空飛ぶ自由人・2

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映画『終わらない週末』

2023年12月29日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

ブルックリンで暮らす、広告会社に勤めるアマンダは
朝、急に思い立ってロングアイランドの別荘をレンタル予約。
仕事へのプレッシャーから離れて、
週末、少しでものんびりと休暇をとりたいと考えたのだ。
同行するのは、夫と息子、娘。
行った先の別荘は、
想像を越えた豪勢な屋敷だった。

海岸で遊んでいると、
沖の巨大タンカーがこちらに向かって来た。


ぐんぐん近づくと、
ついに砂浜に乗り上げ、座礁してしまう。
それだけではない。
ニューヨークが停電で、
ネットもテレビをスマホも全く仕えない状態に。
ハッカーによるものだといい、
一切の情報から隔絶されてしまう。

不安を抱える夜中、訪問者が。
この別荘の持ち主の黒人の父娘。
ニューヨークに向かう途中、
非常事態に巻き込まれて、
引き返して来たのだという。
アマンダは警戒しながらも、
父娘を受け入れる。

その後、
アマンダたちは、別荘を出て
ニュージャージーの姉の家に向かうことにするが、
高速道路で自動運転搭載のテスラの新車が
無人のまま走って来て衝突し合い、
道を塞いでいた。
一家は仕方なく別荘に戻っていく。

情報を得るために車で出かけても、
GPSが機能せず、迷子に。
空からは、旅客機が墜落して来る。
タンカーが進路を誤ったのも制御不能なためで、
通信衛星も機能せず、
自動運転車の異常走行も起こり、
ハッカーによる攪乱というのは、本当らしい。
更に、鹿が家を取り巻いたり、
フラミンゴがプールに大量に来訪したり、
異様な音が鳴り響いたり、
アマンダの息子の歯が抜け落ちたり、
異変が続く。
そして、ドローンから、アラビア文字の宣伝ビラがまかれ、
そこには、「アメリカに死を」と書かれている。

という異常な状態に巻き込まれた一家の話。
なにしろ、主な登場人物は7人しか出て来ない。
アマンダの家族4人と、
別荘の家主父娘、
それに、近所に住むサバイバリスト。

配役がすごい。
アマンダにジュリア・ロバーツ
その夫にイーサン・ホーク
家主にマハーシャラ・アリ
サバイバリストにケヴィン・ベーコン
オスカー、準オスカー級の配役だ。

謎が謎を呼ぶ展開に引きつけられるが、
真相らしきものが出た途端、
えっ、それで終わり?
となる。
そこからこそ本当のドラマが始まるのではないか。
家主によって語られる
事態の解釈も、
だから、どうなる?
という感じで、
そういう意味で期待外れ。
豪華な俳優陣ではあるが、
まだ調理途中の食事を食べさせられた感じ。

カメラが空から家の窓を入って中を描写したり、
空から走る車の内部にカメラが入って、
また外に出たりと、
CGを駆使したカメラワークが興味深い。

ジュリア・ロバーツの役は、
仕事のせいで怒りにとらわれた嫌な女。
家主が戻って来たのに、
契約を盾に拒んで占有を主張する。
アメリカ女って、みんなこうなのか?
とさえ思わせてしまう。
娘は懐かしのテレビドラマ「フレンズ」の最終回が見れなくて苛つき、
大変な事態に陥っているのに、
最大の関心事はテレビドラマの最終回、というのも笑わせる。

バングラデシュの移民二世の作家ルマール・アラムの小説が原作。


原題は「Leave the World Behind」。
意味は「世界を置き去りにする」。
邦題は、翻訳本が出た時付けられた題名で、
「週末」が「終末」に思わせる趣向。
原作との違いは、家主が年配の夫婦から父娘に変更されたこと。
「フレンズ」に関するエピソードは、
映画のオリジナルで、原作には出て来ない。

この本が注目を集めたのは、
ちょうど出版時期(2020年10月)が、
新型コロナウイルスのパンデミックで
世界中でロックダウンが発生し、
「これは終末か」と
不安と恐怖を全世界の人々が体験したタイミングだったからのようだ。
そのせいか、
映画化されるスピードも早く、
出版前に入札合戦があり、Netflix が獲得。
そして早くも今年配信。
情報が少ない異常な状況が
パンデミックのあの混乱と重なる。

監督は、サム・エスメイル
バラク・オバマとミシェル・オバマが設立した
製作会社Higher Ground が制作に関わっている。

Netflix で12月8日から配信。

 



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