[映画紹介]
副題に「陰謀のタイムループ」とあるように、
インド発のタイムループもの。
友人の結婚式に参列するために
ドバイからインドに帰ってきた青年カーリクは、
飛行機の中で隣席に座った女性が
同じ結婚式に出ると知って、
一緒に式の行われる町に向かう。
ところが、途中で警察官に拘束され、
その町で行われる政党大会で
暗殺テロを起こすよう強要される。
カーリクは銃を発射しなかったが、
暗殺は実行され、
銃を持っていたカーリクは
現行犯として射殺される。
その瞬間、
飛行機の中で目覚め、
同じ女性と知り合いになり、
向かった町でまた暗殺計画が実行され、
銃殺されたカーリクは飛行機の中で目覚め・・・
それが繰り返されると、
タイムループが起きていることを理解したカーリクは、
予想される事態にうまく対処しながら、
暗殺を未然に防ごうと奔走する。
失敗して殺されると、
また飛行機の中で目覚め・・・
が無限に繰り返される。
銃撃がテレビカメラの改造銃で行われることを知ったカーリクは、
その男の宿泊所を訪れ、
アジトに潜入し、暗殺一味と闘う。
相手がどう出るかが分かっているので、
段々強くなる。
銃殺されない時は、自分で命を断ったりして、
タイムループをコントロールする。
タイムループの有効活用。
という繰り返しで、
一体この話、どう決着するのかと思っていると、
後半、予想だにしない事態が巻き起こり、
新たなタイムループが出現する。
劇場で驚きたい方のために、
その内容は書かないでおこう。
タイムループものは数々先行作品があり、
「恋はデジャ・ブ」(1993)や
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)
も映画の中で語られているので、
ちゃんと先行作品には敬意を払っている。
それは、タイムループものの新機軸であることを
監督が自覚し、かつ誇りに思っているからで、
その志が見事。
よく考えてみれば、
タイムループものによくある設定なのだが、
それは後で考えてみればそう思えるのであって、
映画を観ている間は、あれよあれよという展開に、
ただただ巻き込まれてしまう。
この奇想天外な話を作り上げたのは、
ヴェンカト・プラブ監督。
主演はシランバラサン。
警察官をS・J・スーリヤーが演じる。
SFであり、ポリティカルアクションであり、
サスペンスであり、コメディでもある、贅沢な作り。
ヒンドゥー至上主義やマイノリティーへの排斥や
ムスリムとの融和など、
さりげなく織り込んでいる。
歌い踊るシーンは結婚式でクリア。
エンドロールでメイキングやNGシーンも見せ、
サービス満点。
5段階評価の「4」。
新宿ピカデリー他で上映中。
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