(Image source: cine21)
『サイボーグでも大丈夫 <싸이보그지만 괜찮아>』
2006年 監督:パク・チャヌク
出演:チョン・ジフン(Rain)、イム・スジョン
パク・チャヌク監督の遊びすぎとの酷評もあるかと思えば、絶賛もあり、評価はまちまちのようだが、見る人によって、見る人の受け止め方によって、映画の印象はまったく違うものになるので当然かと。それでも、やっぱり ザ・チャヌク・ワールドは楽しめる。冒頭の音楽で、「ようこそチャヌクワールドへ」と誘われ、独特の世界を印象づけている。音楽担当は、『JSA』や復讐シリーズから引き続きチョ・ヨンウク。
「サイボーグじゃないけど大丈夫じゃないよ~」(笑)とつぶやきながら鑑賞。なぜならストーリーは解説不能。簡単なあらすじ紹介では、「精神病院を舞台に、自分のことをサイボーグだと信じる少女と、人のものならモノでも特徴でもなんでも盗むことができる青年のラブコメ」と記事などで書かれ、テキストだけ読むと、ちっともピンとこない。
ところが、いったん、このチャヌク・ワールドに入ると、なるほどサイボーグね~と妙になじんでしまうのが、映像の不思議なところ。
笑いのツボも各所にちりばめられているのに、場内、誰も笑っていなかったのはなぜかしら。みな、こっそり笑っていたのかな~
普段は少女のような顔立ちのイム・スジョン、ここでは女優魂 が光っていた。確か、最初のキャスティングでは、カン・ヘジョンに決まっていたのに、相手役にRainがあがると、カン・ヘジョンが降りて、イム・スジョンにキャスティングされた経緯だったかと。馬に涙していた乙女チックなあの彼女とは、また違った一面、変貌ぶりが見どころ。
Rain については、沢尻風にいうと「別に・・・」(笑)。個人的にはドラマで見たときも、表情がきごちなかったので、いつも相手役の女優に助けられているという印象だった。そんな先入観もあってか、この作品でも、イム・スジョンにひっぱられている気がする。さすが歌手なので、ヨーデルは上手かったけれど(爆)。
精神病院が舞台となると、薄暗くて陰気な雰囲気が漂いがちだけれど、この作品では、人間の純粋な部分が詰まっているような、子供っぽくて、おもちゃ箱の中にいるような不思議な空間がつくりだされている。主演2人がベビーフェイスなので、この空間にはよく溶け込んでいたと思う。
相変わらずオ・ダルスは、オイシイところをもっていく。他の患者たちの中でひときわスパイス的存在なのだけど、そのスパイス加減にシビレルわ~。
低予算映画だったと監督は語っていたけれど、作りこみにはかなり手が込んでいるように思えた。ネオクラシカルかと思うとポップだったりする、独特の色彩感覚や映像も面白い。
結局のところ、私はこの作品、キライじゃない・・・けど大丈夫(だと思う)