[映画紹介]
なぜか同じ日に
「アマチュア」と「プロフェッショナル」という
2本の映画が公開され、
その1週間前には、「ベテラン」という映画が公開されている。
もっとも、
「プロフェッショナル」というのは
日本で付けた邦題で、
原題は、「In the Land of Saints and Sinners 」、
意味は「聖人と罪びとの地で」。
1970年代の北アイルランド。
暗殺者という過去を捨て去りたいと願う
フィンバー・マーフィーは、
正体を隠し、海辺の田舎町で静かに生きていた。
最後の仕事を終えて、引退を決意し、
老後を庭いじりをして過ごそうとしていた矢先、
ベルファストで子どもたちを巻き込む
爆破事件を起こしたアイルランド共和軍(IRA)の
爆弾テロリストたちが町に逃げ込んでくる。
メンバーの一人が地元の少女を虐待していると知ったフィンバーは
少女を助けるために男に制裁を下し、
テロリストたちと対立することに。
後戻りできない状況に追い込まれたフィンバーは
テロリストとの殺るか殺られるかの壮絶な戦いに巻き込まれる。
避けられぬ宿命に導かれるように、
フィンバーは過去に決着をつけるため、
最後の死闘に身を投じる・・・
主人公の血塗られた過去、
引退して老後を穏便に生きようとしていたのに、
外敵が現れ、
住民を守るために、
再び闘うことを余儀なくされる。
という、既に何度も作られたような話だが、
その主人公をリーアム・ニーソンが演ずるとなれば、
料理の味が格別に高まる。
リーアム・ニーソンは当年72歳。
この歳でまだ主演を張っている。
しかもアクション映画が多い。
なぜか私はリーアムの映画を沢山観ている。
肌が合うみたい。
表情、立ち居振る舞いが醸しだす哀愁の香りが好きなのだろう。
特にこの映画のように、
過去から逃亡する老境の男が、
自分の意志に反して闘いの場にのぞまなければならない姿は
ぴったりだ。
渋く、滋味深い重厚さ。
この映画は、リーアム・ニーソンが、
自身のキャリアの集大成として選んだものという。
というのは、リーアムはアイルランド出身だからだ。
過去には、
アイルランド独立運動家のマイケル・コリンズを演じている。
監督はロバート・ロレンツ。
長年、クリント・イーストウッド監督とタッグを組んできたプロデューサーだ。
撮影もイーストウッド作品の撮影を長年手掛けたトム・スターン。
引退したい老殺し屋、
次世代を担う若造ヒットマン、
地元の親友保安官、
ほのかな隣人との交流、
そしていたいけな子供と猫。
背景にドストエフスキーの「罪と罰」を置き、
アイルランドの荒涼とした土地で紡ぎだす
重厚な人間ドラマ。
町の住人が集う居酒屋が興味深い。
アイルランドの歴史的・政治的背景を反映する。
日本人があまり知らないアイルランド問題を扱い、
題材的にヒットは望めないが
配信ではなく、
劇場公開に至ったのは、
やはりリーアムに対する一定の評価があるからだろうか。
私が行った市川妙典の映画館では、
1日1回の上映で、観客は5人。
1週間で打ち切りになってしまった。
5段階評価の「4」。
TOHOシネマズ日比谷他で上映中。
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