融市場も落ち着きを取り戻しているが、危機の封じ込めはそう簡単ではない。

課題の一つはスピードだ。経済収縮に直面して資金難に陥る企業や、失業の危機にさらされた人を迅速に救済できるか。米国では3月半ば以降の3週間で1600万人の失業保険申請があり、雇用が急減している。日本では企業の資金繰り支援や家庭や個人事業主への給付金が経済対策に盛り込まれたが、実際にお金が手元に届くのは夏ごろとの見方もある。

IMFや市場のエコノミストは現時点で年後半からのV字回復を見込む。だが財政支出の効力発揮に時間がかかれば、倒産や失業が急増し、回復のための基盤が損なわれてしまう。回復に時間のかかるU字型や長期低迷が続くL字の回復となるリスクも否定できない。

コロナ禍が予想以上に長引く恐れもある。米国では経済活動の再開に向けた検討が始まるが、再開を急ぎすぎれば感染が再び拡大しかねない。経済の低迷も長期化し、財政支出も一段と膨らむ。

世界経済のさらなるリスク要因が新興国だ。新興国も大規模な財政出動に動くが、対外債務に頼る国も多く、資金流出を招きやすい。3月には新興国の株式や債券は800億ドル超とリーマン・ショック直後を超える資金流出に見舞われた。

国際決済銀行(BIS)によると、新興国のドル建て債務は約3.8兆ドルと10年で2倍以上に膨らんだ。自国通貨の下落で返済負担がもっと膨らみ、債務危機に至るシナリオも消えない。危機を封じ込め、経済回復の基盤を整える戦いは始まったばかりだ。

(金融政策・市場エディター 大塚節雄)