『俺たちの明日』
原題: 우리에게 내일은 없다 (2007 年)
監督: ノ・ドンソク
出演: ユ・アイン、キム・ビョンソク
まさか上映終わらないよねと思ってチェックしたら、その日が最終上映日。見なくてもいいかなぁと思ったのだけど、私の場合、見なかったものに限って後悔することが多々あるので、最終回に駆け込み・・・
参照: 韓国アートフィルムショーケース ( link to)
最初の 30 分ぐらいが 1 時間ぐらいに感じられるほどのタルさもあった。社会の底辺を手探りで生きる若者 2 人に焦点がカッチリ絞り込まれているのだけど、この 2 人について与えられる情報はミニマム(最小限)なので、一体どういう背景や設定を持つ人物なのかと、画面情報を頼りにあれこれと想像を膨らませながら鑑賞した。
出演者をプロの俳優に頼らないインディペンデント作品らしく、俳優に対する先入観がないので、媚びがなくて新鮮でもあるけれど、ストーリーはどちらかというと暗く重たい。
薄汚れた街並や狭い住居といった物理的環境や、荒んだ親子関係や家族といった精神的環境の中には、2 人の心のよりどころがどこにもない。
大人の事情、社会のひずみのせいで、若者が人生の道しるべを見失っているような気がした。それは画面の冒頭に出てきた線路とか、最後に出てくる長く続く道路とか、迷路のような街の裏路とか、そういうものに象徴されているようにも見えた。
多感な青年の情感が押し込められているようで、未来に対する不安や焦燥感で押しつぶされそうになるところをもがき苦しんでいるようで、いつかどこかで爆発しそうになるのではないかと思って見ていたら、やはり爆発した。
涙や笑いを誘うこともないし、甘さのかけらもなく、2 人を追いかけるカメラワークはドキュメンタリーのようにも感じられた。押しつけがましいところがない代わりに、正直よくわからないところも多かった(笑)。
原題は 「俺たちの明日はない」 だけど、反語的だと思いたい。