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「6億人市場」へ一歩 ASEAN経済共同体が来月発足 サービス自由化など遅れも

2015年11月23日 | 国際政治
「6億人市場」へ一歩
ASEAN経済共同体が来月発足 サービス自由化など遅れも
2015/11/23 3:30 日経朝刊

 【クアラルンプール=京塚環】12月末に発足する東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)はすでに高水準の関税自由化を進めてきた。6億人の人口を抱えるASEAN域内で、経済発展の度合いに応じて生産工程の水平分業が進めば、「世界の工場」の新たなエンジンになるとの期待が高まる。一方でサービス分野などの自由化は遅々として進まず「見切り発車」も否めない。



「ASEAN経済共同体」発足式典に臨むナジブ首相(手前左)ら(22日、クアラルンプール)=共同




 22日にクアラルンプールで開いた署名式典。今年のASEAN議長国であるマレーシアのナジブ首相は、列席した安倍晋三首相や中国の李克強首相を前に「ASEAN発足から48年を経て、歴史的で最も重要な瞬間を迎えた」と胸を張った。
 AECの最大の成果はモノの自由化だ。タイやシンガポールなど先発6カ国間ではすでに99%の品目の関税がゼロだ。カンボジアなど後発4カ国も18年までにほぼ撤廃する計画で、多くの企業が恩恵を受けている。
 ただし抜け道もある。各国内の非関税障壁の存在だ。AECではその撤廃も掲げるが、現実にはインドネシアが鉄鋼製品への反ダンピング課税を発動するなど、新たに導入する事例がみられる。
 理想と現実の乖離(かいり)は、発足時点での達成が先送りとなったヒトの移動やサービス分野の自由化も同様だ。
 熟練労働者の移動自由化は建築士や医師などの8分野を対象とするが適用事例はまだない。物流などサービス分野で70%以上の外資出資を認める方針だが、複数の加盟国が同意していない。
 欧州連合(EU)と違いAECの合意事項の実施は各国に委ねられ、法的拘束力がない。また1人あたり国内総生産(GDP)で首位のシンガポールと最下位のカンボジアの差が50倍超あるように、域内格差が取り組み遅れの一因となっている。
 AEC構想は1997年のアジア通貨危機や、中国・インドの台頭への危機感から浮上した。外資の目を引くため「単一の市場・生産基地」など規模のメリットを前面に打ち出したが、各国の経済成長で外資の注目が高まったがゆえに、逆に保護主義的な考え方が強まっている面がある。
 環太平洋経済連携協定(TPP)のようなより自由化度合いの高い自由貿易圏の枠組みが始動する中で、ASEANの経済統合は後戻りが許されない状況にある。日本貿易振興機構の助川成也・東南アジア事業推進主幹は「TPPなど広域の自由貿易圏構想の進展がAECの進化へ背中を押すだろう」とみている。

ASEAN共同体、発足宣言へ 域内6億人の単一市場うたう (11月23日 中日新聞 朝刊)

2015年11月22日 | 国際政治
ASEAN共同体、発足宣言へ 域内6億人の単一市場うたう (11月22日 中日新聞 )
 【クアラルンプール共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟10カ国の首脳は22日午前、マレーシアの首都クアラルンプールで、域内6億人の単一市場をうたうASEAN共同体発足を正式に宣言する。1967年の設立から約50年にわたり地域で進めてきた関係深化の節目を迎える。

 議長国マレーシアのナジブ首相は21日、首脳会議開幕のあいさつで、今後も一層の統合を進めることにより「ASEANはアジアの世紀を形成する上で、主要な役割を果たすことができる」と胸を張った。

 首脳らは中国と領有権を争う南シナ海情勢について協議したが、意見の隔たりをあらためて示した。



 21日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の開幕式で、壇上に並んだ10カ国の首脳=クアラルンプール(ベルナマ通信提供・共同)


首相、南シナ海に自衛隊派遣検討

2015年11月20日 | 国際政治
首相、南シナ海に自衛隊派遣検討
日米首脳会談、TPP早期発効へ連携
2015/11/20 3:30 日経朝刊

 【マニラ=島田学】安倍晋三首相は19日、訪問先のフィリピンの首都マニラでオバマ米大統領と約1時間半会談した。環太平洋経済連携協定(TPP)の早期署名、発効に向けて連携を強化することを確認。首相は「南シナ海での自衛隊の活動は、情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討する」と述べ、自衛隊による警戒監視活動などを検討する意向を示した。

 日米首脳会談は4月に米ワシントンで開いて以来。オバマ氏は「日米同盟は米国の安全保障にとっても基軸だ」と強調。日本の安全保障関連法の成立について「歴史的偉業だ。単に地域だけでなく世界に我々の連携をさらに広めていく上での協議ができる」と語った。首相は今回の会談を「新たな協力の序章としていきたい」と応じた。
 TPPに関してオバマ氏は「グローバルな環境を一変させていく」と指摘。首相は「TPPで確立された経済ルールを東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ、アジア太平洋地域に広めたい」と表明した。
 南シナ海問題では、米国が中国の人工島12カイリ内にイージス駆逐艦を派遣する「航行の自由」作戦について、首相が支持を表明。オバマ氏は「今後、日常の行動として実施していく」と語った。首相は「関係国を支援する。現状を変更し、緊張を高める一方的行為全てに反対する」と明言した。
 首相はパリ同時テロについて「激しい憤りを感じる」と表明。30日からパリで開く第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で各国と協議する考えを示した。
日米首脳会談のポイント
○中国が人工島造成を進める南シナ海問題で連携を強化
○安倍晋三首相が南シナ海への自衛隊派遣について「日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討する」と伝達
○環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効に向けて協力
○新たなテロを未然に防ぐため、国際社会と緊密に連携
○首相が米軍普天間基地の移設について「確固たる決意で進める」と表明

日米、安保で新協議機関 自衛隊・米軍、平時も一体運用

2015年11月04日 | 国際政治
日米、安保で新協議機関
自衛隊・米軍、平時も一体運用
2015/11/4 3:30 日経朝刊
 【クアラルンプール=田島如生】日米両政府は3日、日米防衛相会談に合わせて自衛隊と米軍を平時から一体的に運用するための新しい協議機関「同盟調整メカニズム」を発足させた。安全保障関連法や4月に改定した日米防衛協力指針を踏まえ、平時から政府機関や自衛隊、米軍の様々なレベルで話し合いの場を持つ。尖閣諸島などをにらんだ共同計画をつくるための新機関も立ち上げた。



 外務・防衛局長級の防衛協力小委員会を持ち回りで開いて正式に設置を決めた。新協議機関の設置は新指針に盛り込んでおり、中谷元・防衛相は防衛相会談後、記者団に「新指針の実効性確保のための重要な第一歩だ」と語った。
 日米間には、1997年の防衛指針で盛り込んだ自衛隊と米軍の運用を調整する協議機関があった。しかし活用するのは日本有事と、朝鮮半島有事などの周辺事態が起こった場合としており、発動は一度もない。
 新設した協議機関は平時から調整するのが特徴だ。このため武装漁民による離島占拠など武力攻撃に至らない「グレーゾーン」事態も対象になる。北朝鮮が人工衛星の名目で弾道ミサイルの発射を示唆する場合も、日本有事や朝鮮半島有事につながるか見通せないため従来の協議機関は使えなかったが、今後は話し合いを持つ。
 協議機関は3段階で構成する。(1)国家安全保障会議(NSC)や外務省、防衛省など関係府省が安保政策を擦り合わせる同盟調整グループ(2)自衛隊統合幕僚監部などが自衛隊と米軍の統合運用を話し合う共同運用調整所(3)陸海空それぞれの組織が部隊の運用などを細かく調整するための調整所――の3つだ。




会談を前にカーター米国防長官(左)と握手する中谷防衛相(3日、クアラルンプール近郊)=共同

 それぞれの段階で、あらかじめ関係府省や自衛隊、米軍ごとに担当者を決めておき、事態発生時に素早く集まり、連絡を取り合うようにする。関係府省はこれまで外務、防衛両省を想定していたが、必要に応じて国土交通省や厚生労働省も加わり、大規模災害での日米協力なども円滑にする。
 自衛隊と米軍の共同作戦計画をつくる新協議機関「共同計画策定メカニズム」も立ち上げた。共同計画は日本有事や周辺事態、グレーゾーン事態などの際の作戦や部隊の展開などを盛り込む。
 これまで共同計画は「検討」段階とされてきたが、今後は「策定」段階に入るとしている。中国の海洋進出を踏まえ「有事だけでなく平時から切れ目のない体制を整える必要性が高まっている」(防衛省幹部)ためだ。
 具体的には自衛隊と米太平洋軍、在日米軍のそれぞれの代表ら制服組による共同計画策定委員会が詳細な計画をつくり、外交・防衛当局や関係府省などと調整する枠組みを設ける。ただ共同計画は機密情報を含むため、公表しない方針で、日米一体化の実態は不透明な面が残ることになる。

ポーランド総選挙、保守強硬派の野党勝利 難民受け入れ慎重 構造改革は後退

2015年10月27日 | 国際政治
ポーランド総選挙、保守強硬派の野党勝利
難民受け入れ慎重 構造改革は後退
2015/10/26 15:30 日経夕刊
 【ベルリン=赤川省吾】ポーランドで25日に投開票された総選挙で保守強硬派の最大野党「法と正義」が勝利した。大型減税などを公約に掲げ、8年ぶりの政権交代を呼び込んだ。中・東欧のリーダー格であるポーランドでの構造改革の後退は欧州経済の新たなリスクとなる。新与党は難民の引き受けや欧州統合の深化にも慎重で、欧州連合(EU)の政策遂行に逆風となる。

 地元メディアによると25日夜時点で「法と正義」の得票率は39.1%で単独過半数の勢い。保守穏健派の与党「市民プラットフォーム」は23.4%にとどまった。
 「この国に変化をもたらしたい」。選挙後、「法と正義」のシドゥウォ氏は勝利宣言した。近く同氏を首相とする内閣が発足する見通し。
 ポーランドは債務危機のあいだもプラス成長を維持したが、成長の恩恵が一部のエリートに偏っているとの受け止めが広がっていた。党内基盤が弱いコパチ現首相は有効策を打ち出せず、票が伸び悩んだ。
 その一方で「法と正義」は政府への批判票の取り込みに注力。歳出削減など構造改革を断行した現政権との対決色を出すため、ばらまき策を公約に並べたのが成功した。
 例えば年金制度を拡充し、最低賃金を引き上げる。付加価値税と法人税は減税する。さらに中銀も成長戦略に協力させる。金融緩和を嫌がる中銀幹部を更迭し、新政権寄りのメンバーに入れ替えるとの噂も流れる。
 改革を逆回転させ、財政・金融を大盤振る舞いする危うい政策に見える。だが党内の若手のホープのマスタレレク議員は日本経済新聞に「若者に雇用の場を提供しないといけない」と強調する。
 今回の選挙は内政が争点で難民政策が決定打になったわけではない。だが「法と正義」はキリスト教を重んじ、民族主義的な色彩が強い。新政権は中東のイスラム教徒を難民として受け入れるのに反対するとみられる。
 外資系企業を狙い撃ちにした新税導入や国内産業保護を掲げているのもEUにとっては頭の痛い問題。欧州統合の深化にも慎重で通貨ユーロの導入準備も止まる。既に投資家が逃げ出し、ワルシャワの株価は急落した。
 同党は以前、「EU懐疑派」とされたが、EUからの離脱は主張していない。今は反ロシア強硬派という立場を優先するため「EUの後ろ盾を必要としている」(トルン大学のウォイチェック・ペシンスキ講師)という事情もある。EUと対峙しつつ決定的な対立は避けるとペシンスキ氏は見る。

TPP交渉、最終攻防 新薬・乳製品なお溝 日米、コメ・車部品で詰め

2015年08月01日 | 国際政治
TPP交渉、最終攻防
新薬・乳製品なお溝 日米、コメ・車部品で詰め
2015/8/1 3:30 日経朝刊

 【ラハイナ(米ハワイ州)=八十島綾平】日米など環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する12カ国は30日(日本時間31日)、ぎりぎりの協議を続けた。医薬品に関する知的財産のルールや乳製品を巡って対立が表面化し、交渉は正念場を迎えている。参加国は作業を事務レベルに戻して徹夜で論点を詰め、最終日に設定された31日の閣僚会合で政治決着を目指すが、予断を許さない情勢だ。



 30日午後の12カ国の閣僚会合は、予定より3時間も遅れて始まった。「知的財産で各国の利害がぶつかり調整できなかった」と甘利明経済財政・再生相は説明した。
 閣僚会合は夕刻にようやく始まったものの、1時間足らずで休憩に入った。争点が煮詰まらず、閣僚による決着が見込めなかったためだ。
 その後、事務レベルで地ならしを試みたが進展せず、30日中の閣僚会合再開は見送られた。同会合は31日午前に再開する予定で、事務方は徹夜で調整を進めている。
 知的財産分野で難航するのが医薬品の開発データの保護期間だ。米国は新薬の権利を守りたい大手新薬メーカーの意向を受け12年を主張。後発薬を早く使いたいオーストラリアや途上国は5年を求めてきた。30日の会合では8年を軸にした折衷案が示されたもようだが歩み寄りは乏しい。
 特産品に地名を付ける地理的表示の保護ルールでも米国と新興国の交渉が「予想外に難航している」(日本の関係者)。
 乳製品も深刻な争点だ。競争力があるニュージーランドは日本やカナダに大幅な輸入拡大を要求。低関税の輸入枠を検討する日本にさらなる譲歩を迫り、日本の交渉官を憤慨させたという。
 「市場開放の姿勢に不満を持っている」。ニュージーランドはカナダにもかみついた。同国の強硬姿勢が交渉全体の波乱要因となっている。
 日米の2国間交渉では米国産のコメが残った課題だ。甘利氏は日本が設ける無税の輸入枠を年7万トンとする案を提示し、米通商代表部(USTR)のフロマン代表と詰めたい考え。だが閣僚会合全体が遅れカードを切り合うに至っていない。
 日米のもう一つの焦点は日本が米国に輸出する自動車部品。5割超の部品で関税を即時撤廃することは固まっていたが、日本は品目の大幅な上積みを目指している。
 「(閣僚会合を)1日延ばすこともあり得る」。議長国をつとめる米政府の高官はそう漏らす。米国は現地時間の31日昼すぎ(日本時間1日朝)に閣僚の共同記者会見を予定するが、それまでの交渉妥結は厳しくなってきたとの認識だ。
 「最後になって皆がカードを切り(交渉が)まとまることはよくある」。30日深夜、TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官は、記者団を前に疲れた表情で交渉妥結への望みをつないだ。交渉、最終攻防
新薬・乳製品なお溝 日米、コメ・車部品で詰め
2015/8/1 3:30 日経朝刊

 【ラハイナ(米ハワイ州)=八十島綾平】日米など環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する12カ国は30日(日本時間31日)、ぎりぎりの協議を続けた。医薬品に関する知的財産のルールや乳製品を巡って対立が表面化し、交渉は正念場を迎えている。参加国は作業を事務レベルに戻して徹夜で論点を詰め、最終日に設定された31日の閣僚会合で政治決着を目指すが、予断を許さない情勢だ。

 30日午後の12カ国の閣僚会合は、予定より3時間も遅れて始まった。「知的財産で各国の利害がぶつかり調整できなかった」と甘利明経済財政・再生相は説明した。
 閣僚会合は夕刻にようやく始まったものの、1時間足らずで休憩に入った。争点が煮詰まらず、閣僚による決着が見込めなかったためだ。
 その後、事務レベルで地ならしを試みたが進展せず、30日中の閣僚会合再開は見送られた。同会合は31日午前に再開する予定で、事務方は徹夜で調整を進めている。
 知的財産分野で難航するのが医薬品の開発データの保護期間だ。米国は新薬の権利を守りたい大手新薬メーカーの意向を受け12年を主張。後発薬を早く使いたいオーストラリアや途上国は5年を求めてきた。30日の会合では8年を軸にした折衷案が示されたもようだが歩み寄りは乏しい。
 特産品に地名を付ける地理的表示の保護ルールでも米国と新興国の交渉が「予想外に難航している」(日本の関係者)。
 乳製品も深刻な争点だ。競争力があるニュージーランドは日本やカナダに大幅な輸入拡大を要求。低関税の輸入枠を検討する日本にさらなる譲歩を迫り、日本の交渉官を憤慨させたという。
 「市場開放の姿勢に不満を持っている」。ニュージーランドはカナダにもかみついた。同国の強硬姿勢が交渉全体の波乱要因となっている。
 日米の2国間交渉では米国産のコメが残った課題だ。甘利氏は日本が設ける無税の輸入枠を年7万トンとする案を提示し、米通商代表部(USTR)のフロマン代表と詰めたい考え。だが閣僚会合全体が遅れカードを切り合うに至っていない。
 日米のもう一つの焦点は日本が米国に輸出する自動車部品。5割超の部品で関税を即時撤廃することは固まっていたが、日本は品目の大幅な上積みを目指している。
 「(閣僚会合を)1日延ばすこともあり得る」。議長国をつとめる米政府の高官はそう漏らす。米国は現地時間の31日昼すぎ(日本時間1日朝)に閣僚の共同記者会見を予定するが、それまでの交渉妥結は厳しくなってきたとの認識だ。
 「最後になって皆がカードを切り(交渉が)まとまることはよくある」。30日深夜、TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官は、記者団を前に疲れた表情で交渉妥結への望みをつないだ。

米越首脳、中国をけん制 ベトナム戦争後初「歴史的会談」 

2015年07月08日 | 国際政治
米越首脳、中国をけん制
ベトナム戦争後初「歴史的会談」 南シナ海、懸念共有
2015/7/8 15:30 日経夕刊


 【ワシントン=川合智之】オバマ米大統領は7日、ベトナムの最高指導者、グエン・フー・チョン共産党書記長とホワイトハウスで会談した。1975年のベトナム戦争終結後、共産党トップの訪米は初めて。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉や武器輸出などで連携を深め、南シナ海でベトナムと領有権争いを繰り広げる中国をけん制する。




7日、会談後に握手するオバマ米大統領(右)とベトナムのグエン・フー・チョン書記長=ロイター




 会談後にチョン氏は記者団に対し、中国が南シナ海で進める「国際法に従わない最近の活動」についてオバマ氏と懸念を共有したと述べた。チョン氏はオバマ氏をベトナムに招待、オバマ氏も「訪問を楽しみにしている」と応じた。
 ベトナム首脳の訪米はこれまで党序列2位の国家主席(大統領)にとどまっていた。戦争終結から40年、95年の国交正常化から20年の節目の年に、共産主義国家の最高権力者である共産党書記長の訪米が実現した。アーネスト米大統領報道官は6日の記者会見で「歴史的な会談だ」と強調した。
 中国は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で岩礁埋め立てや滑走路建設を進め、ベトナムも同様の埋め立てで対抗する。西沙(パラセル)諸島付近でも昨年5月に中国が石油掘削作業を始め、漁船の衝突が相次ぐ事態に発展した。
 ベトナムにとって中国は最大の貿易相手国で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定にも署名した。一方、米との貿易額も20年間で130倍に拡大、いまや中国に次ぐ規模だ。米はTPP締結でさらに経済連携を強め、中国包囲網を築く。
 軍事面での協力も拡大する。米国は昨年10月、約40年間続けてきたベトナムへの殺傷力のある武器の禁輸措置を一部解除した。ベトナム軍の兵器の95%はロシア製だが、米は武器供与解禁でアジア太平洋の軍事バランスにくさびを打ち込む。
 もう一つの焦点が人権問題。ベトナムでは100人以上の政治犯が投獄中とされ、米は解放を求める。残り任期1年半のオバマ氏は、ベトナムの人権状況改善をキューバとの国交正常化交渉入りに続く外交成果にしたい考えだ。

「この国はどうなる」 アテネ市民、不安隠せず ギリシャ支援、EU側が延長拒否

2015年06月28日 | 国際政治
「この国はどうなる」 アテネ市民、不安隠せず
ギリシャ支援、EU側が延長拒否
2015/6/28 3:30 日経朝刊

 【アテネ=佐野彰洋】 欧州連合(EU)側がギリシャによる金融支援の延長要請を拒否した27日。アテネ市民は先行きへの不安を隠せない様子だった。



27日、預金を引き出そうと銀行前に列をつくる人たち(アテネ)=ロイター

 中心部から北に2キロほどのアベロキピ地区。街角のカフェでは、国民投票実施の是非を決める国会の様子を確かめようと、テレビにくぎ付けになる人々の姿があった。
 カフェのオーナーで、ブルガリア出身のヴィオレタさん(30)は、「テレビを見て今日は皆、まるでパニックになってしまったようだ。1セントでも安いメニューを頼んで節約しようとしている」と、とまどった様子だった。
 市民の受け止め方は様々だ。年金暮らしのランブロスさん(60)は「チプラスは経験不足から欧州連合(EU)との交渉に失敗してしまった」と嘆く。国民投票では、緊縮策の受け入れ賛成に一票を投じるつもりだ。
 一方、葬儀業のタソスさん(70)は「国民投票以外に選択肢はなかった」とチプラス氏の決断に理解を示した。
 未明のテレビ演説の直後から、アテネ市内の一部の銀行ATMでは現金を引き出す預金者の列ができた。海外送金や引き出し限度額を制限する「資本規制」や月曜日を迎えても銀行が営業しない事態を恐れたためだ。
 約70人の列に並んでいた年金暮らしのディナさん(60)は「これからこの国はどうなるのか」と悲嘆に暮れる。
 AFP通信によると、ギリシャ中銀は27日、「銀行のATMの稼働が続くよう、全力を尽くす」と表明した。すでに一部の銀行に預金を引き出す人々の列ができていることに対応する措置だ。
 夏を迎えたギリシャは観光シーズンのさなかでもある。郊外のアテネ国際空港では世界中の観光客を乗せた航空機が離着陸を繰り返している。
 市内のホテルから空港に向かったタクシー運転手のヒョードルさん(48)は、自分にはATMから引き出す預金がないと断ったうえで、「国民投票は観光を含む全産業に打撃だ。ユーロ圏離脱に発展したら取り返しがつかない」とため息をついた。

米、人民元自由化迫る 戦略対話 サイバー攻撃「中国政府が支援」

2015年06月24日 | 国際政治
米、人民元自由化迫る
戦略対話 サイバー攻撃「中国政府が支援」
2015/6/24 15:30 日経夕刊

 【ワシントン=大越匡洋】米国と中国が両国間の懸案を話し合う戦略・経済対話は23日、経済問題を集中討議した。気候変動への対応や投資協定の交渉加速では協調路線を確認したものの、米国のルー財務長官が中国に通貨・人民元の為替制度の改革を迫ったほか、「中国政府が支援するサイバー攻撃」への懸念も表明した。経済分野での摩擦も浮き彫りになった。
 ルー氏は討議で「中国の為替介入は昨年の対話以来、相当減った」と中国の改革姿勢を評価した。一方で「さらなる為替制度の改革が重要だ」と念押しし、人民元の資本取引を自由化する必要性に言及した。
 中国は今年、国際通貨基金(IMF)の準備資産であるSDR(特別引き出し権)への人民元の採用をめざしている。米国はこの機をとらえ、人民元をドルや円などと同様に「自由に取引できる通貨」とするよう、中国に改めて改革を迫った。
 中国側も為替管理に関する事前審査の削減など、改革の方向性を説明したもようだ。同時に、米国に対して「投資を増やし、世界経済の成長への貢献をさらに高めてほしい」(楼継偉財政相)と、経済成長を一段と高めるよう注文をつけた。
 ルー氏は米企業を狙うサイバー攻撃を巡り「中国政府が支援するサイバー攻撃に深い懸念を持っている」と述べ、中国を名指しで批判した。中国側も「サイバーセキュリティーはとても重要だ」(楊潔篪国務委員)としているが、「サイバー問題は経済分野の議題ではない」(中国政府筋)との立場で、両者の隔たりは大きい。両国は9月の習近平国家主席の訪米を控え、地球温暖化への対応などで、世界1位と2位の経済大国の協調を演出することにも腐心した。

TPA可決を楽観視するオバマ大統領

2015年06月22日 | 国際政治
オバマ氏「成立を楽観」
米貿易権限法案、きょうにも再採決
2015/6/22 3:30 日経朝刊

 【ワシントン=川合智之】オバマ米大統領は20日、週末恒例の米国民向けビデオ演説で、環太平洋経済連携協定(TPP)妥結の前提となる米大統領貿易促進権限(TPA)法案について「何人かの議員が反対している」と批判した上で「最終的には成立すると楽観している」と述べた。TPA法案は上院が22日にも再採決する見通し。オバマ氏は7月中のTPP大筋合意に意欲を示した。
 オバマ氏は「米国の労働者や企業のために貿易のルールを書き換える必要がある。中国がそうする前にやるべきだ」と強調。TPP参加は「正しい選択だ」と話し「我々に競争力を与えてくれると信じている」と訴えた。
 TPAは大統領に強力な通商交渉権限を委任し、協定案の合意後に米議会が修正を加えられないようにする仕組み。TPP交渉参加国が成立を求めていた。TPAは5月22日に上院で可決したが、下院ではTPAと一括の法案だった貿易調整援助(TAA)法案を別々に採決したところ、TAAが否決された。このためTPAとTAAを分離し、TPAを上院で採決し直す方針に転換した。
 分離採決には与党・民主党の議員が反対し、上院の賛否は拮抗しているもようだ。