空飛ぶ自由人・2

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映画『ドリーム・ホース』

2023年01月14日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

イギリスのウェールズのケアフィリ郡クブンフォレスト。


片田舎の村で農園を営んでいるジャンと夫ブライアンは、
変わり映えのない毎日を過ごしていた。
ジャンには高齢で足の悪い母と、
認知症になりかけている父がいて、
二人の介護もしなければならない。
変化も刺激も希望も未来もない虚しい生活

ある時、彼女は馬主だった経験のある会計士の話に感化されて
競走馬を育成しようと思い立ち、
村の住民たちを、共同馬主になろうと誘う。
集まった村人たちは、
週10ポンドずつ出し合い、
牝馬を購入して、アメリカ産の種牡馬と交配し、
念願の競走馬を手に入れることができた。


ドリームアライアンス(夢の同盟) と名付けられた競走馬は、
著名な調教師に預けられ、
意外やレースを勝ち進み、
それとともにジャンらの人生も変わっていく・・・

村人たちは誰もが張りのない生活を送っていたが、
ドリームアライアンス号の活躍が彼らに活気を与えていく。
だが、レース中に転んで足に故障を持ったため、
安楽死か再チャレンジかを決めなければならなくなる。
悲観的な意見が出る中、
ジャンはドリームアライアンス号によって、
自分たちの生活に希望が生まれたことを強調する。
そして・・・

実話だという。
話はうまくいきすぎる感じもするが、
そこは、実話の強みが、
へそまがりの疑問をはねのける。
なにしろ、小さな田舎の村で実際に起きたこのドラマティックな物語は、
2009年当時、大きな感動を呼んで報道され、
2015年にはドキュメンタリー映画が制作されて、
サンダンス映画祭で観客賞を受賞。
そして、今回の長編映画化となった。

なによりも、
村人たちにとって、
仔馬の時から育てた競走馬の存在が、
生きる希望となり、
生活の活力をもたらす点、
人生の秘訣を感じさせる。
馬主組合をつくるとき、彼らが確認したのは「決して儲けようとしないこと」。
儲けではなく、「胸の高鳴り」を求めて結成したのだ。
変化のない日常の中でワクワクするものがあることは、
人生を諦めかけていた大人たちにとって、
かけがえのない生き甲斐となっていく。

レースに一喜一憂し、
勝利した瞬間の歓喜。
ウェールズというイギリスの田舎で起こった奇跡。
日本の田舎でも同じことが起こらないとは言えない。

競馬のシーンは軽快で、
村人と一緒になって映画の観客も歓喜する。
こういう爽やかな作品は、やはりいい。

監督はユーロス・リン
ジャンを演ずるのは、トニ・コレット


会計士には、ダミアン・ルイス
夫役のオーウェン・ティールがいい味を出している。
いつもながら、俳優たちの演技に
英国演劇界の底力を感ずる。
面構えからして違う。

エンディングで、
村人が順番に歌う
トム・ジョーンズの「デライラ」が楽しい。

5段階評価の「4」

新宿ピカデリー他で上映中。