月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space  フラグメント

2011-01-11 00:13:45 | 
            かれらはレンズです
            眼がそこを通り抜ける
            馴れたもの

                 *

            止せというから止した
            使い古したので止した
            胸がきつくなったので止した
            それでなにも見当たらない
            なにも入りこんでこない
            それならなにも出ないと言いだす
            だからなんなのだ
            だからだからだから
            どこにも見えないようである

                 *

            狭苦しいぷろむなあど
            案内板は皮に生え立つ
            髪の先あたり
            秘密にしておいた
            あそこのスイッチの故障か
            バレてしまうからである
            いやだいやだと言う
            別の方をむくのは
            手に負えない間に終着地
            先なんかまるで見えない
            先なんか知ったことではない
            窓から地平線が見える
            夢のぷろむなあどのそば
            永遠の眼に映る青のかあてん
            あとになると正体が分かるね

                  *

            夜明けに裸足でガソリンスタンドの前を通る
            近づくパトロールカーの警官は丸裸
            遠くの信号は黄金色
            どこのだれが怪しいというのだろう
            思い出の立体フォートグラフ
            端は崖っぷち

                  *

            だれにも語らずに
            なにもかも内に沈めて流れる
            そんなひとのそばで夢ばかりみて
            語り方を知らずに流れる
            約束事みたいに直流する
            その様を忘れていない

                  *

            Y町に向かって左にDホテルのある通り。色
            盲の射撃手が立っていて、ぬかりなく辺り
            に視線を巡らせている。銃口を向ける方向
            を見定めるようにして。哀れにも失禁。その
            ままーー彫像に成り変わる。その様、しかと
            拝見。

                  *

            わたしはなにもしなかった
            なにも言った覚えがない
            声の届かない所にいた
            足がないので近づけない
            わたしにはなにもできなかった
            丸をひとつ描くことさえも
            愛することもできなかった
            顔を見たこともない
            だから
            おまえは謎のままだ
            こちらにやってくるまでは


                                  1990年作  


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