言葉による音楽的な日々のスケッチ

作曲講座受講日記と、言葉による音楽的日々のスケッチを記録

さよなら、ただいま

2006-01-03 02:53:33 | 日々
1月2日 帰京

<夜景のピグメント>

今日はいったい何曜日だろう。
お正月休み中ずっと曜日を気にしない生活をしていた。




毎年のことながら空港で見送られるのは苦手だ。
誰も来てくれなくてもそりゃ寂しいけど
寂しそうな顔で見送られたあと
一人飛行機に乗るのはさすがに辛いので
出来ればお互い笑って別れたいと思う。

まだ甥っ子が言葉もかたことだった2年前、
搭乗し去っていく私に「行かないほうがいい、行かない方がいい!」
と言って泣き、それを見てわが子の初めての「別れ」に対する反応に
感受性の芽生えを感じた妹が感涙し(笑)
その一部始終を見ていた周囲の人々の涙まで誘い(苦笑)
哀しいというよりその場が一瞬にして切ない状況になった事がある。
子供の無垢さって凄い力で人の心を動かす。
痛いくらいその気持ちは嬉しいのだけど。

向こう1年間会えないので、空港での別れは
こうして年に一度の一大イベントとなる(笑)

飛行機が最終便で時間が遅いので見送りは
運転技術と時間に余裕があるお正月休み中の義弟と
冬休み中の甥っ子。(道路は雨と雪でスケートリンク状態だった)


弟も生まれ2年経って少し大人になった甥っ子は
我慢することを覚え義弟と同じく真っ直ぐに目を見開いて
真剣に手を振る姿がそっくりで可笑しくも
いじらしくて少し泣きそうになったけど笑って手を振って別れた。

荷物を検査して搭乗ロビーに入って座り一息つく。
優しさへの感謝と寂しさと
一人になったことの安堵が入り交じった気分。少し切ない。
自宅でまだ乳児の甥を寝かせるため残った妹と
就寝時間が早いので(笑)来なかった両親へお礼のメールを送る。

彼が生まれてから年末年始の空港は私にとって
子供の笑い声や泣き声、テレビの音声や雑多な言葉が飛び交い
家族に囲まれた騒々しく賑やかで楽しげな世界と
音楽が聞こえ幾分の雑事から逃れ
一人で思考する世界とが交差し、何れかに乗り換える場所。

私は前者の場所にずっと居なくて
後者の場所にもずっとは居ない。
異邦人のように宙ぶらりんな事を感じる。


さて、しばしの空の旅を楽しむ。

空港カウンターで座席の変更を希望してみた。
何となく窓際で景色を観たいと思ったのだ。
以前、同じ路線で窓を閉じていたのに
ふと外を見たくなり機内から窓の外を見ると
キラリと流れた彗星を見たことがあって
その時のことを思い出していた。

窓口の女性は快く引き受けてくれて
幸いにも大きなほうの座席の窓際が確保出来た。
満席なのにラッキーだ。

行きはANAで空港は最高だけど機内では
JALのサービスのほうが上質に感じた。
(ここのところ不祥事が多いけど)
スチュワーデスさんは比較的年齢が高めで
落ち着いたサービスをしてくれる。

離陸の時の推進力が浮遊感へ変化するかんじがとても好きだ。
備え付けのヘッドフォンから「テンペスト」が流れた。


機内でスパークリングワインが飲めるらしい。
高度数万メートル上空でフレシネを頂く。
飛行機でお酒を飲むと早く酔うけどその分早く醒める気がする。
酔い方もジェットエンジン級(笑)

ほろ酔い状態で窓の外を見る。日中雨だったせいか
離陸した頃はとても晴れていて風も雲もなく
止まっているように静かな状態で機体が進んでいく。


きらきらと闇に小さく光る
貴石を散りばめたような街や車の灯り、
海岸線が美しく良く見えた。




函館と青森を挟んだ津軽海峡が見え
ずっと街の光が見え続けて
東京タワーが手招きしているのが見えてきた。

銚子あたりから徐々に羽田方面へ旋回。
木更津から川崎に渡る海ほたるが眼下に見える。

羽田は混んでいたらしく長い間伊豆半島のほうまで迂回して
羽田へ向かってまっすぐ体制を整え着陸した。

BGMはアンダーワールドに変わっていた。

何と東京の気温は4度。いつもより暖かかった
千歳の気温は2度。2度しか違いがないなんて!
今年の東京は異常に寒い。

1月3日

<冷たくて暖かい我が家へ帰宅>

帰ってきて妹から電話があり、
甥っ子が私を見送った後、寂しくて悲しくなり
自宅に帰ってからも目がウルウルするのをあくびで必死に
誤魔化していたと聴かされて、いじらしさに私もしんみりする。

ここに住んでもう丸2年。
近くの大きなお寺に初めての初詣に行ったあと




ピアノの弾き初めをして

北の友人が送ってくれた巨大な「遊星からの物体X」のような毛蟹を頂き



ほんと、白いワインと魚介は合うな~と、いい気分になっていたら
またも電話が鳴る。

甥っ子からだった。とてもしょんぼりした声で
「あのね、○○ちゃんが帰った後、、、寂しくて、泣いた」
あまりの無垢さに胸がきゅんとなって
返す言葉が暫く出なかった。去年はこうじゃなかったのに。
この位の子は感受性も目まぐるしく変化していくんだな~と思う。

私が居た時は、抱きしめようとしても照れて逃げるし
ほぼ毎日両親の諸注意に逆らっては
わがまま大王ぶりを発揮して(笑)
大人たちをがっかりさせた彼だったのに全く憎めない愛いヤツ。
何度も「また、遊びに来てね、待ってるからね」と可愛い声で。
「わかったよ。また必ず行くよ」さよならを言って電話を切った。

私が去ってからの彼らのやりとりを想像すると
この世に居なくなってしまった人を想う言葉のよう(笑)
有名な台詞を思い出す、
「さよならを言うのはわずかのあいだ死ぬことだ」

離れていても、家族の存在をとても近くに感じた夜。
また明日からいつもの日常が始まる。









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