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水にとけた太陽と 黄金の月

2009-01-30 05:50:51 | Scene いつか見た遠い空
週半ば、取材先に向かう途上、井の頭公園を漫ろ歩いた。
ぷくぷく芽吹いた猫柳の向こうには、水にとけた冬の太陽が仄かにゆらめいていて、
デコイみたいな鴨たちがその上を悠然と滑っているのが見えた。


遡ること日曜。Oxyオーリエさんちで昼下がりから鍋を囲みながら深夜まで尽きないお喋り。
彼女の部屋は実に居心地がいい。手作りでいろいろ工夫してあり、さすが空間デザイナー。


翌月曜に入稿しなければならないイームズ原稿のために、オーリエさんの私物シェルチェアや
ハウス・オブ・カードも撮影させていただいた。レイ・イームズの密かなガーリィ感がすき。



原稿書き、入稿、あちこち電話&メール、再び原稿書き・・・と慌しい月曜を乗り越え、
火曜は、ここはイタリア?な感じのリストランテ リヴァ デリ エトゥルスキ@南青山で
オペラ歌手幸田浩子さんのインタビュー。

イタリア留学経験もある彼女は、LunaSubitoの名刺を見るや、即イミを理解してくれた。
彼女が愛用しているという上原のお花屋さんは、私も御用達。オリーブが実をつける方法を話したら
早速試してみます、とチャーミングな笑顔。ボッティチェッリの春の美神の如く 心身麗しい人だった。


帰りにリストランテで松の実が入ったメレンゲのお菓子をお土産に。その名も「修道女の乳房」。
さすがイタリア人パティシエ、倒錯したセンス…しかも美味。メレンゲ愛好者としてはかなり好み。


水曜は5月まで開催している「プチ・ルーヴル展」の取材で、ジブリ美術館へ。
展示も美術館自体の造りも、子ども目線の仕掛けが随所にあってなかなかわくわく。
外国人来訪者の率が非常に高く、ジブリアニメの影響力を改めて思い知る。


帰りにポニョや猫バスのヌイグルミ、ではなく、プチ・ルーブル展アイテムのポストイットを購入。
さて、どの眼がどの絵に描かれた人物でしょう?

しかしこれ、普通に資料とかに貼って人に渡したら、引かれそう(笑)
余談ながらジブリ美術館のミュージアムショップ名は「MAMMA AIUTO!(伊語で、ママ助けて)」
なるマザコンめいたネーミングだった。意味深。

その夜は銀座へ。原野先生や清水さん、ちづこさんたちと久々にお会いし、積もる話題もあれこれ。
年長者の方々のお話は含蓄があって深い。そしてなんとも温かい。
「和福美」の色コラムの取材でいつもお世話になっている組紐作家の原野先生にささやかなお礼を
お渡ししたら、結んであった紐を解き、蜻蛉や蝶々や梅をいともたやすく作ってみせてくださった。


帰りにちづこさんに伺った60~70年代 銀座・原宿・横浜 青春グラフティ話も実に楽しく。
彼女にいただいたJohanの袋をうちに帰ってから見たら、ラズベリーの香りがふわん。
こんなピンクのかわいいパンが ぽこ・ぽこ・ぽこと。ごちそうさまです!



今週は新月明けで、しかも曇りがちだったので、月にはまったくお目にかかっていない。

そんななか、「黄金の月」を何度も聴いていた。オーリエさんちでこの曲を歌うスガシカオの
PVをみせてもらい、その歌詞の鋭利で屈折した“ジュンブンガク”っぷりが琴線にちくっときて。
有名な曲らしいのだけど、J-POPにあまり明るくない私は今までまるで知らなくて。
1997年のリリースだそう。12年前。。その頃って、私は何を聴いていたんだっけ?

・・・そんなことを思いつつ書棚を物色していて、こんな古雑誌を発掘。

ちょうど12年前、イタリア旅行中にローマの路上のバンカレッラ(キオスクみたいな雑誌スタンド)で
なぜかSILENT POETSが表紙になったイタリアのクラブ系雑誌がCD付きで売られていたという。。
(ちなみに1冊18500リラ。2000円ちょい?ユーロになる前の金額計算、もうできない…)
あの頃はポエツよく聴いてたなぁ。。ポエツの音楽は遠い旅の匂いがする。

そのときは南イタリアにも足を延ばした。電車でマルティーナフランカの賑やかな高校生たちと
乗り合わせた際、質問攻めにあったので、逆に彼らにどんな音楽が好きなのか訊いてみた。

多くはジャミロクワイ、オアシスの名を挙げ、イタリアの人気DJジョヴァノッティの名が出ると、
ものすごく盛り上がったが、一人だけ「メタルが最高」とガッツポーズしてみせた。

マルティーナフランカの隣はアルベロベッロ。ここでどんな音楽を耳にしたか、全然憶えていない。
夕暮れに、羊たちがとことこ歩く時、首に下がった鐘がカラコロ鳴っていたこと以外は。。


一昨年に出た「澁澤龍彦のイタリア紀行」の表紙もアルベロベッロでのスナップだが、
澁澤も似たような場所をあちこちわくわく訪れており、つくづく親近感がわく。
彼は最期の病床でも「もう一度イタリアに行きたいね」と云っていたとか。


あれからもイタリアへは遊びや仕事で2,3年毎に訪れているが、ここのとこご無沙汰。
今年こそは再訪したいな。と、花瓶の赤いヒナゲシを眺めつつ思うこのごろ。

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