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イタリアン・グラフティ

2008-06-28 15:11:47 | Travel 国内外猫の目紀行
最近お騒がせの事件現場、サンタ・マリア・デル・フィオーレ。(↑photoは2005年撮)
あまりに有名なルネサンスのアイコン的存在だけど
卒業旅行で初対面した時は、その恐るべき美貌に絶句したものだ。

世界遺産というブランドで語られがちだけど(そんな記事を雑誌に書いたこともあるけれど)、
実際ここに出で立つと、そんなお墨付きも、世界中から押し寄せる観光客の渦もなんのその、
その端麗な意匠を好むと好まざるに関わらず、目を奪われ息を呑む。

こんなとこに落書きしちゃおうと思いつくそのこころが、すごいなぞ。
メディチ家の時代だったら、パッツィみたいに処刑されてたかもなのに。
90年代にウフィッツィ美術館の一部がテロで爆破されたけど、破壊という意味では同じ。

しかし。イタリアの世界遺産都市がひたすら整然としているかというと、そんなこともない。
ここ数年の間にイタリア旅行で撮影した写真を見直してみても。。
これは3年前、やはりフィレンツェのポンテ・ヴェッキオのたもとにて。

鍵にふたりの名を書いて願掛けみたいにするのが流行っているらしく、
「Patrick+Gioia」とか「4ever Anna and Mike」とか書かれた鍵が絵馬よろしく掛けられ。。
(時々フィレンツェ当局の人が溜まった鍵を一掃しているらしいけど…)

かわって、ローマ。テヴェレ河の中洲にあるティべリーナ島。

CRISTIAN VIVE(クリスチャンここにあり)とか、TI AMO DANIELE(ダニエレ、愛してる)とか、
トイレの落書みたいな文字がびっしり。

これもローマの路地裏にある有名な落書き遺跡スポット。

こっちのは「GOVERNO LADRO!(泥棒政府)」とか、政治風刺が目立つ。

さらにこれはローマ郊外、ファシズム建築が並び立つエウルの一角にて。

↑「私の心の中にはいつも君が!!!」。ネオナチマークがまがまがしく意味深。。

ちなみにこの落書きの傍らにある端整なパラッツォは、大好きな映画『暗殺の森』にも登場する。
ジャン・ルイ・トランティニャンが、この階段を物憂げにのぼるのだ。


これはローマの下町トラステヴェレで目撃したFIATの水玉チンクエチェント。
もはや落書きというか、おしゃれというか。(ダミアン・ハーストの作品にあらず)


落書きも問題だけど、これはどうなの?

フィレンツェの切り売りピザ屋さんに居た、日本贔屓のラガーマン。日本人と見るや相好崩して
「日本と“ラグビィ”が大好きなんだ」と。その笑顔につい、真実を指摘する勇気が萎えた。。

話がそれにそれたけど、よいこはらくがきをやめましょう。世界中どこであっても。

☆☆☆
先週は締切りや校正やラフ作成やもろもろの手配が重なってあわただしく。
そんな間隙を縫って火曜夜は銀座へ。上海に移住した制作会社の羽田さんを囲み、
まいかさん、ちよさん、キムリエさんたちとみんなでゴハン。束の間のたのしい休息。

その翌日も銀座へ。
NODEで幸宏さんを撮影したフォトグラファー畠中和久氏の個展をCANNON Galleryで観た。
日本各地の城あとを追った視点がしぶい。まさに、つわものどもがゆめのあと。
7月は大阪、8月は仙台、9月は福岡を巡回するよう。

しかし畠中氏といえば、スタジオで幸宏さんの撮影中に大音量でムエタイの音楽をかけていたのが
印象的。今でもNODEの表紙を観ると、澄んだPUPAではなく熱いムエタイグルーヴの幻聴が(笑)

帰り、銀座から日比谷へと抜ける途中、ビルの解体現場にいくつも遭遇。
銀座の場合、“城あと”にもすぐに新しいビルがそびえるのだが。。

有楽町の駅前に近年できた広場に、青い木の実がいくつもなっていた。
その向こうに見える建設中の高層ビルの頂きでは、触覚みたいなクレーンが何機も蠢いていた。

ペニンシュラホテルからメトロに直結する
目立たないエレベータ前にひっそり咲いていたハーブたち。
この辺も、ここ数年で風景が随分かわったなあ。
東京は、落書きを憂う前に、街の輪郭自体が日々塗り替えられている。
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