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領土返還、道のり遠く 「特別な制度」主権の壁ー

2016年12月17日 | 国際政治
領土返還、道のり遠く 「特別な制度」主権の壁
2016/12/17 1:30 日経
 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は平和条約締結に向け、共同経済活動の協議を始めることで合意した。北方領土で双方が受け入れられる「特別な制度」を探る。だが主権が絡む法的立場や活動の対象範囲など課題は山積みで、首相自身「国際的にあまり例がなく難易度は高い」と認める。注目を集めた首脳会談は、領土返還への入り口にようやくたどり着くにとどまった。


 首相「過去70年以上にわたり、解決できなかった平和条約の締結は容易なことではない」
 プーチン氏「70年にわたり議論しているが、すぐ解決できると想定する素朴な考え方は放棄しなければならない」

 16日、首相公邸で開いた共同記者会見。両首脳の口からは平和条約への道のりの長さを感じさせる言葉が相次いだ。

 共同経済活動は、これまでも日ロ間で何度も議論になっている。1996年にプリマコフ外相が提案。98年には小渕恵三首相とエリツィン大統領が「共同経済活動委員会」を設置して協力方法を話し合ったが、折り合わなかった。そのときの課題は今も残ったままだ。



 最大の問題は主権の扱いだ。日本は北方領土は固有の領土として、ロシアの法制度の適用は容認できない。プーチン氏はロシア主権下での実施に触れなかったが、ウシャコフ大統領補佐官は15日「ロシアの法律だけに基づいて実施される」とクギを刺した。
 溝を埋める構想が「特別な制度」だ。首相は一例として16日のTBS番組でサケの加工工場に日本企業が投資する場合を挙げ「働く日本人や島民の立場、収益、税金をどうするかを含め、専門的に細かく詰めていく必要がある」と述べた。

 具体的には既存の法制度の枠外にある特区などが念頭にあり、首相は「経済活動は日本法でもロシア法でもない仕組みを作っていける」とみる。一方、交通事故の対処など警察権や裁判権がかかわるケースは「4島ともロシアの支配下で強制措置は高いハードルになる」との認識を示した。

 プレス向け声明は「国際約束の締結を含む実施のためのしかるべき法的基盤の諸問題が検討される」と明記した。「国際約束」の意味について、外務省幹部は「国会承認が必要な条約を想定している」と説明する。仮に特別な制度がロシアの法制度に近くなっても、国内制度とは異なる次元の取り決めだと主張できるよう予防線を張ったとも受け取れる。



 共同経済活動の対象を4島すべてにしたところにもロシアの強硬な姿勢がうかがえる。4島のうち色丹島と歯舞群島は1956年の日ソ共同宣言で日本に引き渡すとされているが、その2島さえ検討対象に含めることで、簡単には返還しない意思がにじむ。
 特別な制度をどう話し合うかは詰められなかった。領土交渉の勢いを保つため、首脳協議の定期化も浮上したが、両首脳が共同記者会見で言及することはなかった。共同経済活動を巡る協議の行方ははっきりしない。

 「東京が科した対ロシア制裁の影響も感じていた」。プーチン氏は共同記者会見で、日ロ貿易が最近、減少に転じた理由にこう言及した。北方領土問題も国際情勢に左右される現実を突きつけた形で、トランプ次期米大統領など不透明な要素が増えるなか、領土交渉の先行きの厳しさを暗示している。