Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

[Julyソウル②] 思ったより・・・ ニム編

2008-07-30 22:37:50 | K-Movie Notes


『あなたは遠いところに』
原題: 님은 먼곳에
監督: イ・ジュニク
出演: スエ、チョン・ジニョン、オム・テウン、チョン・ギョンホ、チュ・ジンモ、シン・ヒョンタク


24日に公開したばかりの 『あなたは遠いところに』 も見てきました。

これがですね、思っていたよりずーっと良かったです
『ノム』 ほど予習もしていなかったけれど、個人的には断然コチラの方が好きです。好みの問題ですが、私はやっぱりドンパチより 「人間のドラマ」 がきっちり描かれている方が好きです。

『ノム』 と比較すること自体ナンセンスですが、『ノム』 を見た後だったので余計に 『ノム』 に決定的に欠けているものが見え、『ノム』 が面白くないと感じた理由がわかりました。


イ・ジュニク監督の作品は、『王の男』 と 『ラジオスター』 しか見ていないのです。『ラジオスター』 はずいぶんとベタな Buddy 映画だなぁと思ったのですが、それでもベタさが嫌じゃなかったのは、やっぱり作品が、「人の絆」 とか 「つながり」 とかそういうものを大切にしているなぁと伝わってくるからだと思いました。


今回の 『あなたは遠いところに』(以下 『ニム』)は、ベタなお涙頂戴もありません。セリフが多いので理解できていないところは多々ありましたが、素直に笑うところは笑い、泣けるところは泣きました。


最近、韓国映画でネガティブな意味で気になっているのは、「反○」 をバネにして観客を動員しているような映画。もちろん元々制作者が意図していないのに観客が無視して勝手に突っ走っている場合や、制作時と公開時では社会情勢が異なっている場合なども多いのですが、『クェムル』 はその 「反○映画」 の代表例だし、『トンマッコル~』 もそんなカテゴリにくくられているし、最近では 『カン・チョルジュン』 も、そしてもちろん 『ノム』 も。

さらに下半期の期待作 『神機箭』 と 『モダンボーイ』 にもこうしたアンチな対象(=特定の国)が存在していて、民族主義的な匂いがなきにしもあらずで(笑)、ちっちゃいなぁと思うわけです。


『ニム』 を見て、ああー、こういうのを見たかったんだ~と思ったのは、『ニム』 がおそらくそういう国境にとらわれていないからかもしれません。それに、設定はたまたまベトナム戦争中という社会背景ですが、年代はそこでなくても通用する、時間にも縛られていないドラマであることも魅力であるような気がします。

なんといっても最後がね、ビシっ と決まっていて、そこが何とも印象的でした。

 

  
                     舞台挨拶   7 月 26 日 @CGV大学路
           (イ・ジュニク監督、スエ、チョン・ジニョン、オム・テウン)


先に予習したイ・ジュニク監督のインタビュー記事にありましたが、ミドルトーン の俳優たちが好演しています。「ミドルトーン」 ってどんなトーンなのだか、なんとなくわかるようでいて、説明できないのですが、これはこの作品を見ると感覚的に理解できると思います。

主演のスエは、いつもどこかはかなげで控え目な印象だったのですが、今回、舞台挨拶に出てきたスエを見て私の持っていたイメージがガラリと変わりました。とても誇らしげに自信を持ってこの作品を観客に届けたいという意志が感じられて、その堂々とした姿に驚きました。その自信を裏付けるかのように、完璧だったのではないでしょうか、スニという主人公は。


チョン・ジニョンはもちろん長髪もステキ(笑)。作品の中のチョンマンというキャラは独特で、イ・ジュニク監督が語っていましたが、このキャラを演じることの出来る人はそうそういないでしょうね~。スニに対するまなざしがどんどん変わっていくところがいいんですよ~。このまなざしは、とても複雑なのです。オトコがオンナに注ぐまなざしじゃなくてね
・・・

チョン・ジニョンは 『楽しい人生』 でもオッサンバンドをやっていましたが、その作品は見ていないので、韓フェスでの上映を楽しみにしてたいと思います。同じバンドでもどう違うのか確かめたいですね~。


チョン・ギョンホ、チュ・ジンモ、シン・ヒョンタクのバンドメンバーもミドルトーンで、愉快でもあります。いやー、このバンド大丈夫かい?とも思いました(笑)。チョン・ギョンホのスニを見るまなざしが、結構、カッチョよくて気になりましたが、さてどうなったかは・・・


スニの夫で、ベトナム戦争に駆り出される兵士役を演じた特別出演のオム・テウンも、ドラマとは違う顔でなかなかでした。

女性が主演だけど、女性をただの 「花」 扱いしないし、女性から支持してもらおうと描いているわけでもなくて、見かけは淡々としているのに、根底が熱いのがよくわかります。

ハイトーンがいないので、もしかしたらこの作品はあまり売れないかもしれません。でもミドルトーンをじっくり味わえる作品なのです。これこそ、日本語字幕でぜひ見てみたいですね~。

スエが歌う ♪あなたは遠いところに♪ を始めとする、70年代の音楽はとても懐かしい響きで心地よかったです。